2014年6月9日月曜日

【第1回】 ようやくロシア就労ビザ取得の目処が立ってきた

<<<筆者注:この記事は2014年6月9日に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>


私は2002年に天文学の博士号を取得して以来、アメリカ、台湾、香港と海外を渡り歩いて学者稼業を続けてきたのですが、2014年の夏から、ひょんなことがきっかけてロシアの大学で働くことになりました。

ロシアで仕事をする日本人の研究者はまだあまり多くないようですし、これからロシアでアカデミック職を探してみようという人のため、あと自分の記録のためにも、久々にブログに日々の記録を綴っていこうと思っています。

まず初回は、とりあえず、ここ数ヶ月格闘していたロシア就労ビザ取得の話から始めることにします。

海外で働こうと思うと通常は就労用のビザを取得する必要があります。ロシアも例外ではありません。就労ビザの取得の手続内容は国によってまちまちですが、私が今まで経験したアメリカ、台湾、香港ではせいぜい2,3ヶ月も見ておけばビザを取得できました。しかし、ロシアの場合はこの就労ビザの取得が結構大変なのです。

特に大学の教授職など、契約期限のない正規の職に付く場合はビザの取得にかなり時間がかかります。例外的に特別な条件を満たしている一部の人を除くと、多くの場合、早くて半年、場合によっては9ヶ月以上かかる場合も想定されます。以下どのようなプロセスが必要か私の場合についてこれまでの経過をまとめておきます。

私の場合、ウラル連邦大学天文測地学科から教授職(もしくは准教授職)のコンディショナルオファーを2013年の11月にもらいました。コンディショナルオファーというのは、日本の就職活動でいうと内定通知のようなもので、給料や職務内容など職についての詳細が知らされます。

ちょうと前職の契約期間が終わる時期だったこともありすぐにオファーを受ける旨返事したので大学側は直ちに2013年の年末からビザの申請準備を開始してくれました。しかしそこからの道のりが予想以上に長かったです。現在2014年の6月初旬なので既に申請準備開始から7ヶ月が経過し、ようやく数日前に在日ロシア大使館での手続きに必要な招待状がロシア内務省から発行されるという知らせが届いたところです。

これまで私が働いたことのあるアメリカ、台湾、香港などと異なり、ロシアの就労ビザ申請に関しては、英語や日本語で書かれた情報が決定的に不足しているため先方でどのような手続きが実際に行われているか未だに詳細は把握できていません。しかし、大学の説明では、「移民弁護士」を雇って作業を進めているというこっとだったので、相当複雑な手続きが行われているのであろうことが推測されます。

私の方からこれまで提出した書類としては、戸籍謄本の写し、戸籍謄本のアポスティーユ、戸籍謄本のロシア語訳、戸籍謄本のロシア語訳が正しいことの証明、CV(英文の履歴書)、研究計画書(英文)、学部以降の卒業証明書(英文)、学部以降の成績証明書(英文)、女房の学歴の証明書(英文)などです。

アポスティーユはご存じない方もおられるかもしれませんが、日本の外務省で発行してくれる書類で、日本で発行された公文書が間違いなく本物であることを証明するものです。戸籍謄本は原本が日本語なのでロシア語への翻訳およびロシア大使館における翻訳内容証明を提出する必要があります。私の場合は専門のロシア語翻訳業者(新井翻訳)をネットで探して依頼しました。(料金は確か3万円ほどだったお思います。)

ウラル連邦大学の担当者の話では、手続きの中で最も時間がかかるのがロシア政府による学位証明書と成績証明書の審査だそうです。短期の研究員や客員教授などの職では学位証明書と成績証明書の審査は必要ないのですが、教授職などの正規の大学教員を雇用する場合には厳重に学位の内容が審査されるとのことです。

結局のところ私の場合、2014年秋からの新学期開始には学位証明書等の審査が間に合わないようで、とりあえず最初の数ヶ月は学位証明書の審査が要求されない身分(ビザ申請の区分上のHighly Skilled Specialist)として赴任し、その後学位の審査が終了するのを待って正規の教授職への職種変更が行われるということになるようです。

とにもかくにも、ロシア内務省から招待状をもらうところまでこぎつけたので、郵便がロシアから届き次第日本国内での手続きに入れることになります。日本国内での手続きについてはまた追々書いてゆきたいと思います。