<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>
ウラル連邦大学は正式名称をボリス・エリツィン記念ウラル連邦大学といいます。ロシア連邦初代大統領ボリス・エリツィンが、ウラル連邦大学の前身であるウラル工科大学を卒業していることからボリス・エリツィンの名前が冠されているそうです。
ウラル連邦大学メインビルディング |
エカテリンブルクの街並み |
このような状況の中、大学改革の一部として最近全国に8つの「連邦大学」が設立されました。全ての連邦大学は今後10年以内に、主だった世界大学ランキングで100位以内に入ることを目標としています。ウラル連邦大学も新しく設立された連邦大学の1つです。(ウラル連邦大学は、旧ウラル国立大学、旧ウラル工科大学が合併する形で2年前に設立されました。)
ウラル連邦大学の規模はかなり大きく、学部生だけで57,000人、ファカルティースタッフ 8,000人を擁しています。博士課程大学院生はまだ1,000人程度ですが国からの手厚いサポートを背景に今後さらに博士課程プログラムが拡張されていく予定となっています。
THEなどの世界大学ランキングで上位に入るために重要な要素の1つが「国際化」の度合いであることはよく知られた事実ですが、残念ながらこれまでのロシアの大学はロシア国内で閉じている感が強く、あまり国際的と言える状況ではありませんでした。ロシアには学術レベルの高い研究者が多数存在するのも事実ですが、ソビエト時代からの閉鎖的文化の名残があり、外部からの人材の受け入れや交流にはあまり積極的ではない雰囲気があったようです。(少し前の日本の大学と雰囲気が似ているかもしれません。)
しかし新しく連邦大学を創設するにあたっては、急速に大学の国際化を図ることを最重要課題の1つとしており、国際化を推し進めるための予算が豊富に各連邦大学に割り当てられています。ウラル連邦大学でも改革のための特別の部署が設けられています。(このような状況の中、私のところにも声がかかったということになります。)
ウラル連邦大学における国際人材確保の積極性は相当なものです。私の場合、初めて職の打診を受けたのは、共同研究のために大学に短期滞在していた昨年11月でした。滞在中に「自然科学担当の副学長が話をしたいので時間をとってもらえるか」という話が突然あり、何の話をされるのか全く見当もつかず副学長に会ってみたところいきなり教授職のコンディショナルオファーを提示され大変驚きました。後で聞いた話では、ウラル連邦大学では大学に来るビジターの情報を大学中央に集約しており、可能性のある人に適宜声をかけているとのことです。(短期滞在のわりに、詳しいCVや論文リストの提出、学生向けの授業の実施などを求められたのでなんとなく普通の共同研究のための滞在とは違う雰囲気があったのは事実です。)
2013年にウラル連邦大学に招聘された時の入構証 |