2014年12月26日金曜日

【第19回】 エカテリンブルクの日本食事情

<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>


私たち夫婦は、ロシアを入れてこれまで4カ国に住んできましたが、新しい国に引っ越すとまず手始めにやる恒例行事が「日本の食材探し」です。短期間滞在するだけなら現地の食材や料理を十分に堪能すれば良いと思いますが長期に住むとなるとやはり日本食を食べたくなります。

最近では欧米の大都市では普通に日本食材店がありますし、アジア圏の都市にいたっては地元のスーパーで豊富に日本食材が売られています。しかしそこはロシアのこと、欧米やアジア圏のようには行きません。ただ救いなのは、エカテリンブルクでも寿司がブームになり始めた影響で、「寿司関連」の食材が近所のスーパーでも入手できるようになってきたことです。

家の近所にあるチェーン店のスーパー「キロフスキー」には「寿司コーナー」があり、中国製の醤油、海苔、米酢、米、わさび、紅生姜を入手することができます。米は日本の米と同等とまでは行きませんが、中央アジア産の米はまずまず食べられるレベルの品質です。中国の醤油は若干ケミカルな味がしますが、なんとか我慢できる範囲ではあります。炊飯器は、日本のメーカーのものを家電店で入手することができます。

エカテリンブルクは内陸の都市ではありますが、ロシア人は魚介類が好きなようで、冷凍のものであればかなり豊富にシーフードが揃っています。このへんは日本人にはうれしいところです。ただし、中には非常に塩辛い下味が付いているものがあり注意が必要です。

少し頑張ってバスで小1時間ほど街外れまで遠征すると、フランス系の大型スーパー「アシャン」で、もう少しマシな日本食材が手に入ります。アシャンでは、日本製の醤油、日本製のワサビ、インスタント味噌汁、アルミパックの味噌、韓国製インスタントラーメン、ウスターソース、緑茶、冷凍マグロの切り身、冷凍の鯛の切り身、などが手に入ります。

アシャンで売っている味噌
アシャンで売っているインスタント味噌汁


最近では欧米の比較的小さな町でも豆腐が手に入りますが、エカテリンブルクでどのスーパーも隅々まで探しましたが豆腐がありません。いろいろ探し回りましたが今のところ豆腐を入手できる店は、菜食主義者の専門店(ビーガンショップ)ただ1店だけです。豆腐を買うときに注意しなくてはいけないのは、こちらの人は豆腐を「デザート」として楽しむらしく、イチゴ味などのフレーバーのついた豆腐が混じっていることです。注意深くパッケージをみて「プレーン」のものを買わねばなりません。

ロシアは酒飲みの国だけあって酒類は豊富です。割高ではありますが日本のウイスキー、ビール、日本酒などを大手の酒屋で入手することができます。

これはロシアに限ったことではありませんが、日本食材を買うときは賞味期限に注意する必要があります。中には数年ほど賞味期限を過ぎているものもあり、味が劣化しているとかいうレベルを通り越して食べると害がありそうなものも混じっている場合があります。

賞味期限を1年以上過ぎた味噌
欧米の街などで日本食材店が見つからない時に日本食材を入手するには、中国系のフードショップに行くという手があるのですが、どういうわけかエカテリンブルクには中国系のフードショップがありません。私の調査が足りないだけかもしれませんが、地元のロシア人に聞いても「多分ないと思う」というのでおそらく大きな中国食材店はないのだと思います。ロシアでは連邦政府の方針で、意図的に中華街が形成されるのを阻止しているそうなので中国系の店が作りにくいのかもしれません。(中国人はたくさんエカテリンブルクに住んでいるのですが。)

日本食の店(寿司店)は最近の寿司ブームの影響でかなりの数が存在します。しかし、ほとんどの店は日本人の感覚では寿司とは認めたくないような変わったものばかりを出します。例えば、チーズがたっぷり乗った寿司とか、キャビアとサーモンの燻製の寿司とか、料理としては不味くはありませんが寿司を食べるつもりで寿司屋に行くと期待はずれでガッカリしてしまいます。(エカテリンブルクで最大手の寿司チェーン「寿司ウォック」のWebに参考リンクを張っておきます。)

エカテリンブルクでは日本食の外食は絶望的ですが、日本食を食べたいときは、食材を買ってきて家で料理するのであれば、なんとか日本の味を再現することができます。