2016年4月9日土曜日

【第25回】 日本大使館・領事館から離れた遠隔地でパスポートを紛失した場合の対応

<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>


私が居住しているエカテリンブルク市には日本大使館・領事館が存在しません。そのため、万が一パスポートを紛失した場合、どのような対応を取ればよいのか、以前から若干気になっていました。そこで先日、在モスクワ日本大使館領事部にメールでこの件について質問を送ったところ丁寧な返答をいただきましたので、ここに返答の要点をまとめておきたいと思います。(ここでは、エカテリンブルクでパスポートを紛失した場合の対応を書いていますが、おそらくエカテリンブルク以外の遠隔地についても応用が利くと思います。)

まず、パスポートを紛失した場合、最初に行わなくてはいけないのは、紛失したと思われる地区を管轄するロシアの警察に届け出を行い、ロシアの警察が発行する紛失証明書を入手することのようです。その後、旅券の紛失届出書、旅券の発給申請書、必要書類(上記紛失証明書も含みます)をモスクワの日本大使館領事部に提出することになります。

パスポートの再申請手続きの概要については以下のページにまとめが出ています(遠隔地の場合はさらにプラスアルファの対応が必要で、それは以下に述べてゆきます。)
http://www.ru.emb-japan.go.jp/japan/JVISANDTOURIZM/passport.html

必要な書類フォームは大使館領事部のページからPDFファイルをダウンロードできるようになっています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/download/top.html

再申請手続きに必要な書類を一式揃えたら、上述のようにそれをモスクワの日本大使館領事部に提出するのですが、ここで遠隔地特有の問題が発生します。ロシアの場合、パスポートがない状態では、たとえ国内であっても飛行機で移動することができません。つまり、本人が出頭することができないので、なんらかの形で代理申請を行わなくてはいけません。

考えられる方法としては、職場の同僚や一緒に住んでいる家族などにモスクワの大使館まで書類を持って行ってもらう、もしくは、モスクワに拠点を持つ旅行会社に申請代行を依頼し、旅行会社にFedexやDHLで書類を送って申請を代行してもらう、などが挙げられるでしょう。(ロシアではDHL等を発送するためにもパスポートの提示を求められますが、これは職場の同僚等に発送を代行してもらうことで解決できるでしょう。)

無事に書類を提出すると、次は発行されたパスポートを受け取ることになりますが、これは申請手続きとは異なり必ず本人が受け取る必要があります。しかし本人は移動することができないので、どういう扱いになるのか一番心配な部分です。日本大使館領事部の説明では、大使館職員がエカテリンブルクまで出張して届けに来てくれるとのことです。ただし、緊急に出張できない場合も多く、受け取りにある程度の日数がかかることは想定しておいてください、という説明でした。(出張費用を受け取り側が負担するのか日本政府が負担してくれるのか疑問が残りますが、この点は確認ができませんでした。)

あと、紛失後の手続きをスムーズに行うために、パスポートの顔写真のページと、ロシアのビザのページのコピーを作って保管しておいてください、というアドバイスもいただきました。

というわけで、とりあえず紛失してもなんとか問題を解決する方法はあるようですが、それなりに大変な作業であることは間違いありません。(エカテリンブルクにも日本領事館ができると良いのですが。)