<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>
色づき始めた通勤路沿いの街路樹 |
領土問題に具体的な進展があるかどうか、今のところは分かりませんが、今回の会談を私はおそらく他の日本人とは少し異なる視点から注目しています。それは何かと言うと、ロシア連邦政府から、日露間の研究交流を促進するための研究費補助金公募が出るのではないかという期待です。
実はロシアでは、大統領が他国の国家元首(特に政治的・経済的に重要な国の国家元首)と首脳会談を行うと、その直後に当該国との2国間共同研究に対して、突発的な予算補助が行われることがあります。
例えば、昨年(2015年)には、プーチン大統領が中国の抗日戦勝70週年記念日の軍事パレードに参加し習近平と会談しましたが、その直後に中国との2国間共同研究への研究費補助金が突然公募されました。また、新興5カ国(BRICS)の会合にプーチン大統領が参加した後、突然BRICS国との共同研究に対する補助金が公募されたこともありました。
最近日本の大学では研究費が削減される一方のようですし、もし仮に日露関係が好転し、ロシアから日本との2国間共同研究に予算がつくのであれば、ロシアに有力な共同研究者を持つ日本人研究者にとっては朗報かもしれません。(当然ながら、日本人研究者に多くの知り合いがいる私にとっても大きなチャンスになるわけです。)
このような突発的な研究費補助金公募は、幾つかの連邦政府系ファンデーションから出てくるのですが、私が現在把握しているものには次の3つがあります。
(1)Russian Science Foundation
(2)Federal Target Program
(3)Russian Foundation for Basic Research
これらのファンデーションのWebページには一応英語版も用意されていますが、研究費補助公募の詳細はロシア語で見なくては確認できません。しかし、ロシア語で書かれた公募プログラムのリストを丹念に見ていくと、今現在ロシアがどのような国との外交に力を入れ、どのような方向の研究に力を入れているかが浮き彫りになり、政治的・経済的な観点からも面白いのでないかと思います。