<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>
これまでのウラル連邦大学側の説明では、Nostrification用としては、英文の卒業証明書や成績証明書の場合はそのまま提出すれば大丈夫との事だったのですが、引越の直前になって日本でアポスティーユを取ってきて欲しいと突然言われいました。しかもよく事情がわからないのですが、ロシア大使館でアポスティーユを取ってこいというのです。(さらにあろうことか、大使館に行けば数分で手続きが終わるに違いないからすぐ行って来い、などととんでもない発言をしてきます。そんなことがロシア大使館に限ってあるはずがありません。)
通常アポスティーユというのは、日本の国内の公的機関で発行された書類を日本の外務省で原本と間違いないということを証明してもらう書類のことを意味します。アポスティーユがついた書類は、ハーグ条約(Apostile Convensionともいう)に加盟している国どうしならば、そのまま証明書として通用します。(例えば、戸籍謄本などにアポスティーユをつければ海外で結婚証明としてそのまま使えます。)
卒業証明書や成績証明書のような私的な文書の場合はアポスティーユという制度は適用されませんが、代わりに同じく外務省で公印証明書を発行してもらうことができます。
ロシア大使館でロシア語の翻訳証明を出してもらえるというのは知っていますが、アポスティーユを出してくれるという話は聞いたことがありません。ロシア大使館の領事部のWebを調べてみたところ、私的な文章に関しては、それがロシア国内の業務に使われることが明確ならば文書証明をしてくれるという説明がありました。しかし、卒業証明書のような一般目的の書類の場合は文書証明はしないとはっきり書かれています。
再度ウラル連邦大学の担当者に確認したところ、どうやら向こうも甚だしく勘違いしているようで、今度は日本の外務省でアポスティーユをもらってこいと言ってきました。しかし、週末を挟んで残り5日間しかないのですから外務省で手続きをするのは不可能です。(ウラル連邦大学も、日本人の専任教員を初めて受け入れるとのことなので事務手続きに慣れてないのは仕方ありません。)
しかし、これまでのロシアでの就労に関する煩雑な手続きの数々を見るにつけ、日本の外務省のアポスティーユだけでほんとうに大丈夫なのかと疑心暗鬼になってきます。ここは絶対に後で問題が起きないように完璧な証明をとる必要があります。おそらく、日本の外務省、ロシア大使館両方のスタンプが証明書に押された状態にするのがベストでしょう。それには以下の3つの作業をする必要があります。
(1)日本の外務省で卒業証明書、成績証明書の公印証明をもらう。
(2) 卒業証明書、成績証明書をロシア語に翻訳する。
(3)ロシア語に翻訳された卒業証明書、成績証明書に対してロシア大使館で翻訳証明をもらう。
しかし、問題はこれをひと通りやるには3ー4週間ほどかかることです。出発は三日後なのでもう自分でやる時間がありません(時間があってもロシア語の翻訳は自分ではできません)。そこで、以前、戸籍謄本のロシア語翻訳をしていただいた新井翻訳さんに、上記の作業の代行および、出来上がった書類のロシアへの発送ができるか問い合わせててみました。
新井翻訳さんは以前もそうでしたが非常に迅速に回答をくれるので助かります。もちろん返事はOKで、料金は大使館での手数料を除いて9万円とのことでした。(念のため女房の卒業証明書と成績証明書の証明もお願いしたので、申請代行および翻訳を依頼した書類は10点です。)
若干値段は高いですが背に腹はかえられません。Nostrificationがなければ、いつまでも研究員資格での滞在となりいつまでも教授職の給料がもらえません。それを考えると9万円の投資は安いものです。
新井翻訳さんによると、10月末頃までにロシアで証明済みの書類が受け取れるようです。とりあえず、ちょっと安心しました。一時は渡航時期をまた遅らせなくてはいけないかと思いましたが、予定通り出発することができそうです。新井翻訳さんありがとう。