【筆者紹介】中国在住の日本人天文学者。米国→台湾→香港→ロシアと渡り歩いた後、2019年11月に中国広東省の大学へ移籍。外国生活20年目。研究者生活も20年目。専門は晩期型星の質量放出現象、天体メーザー、電波天文学。最近は、星が合体した後の環境で作られる分子ガスに興味を持っている。研究以外の最近の趣味は、中国語学習とピアノの練習、あとライフログがてらの日記ブログの執筆。
2022年8月31日水曜日
【日記】最近中国に着任する研究者の傾向、倍増した博士課程新入生
2022年8月30日火曜日
【日記】落ち着いた感じの新学期、さまざまな方向に分散する興味
2022年8月29日(月)
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月29日月曜日
【日記】一日一食で体調の調整、「中年危機」を一読
2022年8月28日(日)
「哔哩哔哩动画」で公開されている日本映画 |
「中年危機 (朝日文庫) Kindle版、河合隼雄 (著)」を一読した。著者は言わずと知れた心理学者の河合隼雄だ。河合隼雄が中年心理を語っているとなれば読むしかないだろうということで、衝動買いした本である。この本は、中年の心理を題材に論じた本なのだがアプローチがちょっと特殊である。文学作品の登場人物を題材として中年心理を論じているのだ。
冬のなかに春を見ることが上手になってこそ、中年の次にやってくる老年へとスムーズに入ってゆける。人生の冬のなかに生きつつ、そこに春夏秋冬を見ることができるので、老いが豊かになってくるのである。
人生は未踏峰に登るようなものだから、道に迷って、尾根から少し足を踏みはずしたりもするだろう。右に入りこんだり、左に落ちこんだり、右を見たり左を見たりして歩き続けるのが中年であるといえるし、惑うことにも深い意味があると思われるのである。
人間に夢を見させないようにすると、だんだん感情不安定になってきて、白昼夢を見たりするようになる、という実験がある。これなど、夜のうちに砂を除く仕事をしなかったために、だんだんと家が押し潰されてくるのと同じことであろう。
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月28日日曜日
【日記】コーヒーカップの音、思考対象の切り替えでメンタルを休ませる方法
2022年8月27日(土)
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月27日土曜日
【日記】ワインのソーダ割り、「西瓜视频」はなかなか使える
2022年8月26日(金)
中国語学習
2022年8月26日金曜日
【日記】台風対策が施されたウルトラマン、「先が見えない国」での人生設計
2022年8月25日(木)
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月25日木曜日
【日記】「全国版リスク地区リスト」が消失、インプット系の仕事は純粋に楽しい
2022年8月24日(水)
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月24日水曜日
【日記】さらに5日待つことになった工作許可申請、地域コミュニティと居民委員会
2022年8月23日(火)
朝、出勤してすぐに、昨日問い合わせていた工作許可申請の進捗について学内担当者から返事が返ってきた。以前、手続きに15営業日かかるという話を担当者から聞いていたのだけれど、それは学内手続きの話で、役所でさらに5営業日が必要とのこと。大学から市の工作許可担当部門には先週の木曜日に書類を提出したそうだ。という訳で、おそらく今週中には工作許可が降りるはずだ。しかし、まだ何が起こるか分からないので油断はできない。
強力な台風が直撃コースで珠海に接近しているとのことで、「厳重に警戒するように」とのメッセージが朝から何度も入ってきた。中国の「連絡網の発達具合」は相当なもので、コロナ規制にしても台風等の自然災害にしても、国が住民に伝えたい事は、どんなにボケっとしていても耳に入ってくるシステムになっている。
メディアを通して情報が拡散されるのは当然として、それ以外の情報伝達ルートとしては、携帯電話へのSMSの一斉配信、職場からの情報伝達、地域コミュニティからの情報伝達などが挙げられる。中でも「地域コミュニティ」は中国特有のシステムだろう。地域コミュニティのことを中国語では「社区」と呼ぶ。
地域コミュニティと言っても日本の自治会などとは大きく性質が異なり、規模こそ小さいものの社区は公式な行政単位である。例えば、コロナ規制で建物を封鎖するような場合でも、その閉鎖や開放の最終的な判断は社区の居民委員会が行う。それ以外にも、さまざまな許認可権限を持った立派な行政単位なのだ。
スマホも持っていないような情報弱者が社区内にいた場合、居民委員会の担当者が直接戸別訪問して問題解決に当たることもある。まぁ、困ったときには社区と居民委員会が助けてくれることもあるし、逆に権力の末端組織として「めんどくさい」存在になる場合もある。
コロナ禍勃発直後に社区が初めて封鎖管理されたときには、居民委員会と地域の「党員ボランティア」が社区の出入管理を取り仕切る役割を担ったりしていたが、あのようの状況を見ると、中国共産党が中国という国の隅々まで毛細血管のように意思伝達網を発達させていることがよく分かる。
欧米メディア等の論調を見ていると、西側社会の知識人の中には「中国の国民と党を分けて考える」人が少なくないようなのだけれど、実際に中国に住んでみると、国民と党を分けて考えることなどまず不可能だろうというのが私の率直な感想である。
中国語学習
単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(20分程度)
ピアノ練習
SimplyPiano、リードシートIII
2022年8月23日火曜日
【日記】見かけなくなった迷彩服、重力波検出プロジェクトの地下実験施設工事
2022年8月22日(月)
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月22日月曜日
【日記】来週から新学期開始、スライドデザインに関する本を一読
2022年8月20日(日)
来週から新学期が始まる。確か、在校生対象の講義は来週から、新入生対象の講義は2週目から始まるはずだが確信がないので確認しないといけない。しかし、今年の夏はパスポート更新から始まり、その後の後始末の手続きが延々と続いており未だに完結していないので、全く休みを取れた感じがしない。この調子で行くと、学期はじめのドタバタする時期に本業と並行してパスポート更新の後始末をやっていかなければならない。やれやれである。
夏休みの間、職場から時々「今日PCR検査に行きましたか?」という確認のアンケートが来るのだけど、どういうわけか8月に入ってからはずっと土曜日にそのメッセージが届く。土曜日は次の日に職場に行かないので、時間節約のためPCR検査は受けないことにしているのだけど、土曜日にだけ検査状況を確認されるとずっと長期間検査していないように見えてしまう。まぁ、幸い珠海は今のところそれほど感染状況は緊迫していないので、多分文句は言われないだろう。
『研究発表のためのスライドデザイン 「わかりやすいスライド」作りのルール (ブルーバックス) Kindle版』を一読した。先日まで行われていたブルーバックス電子版の割引セールでまとめ買いした本の中の一冊だ。目下、新学期に向けて講義スライドを準備している時期なので、何かヒントになるようなことが書かれていないかと思って、ちょっとこの本を開いてみた。
私も研究発表を行うようになって30年ほどになるので、流石にこの本に書かれていることの大部分は(自分で実行しているかどうか別として)一度は考慮したことがあるように思う。しかし、たまには自分のスライドづくりを客観的に考え直してみるのも悪くはない作業だろう。
こういうデザイン的なことって、センスがある人は、人にアドバイスを貰わなくても上手にできてしまう人も世の中にはいる。例えば、私の妻はロシアに住んでいたときに日本語教室で教えていたが、そこでの講演や授業のためのスライドをとても上手に作っていたと思う。妻は研究発表の経験こそないが、美大出身でデザイン的な感覚は優れているのだろうと思う。
妻のように優れたデザイン感覚があれば、スライドを上手に作ることは自然とできてしまうようだ。これは学生さんにも言えており、論文を最初から上手にかける学生さんはあまり見たことはないが、スライドデザインに関しては最初からかなり上手にできる人も時々いる。ただ、出来ない人は全くできないので、そういう人にはそれなりの指導は必要だろうと思う。
中国語学習
単語と例文の暗記(20分程度)
2022年8月21日日曜日
【コラム】中国に移籍して良かったところ、悪かったところ
第71回
前回のコラム(第70回)では、中国の研究職に興味を持っている人からしばしば聞かれるFAQの一つである「中国で研究職(ファカルティー職)を得る方法」について私見を述べた。今回は、これまたFAQである、中国移籍のメリット・デメリットについて、簡単に自分の考えを述べてみたいと思う。
ここで書くことはあくまでも私見で、メリット・デメリットは、中国に来るまでの私の過去の経験を基準として判断しているので、そのへんは考慮して読んでいただきたい。最近は、外国での就労経験を持たずに、日本から中国へ直接移籍する研究者も増えているので、そういう人から見るとまた別の感じ方があるだろう。
中国移籍のメリット
まず、現職場へ移籍して感じたメリットの方から話をしてみようと思う。まずは、何はさておき最大のメリットとして、雇用契約の内容が過去のものと比べて一番安定していることを挙げなくてはいけない。現職では、5年に一度の業績審査にパスし続ければ定年まで勤めることができる。
中国へ来る前に就いていたロシアの職は、基本的に期限なしの職ではあったが、契約内容が厳格に守られないなど、基本的な部分で強い不安があった。また、それだけでなく、そもそもの問題として「国自体の安定さ」にも一抹の不安があった。案の定と言うか、その後のロシアの状況を見ると、見事に私の不安が的中して「大問題」が勃発したことは皆さんご存知のとおりだ。
ロシア以前の職は、全て雇用期間が限定された有期雇用だったので、現在の職とは比較とはならない。やはり、雇用が安定しているということは、研究者にとってはこれ以上のメリットはないというのが、実際に働き始めて感じる実感である。
次にメリットとして挙げたいのは、職場の「若さ」と「安定度」だ。教職員の平均年齢が若く、とても活気がある。なおかつ、組織としては安定したシステムが既に出来上がっていて、構成員が若いからといって、組織の運営が不安定にはならない。良きにつけ悪きにつけ、国が策定したルールに従って組織が安定的に運営されていることは現在の中国の研究機関の特徴だろう。
以前、台湾で務めていた研究所も構成員が若く活気があったが、それと同時に組織運営も不安定だった。なぜならば、若いメンバーが試行錯誤しながら研究所の舵取りをやっていたからだ。若い人が中心となって組織運営にあたると、どうしても内部で「いざこざ」が少なくない頻度頻度で発生する。
このような状況は、西側ポリコレ的な感覚でとらえると、若い人が言いたいことを言える環境で「良いことだ」と思う人もいるかもしれない。しかし、実際に内部で働いた立場からすると、研究所や大学は、内部政治が安定している方が仕事がしやすいというのが率直な感想である。
現在の職場は、組織の「オペレーションシステム」が国の方針によって基本的に出来上がってしまっているので、構成員は非常に若いにも関わらず、根本的な意見の対立によって職場政治的に不穏な空気が立ち込めるような場面はほとんどない。「西側ポリコレ的な良し悪し」は別として、余計な学内政治にエネルギーをとられないで研究と教育に専念できることは、私は個人的にはメリットだと思っている。
次に挙げたいのが、学生の学習意欲が平均的に高いことである。もちろん学生のことなので、個々にみれば色んな学生がいるのだけれど、押し並べて勤勉な学生が多い。これには中国ならではの事情もあるだろうと思う。中国の大学では、学生は基本的に学内の寮に住んでおり、バイトについても厳しい制限があるので、状況として勉強に集中せざるを得ない環境となっている。また、大学院進学熱が高いので、学部生は卒業後の進学準備のために一生懸命勉強するし、大学院生も学位取得のために熱心に研究に取り組む人が多い。まぁ、理由はどうあれ、学生が熱心に勉強や研究に取り組む雰囲気がある中で教員のモチベーションが上がらないわけがない。
次に、職場環境以外のメリットを考えてみる。まずは、「生活の利便性」が高いことを挙げておきたい。後述するように、生活を立ち上げるまでには、煩雑な手続きが要求されるが、一度生活が軌道に乗れば、様々な用事をオンラインで(スマホで)済ますことができるし、とても便利だ。珠海のような小都市でも、中国の通販を利用すればありとあらゆるものを簡単に入手することができる。
アメリカやロシアに住んでいたときには、日本食が恋しくなったものだけれど、それほど特殊なものでなければ、だいたいの日本食は通販や出前で入手することができる。また、医療に関しても、私が過去に住んだ国・地域の中では、一番恵まれた状況にある。職場の福利厚生の一環として、大学病院を2割負担で利用できるし、大学附属病院には国際医療センターがあるので言語的な不安もない。私は街の中の歯科にもかかっているが、最近は留学経験のある医師が多いので、少し探せば英語の通じる歯科医を見つけることもそれほど難しいことではない。私の担当歯科医も流暢に英語を話すので、安心して治療を受けることができている。
最後に、珠海を含む中国ベイエリア特有のメリットとして、「空気の良さ」を挙げておきたい。中国といえば「大気汚染」というぐらいに、都市部での空気の悪さは有名だが、中国の中でも珠海を含むベイエリアは例外だ。そこそこの都市圏でありながら、これだけ空気の質が良い場所は、中国の中ではベイエリアだけだろう。
私の同僚の中には、大都市圏の超名門大学と中山大学の両方からオファーをもらった人がいるが、彼は空気の質を理由に中山大学を選択したそうだ。私も出張で大都市の空気の悪さは経験しているが、あの大気汚染のなかで10年20年と生活することは、かなりのリスクだろうと思う。
中国移籍のデメリット
さて、次にデメリットについても意見を述べてみようと思う。デメリットとして、まず最初に挙げたいのは「手続きの煩雑さ」だ。これは、生活の立ち上げから始まって、様々な場面で顔を出してくる問題である。中国は光度にIT化が進んでいる国ではあるが、それはあくまで自国民に対しての話である。外国人については、あらゆる場面で「例外扱い」となり、発達したシステムの利便性を十分に享受することは出来ない。
また、うちの職場に特化した問題として、外国人に対するサポートが十分ではないという点もデメリットの一つとして挙げておきたい。外国人として中国で生活していると、さまざまな場面で余計な手続きが必要となるが、その多くは中国語ができないと対応できない。そこで、助けてくれる中国人が必要となるのだが、外国人をサポートする特別の部門は職場に存在しないので、個人的に助けてくれる人を探すことになる。いつも都合良く人が見つかるとは限らないので、苦労するときもある。
面倒な手続きは、具体的にはいろいろとあるのだが、特に面倒だと思うものの一つに「国外送金」がある。中国から国外に送金するためには、かなり多くの書類を揃えて銀行の窓口に行って手続きしなくてはいけない。送金することは可能なのだけれど、とにかく手続きが面倒で、かなりストレスフルであることは間違いない。
職場関連のデメリットしては、まず研究予算の獲得の困難さが挙げられると思う。中国というと研究予算が豊富で、簡単に予算をもらえると勘違いしている外国人が多いのだけれど、研究費の採択率は、分野にもよるが1-2割程度と決して簡単ではない。また、書類は中国語でかかなければいけない項目も多く、外国人にはかなりの負担となる。
また、ティーチングのノルマが案外多いことにも触れておきたい。年間72校時(36コマ)の担当が義務付けられており、これに加えて大学院の講義を担当する必要がある。また、ティーチング研修や、模擬講義による実技審査等もあるため、ティーチングの負荷は決して軽くはない。
最後に、もう2点デメリットを付け加えておきたい。一つは既に上記でも部分的に触れたが、ある程度の中国語能力は必須であることだ。完全に中国語を拒否した状態で長く勤務することはかなりの困難を伴うと思われる。私は個人的には語学学習が好きなので、日々中国語を学び続けることにストレスを感じないが、外国語にアレルギーがある人が中国に来ると辛くなる可能性はあるだろう。
もう一点は「コロナ規制」である。正直な話、現行の中国のコロナ規制は相当な厳しさだ。コロナ規制によってあらゆる予定が最後の瞬間に変更になることはもはや日常茶飯事である。また、あらゆる場所で突然「ロックダウン」に合う可能性がある。ロックダウンされる場所は自宅だけとは限らない、職場や買い物で訪れたスーパーマーケット等、あらゆる場所にいつ閉じ込められるか分からない。このような状況が永遠に続くとは思わないが、現在の中国では明らかな生活のデメリットの一つなので付記しておきたい。
2022年8月20日土曜日
【日記】附属病院利用特典は福利厚生の目玉、「検察側の罪人」を鑑賞
2022年8月19日(金)
中国語学習
2022年8月19日金曜日
【日記】公共料金の支払は大家に直接、研究競争と妬みの心理
2022年8月18日(木)
1. 自分と同等か、それよりも劣っているものが優位に立つ2. 自分の嫌いなもの、軽蔑しているものが優位に立つ3. 自分と同性のものが優位に立つ4. 自分より優れたものから優位を誇示される
妬み深い性格を直すには、まず自分のした仕事の成果を評価することである。
さらに妬みの心理を抜け出すためには、[視野を広げる]ことである。視野が広がれば勝ち負けに拘らなくなる。
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月18日木曜日
【日記】「宇宙で一番強い力はなんだと思う? 重力じゃなくて嫉妬なんだ」
2022年8月17日(水)
「宇宙で一番強い力はなんだと思う? 重力じゃなくて嫉妬なんだ」
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月17日水曜日
【日記】「究極中国語」は優れた中国語学習アプリ、「良い大学」に行くメリットとは
2022年8月16日(火)
「コロナ前っぽい」例文 |
いわゆる「良い大学」に行くことの意味は、良い授業を受けられることにあるのではなく、「頭の良い級友に恵まれる」ということにある。
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月16日火曜日
【日記】生存確認を兼ねたミーティング、語学ができない人は接待係?
2022年8月15日(月)
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月15日月曜日
【日記】昭和系ウルトラマン展、「益川流のりしろ思考」を一読
2022年8月14日(日)
新しい理論は何もない〝無〟から突然に生まれることは絶対にありません。 知識と知識が結びついて、新しい理論になって飛び出すのです。
創造するには「材料」をきちっと持っていないとだめです。 その材料は多いにこしたことはありません。
だから、「雑学」がとても重要になってきます。
「ああ、ここではこういうふうに思考するんだ」ということも含めて、いろんなものに興味をもって、たくさんの情報や知識を常に頭に入れておく。それが創造力の「源泉」になるのです。
中国語学習
2022年8月14日日曜日
【日記】ちょっと特殊な講義の準備、多様な博士課程新入生
2022年8月13日(土)
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月13日土曜日
【日記】「ゼロからわかるブラックホール」と「きみの体は何者か」を一読
2022年8月12日(金)
台風は既に過ぎ去ったはずなのだけれど、台風一過で晴天というふうにはならず朝から激しい雨が降っていた。暴雨警報が発令されたために社区の無料PCR検査場は今日も引き続き閉鎖となった。これまでにも何度か日記に書いているが、悪天が続いてPCR検査を受けられない期間が長くなると、職場に入るために要求される陰性証明を維持することができず仕事に影響が出てくる。今週は博士課程の学生さんと研究の議論を行う予定だったのだけど延期することになった。
オンラインで議論をするという手もあるのだけど、どうも私はオンラインでの議論というのがあまり好きではない。現状のオンライン会議システムは、黒板やホワイトボードの前に立って、いろいろと落書きしつながら、あーだこーだ言いながら議論することの代わりにはまだならないというのが私の個人的な意見である。自宅にいると「なかなか頭のスイッチが入らない」という事情もある。
「ゼロからわかるブラックホール 時空を歪める暗黒天体が吸い込み、輝き、噴出するメカニズム」(大須賀健著)を一読した。講談社ブルーバックスが夏休みということで「割引セール」をやっていたので、ここぞとばかりに天文や物理関係の電子書籍を大量に購入したのだけど、この本はその中の一冊だ。タイトルに「ブラックホール」という言葉が入っているので、ブラックホールについての本かと思って読み始めたのだけど、その実態は相対論的なディスクとジェットについて熱く語っている本だった。この研究分野は数理的な難易度が高く、一般向けに分かりやすく説明することはかなり難しいと思うのだけれど、最後までとても面白く読むことができた。
今日はもう一冊「きみの体は何者か」(伊藤亜紗著)という本を読んだ。以前、「日本哲学の最前線」(山口尚著)を読んだときに、日本の哲学の最前線を担う旗手の一人として伊藤亜紗さんが紹介されていた。この本の中で「自分の体は自分の思い通りにならない」という伊藤さんの言葉が引用されていたのだけど、これがとても印象に残り、出典を読んでみたいと思っていた。その出典がこの「きみの体は何者か」である。
この本は小学生高学年から中学生くらいの年齢の読者を想定して書かれている短い本なので短時間で読めてしまう。伊藤亜紗さんは「吃音」の持ち主なのだけれど、その体験から「自分の体との付き合い方」について若い人にアドバイスするといった感じの内容だ。子供向けに書かれた本ではあるけれど、吃音に限らず、何か自分の体に不満や問題を抱えている人が読むと、大人が読んでも少し気持ちが楽になるような作用があると思う。
中国語学習
単語と例文の暗記(20分程度)
2022年8月12日金曜日
【日記】連日のPCR検査場閉鎖、楽しそうに科学を語る研究者
2022年8月11日(木)
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月11日木曜日
【日記】2022年8月10日(水) 、昭和系ウルトラマン展の案内、思考に使う言語
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月10日水曜日
【日記】2022年8月9日(火) 、「牙科材料」の購入、「世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン」を一読
先週の後半は天気が崩れて自宅で仕事していたので、今日は久々にオフィスに行った。8月上旬から中旬は普通であればほとんどの学生が帰省して院生部屋はほぼ空っぽになる時期だが、今年は半数弱くらいの院生が大学内に居残っているようだ。居残っているとは言っても先生たちは夏休み中で、講義もセミナーもグループミーティングもないので、それなりに「のんびりムード」は漂っている。
昨日歯医者で行った「アンカースクリューの埋設」がとても痛かったので、その後の経過が心配だったのだけど、今朝状況を確認したら、特に腫れることもなく痛みもないので大丈夫そうだ。アンカースクリューと口腔内部の粘膜との間がこすれるのを防ぐために、当面は食事の時以外は歯科用止血コットンをアンカースクリューと粘膜の間に挟んでおくと良いということで数回分の歯科用止血コットンをもらってきた。しかし、雰囲気としてはもう少し必要そうだ。
そこで、通販サイトで探ってみたところ、中国では歯科医が使うような様々な道具が一般向けに販売されているようだ。「牙科材料」というキーワードで検索すると色々と出てくる。とりあえず、通販サイトの写真を見ながら歯科医でもらったコットンと同じようなものを注文した。食事のときにはコットンを外し、それ以外はコットンを挟んで粘膜を保護するということを繰り返していれば、そのうち粘膜が厚くなり、コットンなしでも痛くなくなるそうだ。
「世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン」という本を一読した。ワインに関する「蘊蓄」をまとめた本だ。著者は渡辺順子さんという大手オークション会社のワイン部門で働いた経験の持ち主だ。オークション会社でワインを扱っておられただけに高級ワインについての蘊蓄が特に面白かった。カリフォルニアワインの「オーパスワン」が有名になっていく話なんかは雨リアンドリームを体現していて痛快だ。
一つ注文をつけるとすると、中国在住者としては、中国ワインについてもう少し詳しく扱ってほしかった。中国ワインでは「アオユン」が取り上げられていたが、それ以外のワインもボルドーのシャトーと提携しているという話も聞くし、取材するときっと面白い話があるんじゃなかろうかと思う。
中国語学習
単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(20分程度)
2022年8月9日火曜日
【日記】2022年8月8日(月) 、痛かったアンカースクリューの埋設、認証付き戸籍謄本が到着
今日は月一回の矯正治療の調整日ということで歯医者に行ってきた。現在、日本語で言うところの「表側ワイヤー矯正」をやっているのだけれど、今日で開始から丸3ヶ月が経過したことになる。初回は上の歯を2本抜歯し、2回目は下側の親知らずを抜歯した。抜歯が終わったので、もうこれ以上「痛い治療」はないかと勝手に思いこんでいたのだけれど、今回の治療が通院しだしてから一番痛かった。
今日やった治療は「アンカースクリューの埋設」である。アンカースクリューというのは、「アンカー」という言葉からも分かるように、ワイヤーを引っ掛けて歯を引っ張るためのフックである。歯茎の根本の骨にネジ釘をねじ込む訳だ。麻酔するから痛くないだろうと思っていたのだけれど、これがそうでもなかった。
確かに麻酔をするので歯茎や骨の表面をネジが通過するときには全く痛くなかったが、骨の中を数ミリほど入ったところからかなり痛くなり、2-3回麻酔を足してもらった。しかし、正直なところ麻酔を足してもかなり痛かった。家に帰ってからYouTubeで体験者の感想を見ていると、全く痛くないという人から気絶するほど痛かったという人まで、体験者の感想は様々だ。私はどうも、歯科の麻酔が効きにくい体質なのかもしれない。
先月、外務省の公印証明と在日中国大使館による認証付きの戸籍謄本を取り寄せる作業の代行を日本の行政書士にお願いしていたのだけど、最初にコンタクトを取った日から数えて丁度1ヶ月目となる今日、ようやくDHL便で現物を受け取ることができた。
今回は防疫規制の影響で断念したけれど、本来ならば戸籍謄本の中国語翻訳も作って、翻訳についても在日中国大使館認で認証を取りたかった。この手続を行うには翻訳と認証取得の前に、在中日本領事館で署名証明をとる必要があるのでさらに時間がかかる。
今回の経験を踏まえると、中国の役所で「絶対にいちゃもんを付けられない戸籍謄本」、つまり外務省の公印証明と中国大使館の認証、さらに中国大使館での認証付き中国語翻訳が付いた戸籍謄本を準備するには、少しゆとりを含めて、3ヶ月くらいの手続き時間を見ておく必要があるだろうと思う。
中国語学習
単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(20分程度)
ピアノ練習
SimplyPiano、リードシートIII
2022年8月8日月曜日
【日記】2022年8月7日(日) 、新たに日本人教授が赴任、天文学を学べる大学は増えたものの…
今朝職場から来た人事関係の通知を見ると、どうやら職場の理論物理グループに、新たに日本人の教授が赴任されるようだ。近年、日本から中国に移籍してくる日本人研究者が本当にすごい勢いで増えているように思う。今回の人事は私のグループの人事ではないので新しく赴任してこられる方の経歴は存じ上げない。しかし、書類審査を通すための最低条件はだいたいどこのグループでも共通しているので、最初から教授で赴任して来られるということは、かなりの業績の持ち主であることは間違いない。
Twitterのタイムラインを眺めていたら、「宇宙を学べる大学・天文学者がいる大学一覧」の2022年版が流れていた。私が学部生だった頃に比べると、天文学者がいる日本の大学の数が格段に増えている。ただ、天文学者がいる大学は増えたものの、日本で天文学者としてメシを食っていける機械が増えたかというと、そうは言えないところが難しいところだ。これから真剣に天文学分野で研究者を目指そうとするならば、もう早い時点で日本を離れて、外国での就職を念頭にキャリア設計を考えた方が現実的かもしれない。
中国語学習
単語と例文の暗記(25分程度)
2022年8月7日日曜日
【日記】2022年8月6日(土) 、上手く頭をオフにできないときの対処、中国の白ワインの独特の風味
2日ぶりに晴れたので、朝食をとったあと腹ごなしがてら近所の無料検査場に言ってPCR検査を受けてきた。土曜日の無料検査場は通常ならばガラ空きなんだけれど、今日は少し検査街の列ができていた。私と同じように、雨降りで検査をサボっていた人が溜まっていたのかもしれない。
新学期の講義準備や、研究のための考え事や執筆を進めようと思いつつ、家にいるとついサボり気味になってしまう。しかも、夏休み時期の土曜日ともなると、もうどうしようもない。精神科医やらカウンセラーやらの書いたり話したりしたものを見聞きすると、「心の健康を維持するためには休みの日に仕事のことを考えない」というようなことがしばしば書かれていて、それは非常に正しいと思うのだけれど、学者家業をやっていると、若い頃から「24時間学問のことを考え続ける」みたいな習性が身についてしまっており、なかなか上手く脳をスイッチオフの状態にできない。
結局のところ、頭を「スイッチオフ」の状態にするのは私にはとても難しく、経験的に気づいたのは、私ができるのはスイッチオフではなく、「別のスイッチへの切り替え」ということだ。例えば、何も考えないことは難しくても、読書に集中する、ピアノに集中する、中国語学習に集中する、みたいなことは可能なのである。他のことに集中している間は、少なくとも仕事のことからは思考が離れる。つまるところ、私は何かに集中していないとだめなようだ。
報道を見ていると、リゾート地として有名な海南島の三亜市で感染者が急増しロックダウンとなったようだ。8万人の観光客が三亜市内に閉じ込められているらしい。こういうときに宿泊場所や費用はどうなるのかとつい心配してしまうが、報道を見ている限りは基本的に自腹のようだ。例えば、高級ホテルに2-3泊の予定で宿泊している人がロックダウンで2週間延泊みたいなことになると、延泊料金がとんでもないことになると思うが、いったい皆さんどのように対処しているのだろう。
今年の夏の感染状況は、コロナ禍勃発以降最悪規模だと思うが、どういうわけか中国人の同行を見ていると遠方に旅行や出張に出かける人が多いように思う。私はまだ中国語が不自由で、見知らぬ土地でロックダウンに巻き込まれた場合の対処に自信がないので、とても遠出する気は起こらない。
そんな訳で、私の最近の週末の楽しみはというと、出前の中華料理と中華ワインである。今日は「张裕」の白を試してみた。これまで、中国内の主だったワイナリーの売れ筋の(安い)赤ワインはだいたい一通り試してみたのだけれど、「赤」はかなり美味しいと思う。张裕や长城といった大手ワイナリーのホームページを見ていると、フランスの一流シャトーと技術提携しており、フランス人の造り手が中国にきて指導したりもしているようだ。例えば、シャトー・ラフィットなんかは中国に畑を所有して、中国で作ったワインをラフィットの名前で販売していたりもする。そんなこんなで、中国ワインというとボルドーっぽい赤の印象がある。
一方で白はと言うと、いままでランダムに数回試してみたのだけど、当たりが悪かったのか、それとも全体的に水準が低いのか、どうもまだ美味しい白に出会えていない。専門的な表現方法を知らないのでいい加減な感想になるが、今まで飲んだ中国ワインの白は、なんというか「塩っぽい」というか、中国の白特有の風味がある。土壌に起因するものなのか、作り方の問題なのかはよくわからないが、何か共通する独特の風味があるのだ。今日試してみた张裕の辛口の白にも、中国の白独特の風味が確かにあるのだけれど、以前に飲んだ一番安い水準の白に比べると「塩っぽさ」がかなりマシで、十分に「美味しいレベル」に達している。そんな訳で、美味しい白もあることが分かったので、今後は白も探ってみようと思う。
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张裕の白ワイン |
中国語学習
単語と例文の暗記(25分程度)
2022年8月6日土曜日
【日記】2022年8月5日(金) 、どちらが先に挑発?、「重力波とはなにか」を一読
連日の雨天で、今日も自宅で仕事することにした。しかし、やはり自宅にいるとあまり仕事の効率は上がらない。コロナ前なら雨の日はタクシーで職場まで乗り付ければ良かったのだけど、現在はコロナ規制で大学敷地内にタクシーが入れないので通勤手段が自転車しかない。雨の日はレインコートを着て自転車にのるのだけど、今の季節、レインコートを着ると猛烈に暑い。雨ではなく汗をかいてずぶ濡れになるので、なんのためにレインコートを着ているのかよくわからなくなる。そんなこんなで、真夏の雨天は職場に行く気がなかなか起こらない。
ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けて中国が台湾周辺で軍事演習を行ったことに対して「中国は挑発行為をするな」という声明が周辺国から出ている。しかし、戦闘機や空母まで従えて米下院議長が台湾を訪問するという「明確な挑発」を最初にやっているんだから、中国の演習は当然の帰結としか思えない。韓国の大統領は、休暇を理由にペロシ氏との面会を断ったらしいが、この大統領には政治的な「知恵」が備わっているような気がする。
「重力波とはなにか」(安東正樹著)を一読。職場に重力波検出実験のナショナルセンターがある関係で、重力波関係の話を聞く機会は少なくないのだけど、基本的なことを知らないので一度啓蒙書でも読んでみようと思ってこの本を手に取った。読み始めたら非常に面白くて一気に最後まで読んでしまった。特に後半部分で展開される重力波天文学の将来的な展望には本当にワクワクするような面白さがある。今後、順調に装置の安定度と感度が増していけば、重力波関係だけできっと幾つもノーベル賞が量産されるだろう。
あと、興味深かったのは重力波検出を確認する確認システムの厳密さである。プロジェクトの研究者がきちんと本物の信号を選別できるかどうかを、「偽信号」を人為的に検出器に送り込むことで確認するのである。偽信号を検出器に送り込むことは「信号インジェクション」と呼ばれるが、研究者たちは今自分が解析しているデータが信号インジェクションによるものかどうかを最後の瞬間まで知らされない。場合によっては、信号インジェクションによる偽信号で論文まで書き上げてしまい、投稿する最後の瞬間に「偽信号でした」と知らされたケースもあったようだ。本当に「ここまでやるのか」と思ってしまうような厳しい信頼性確認を行っている。天文学の他の観測プロジェクトも、重力波プロジェクトの検出確認システムから学ぶことが多いのではないかと思う。
中国語学習
単語と例文の暗記(20分程度)
2022年8月5日金曜日
【日記】2022年8月4日(木) 、久々の自宅勤務、名前の漢字表記、京都大学OCW
中国語学習
ピアノ練習
2022年8月4日木曜日
【日記】2022年8月3日(水) 、久々の曇天、相変わらずな西側メディアの煽り
7月の珠海は通常ならば雨季の真っ最中で2日に一度くらいは雨がふる。しかし、今年はどうやら異常気象のようで3週間ほどずっと晴天が続いていた。あまりにも晴れが続いて、少し夏バテ状態になりかけていたところ、今日になって少し雲が出始めた。長期予報を見ると、明日から見渡す限りずっと雨天が続く予報となっている。雨季に延々と続く雨は本来は嫌なものなのだけど、ありえないくらいの晴天と猛暑が続いたので、正直少しホッとしている。
今日は、アメリカの下院議員議長が台湾を訪問するとかで、中国内外ともにSNS上でちょっとした騒ぎとなっている。私がWeChatアカウントを交換するのは基本的に大学関係者が多いので、普段はあまり政治的な投稿は流れてこないのだけど、今日に限ってはWeChatモーメンツにも台湾関係の投稿が流れてくる。その一方で、西側メディアの煽り方も相変わらず酷い。あれを見ていると、西側メディアに規制をかけておく中国の戦略というのは、あながち間違ってはいないような気もする。
中国語学習
単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(20分程度)
ピアノ練習
SimplyPiano、リードシートIII
2022年8月3日水曜日
【日記】2022年8月2日(火) 、ビーチの清掃に勤しむ院生たち、コロナ時代の国際会議
どのような経緯で始まったのか詳しいことは知らないのだけれど、しばらく前から天文学科の院生有志が大学前ビーチのゴミ拾いボランティアをやっている。いつまで続くのかなぁと思いながら見ていたのだけど一年以上経ってもまだ頑張っているようだ。通勤路沿いにビーチがあるためほぼ毎日様子を見ているのだけれど、とても綺麗な状態で維持されている。
私が担当していた講義に参加していた学生が清掃ボランティアのリーダーをやっている関係で、私も彼らのグループチャットのメンバーに入っている。それで、今朝流れてきたメッセージを見ていると、活動資金難(清掃用具が買えない)とのことだったので少ない金額ではあるけれど寄付をした。
このビーチ清掃ボランティアに参加している学生にはどういう訳か優秀な学生が多い。もしかすると、週一回、ビーチを隅から隅まで歩き回ってゴミを拾うという作業は、研究を進める上でポジティブな効果をもたらしているのかもしれない。
TwitterのTLを見ていると、かなり多くの日本人天文学者が、同時期に「これから外国出張に行く」というツイートを流していた。何か大きな国際会議があるのかと思ったら、案の定、今日から韓国で国際天文連合の総会が開催されるようだ。強いコロナ規制が敷かれている今の中国にいると、外国出張することは現実的ではない。うちの職場でも国際天文連合総会に参加する人は誰もおらず、総会のことはすっかり忘れていた。
SNS上の研究者の発言を見ていると、全体的には国際会議に参加できないことを嘆いている人が多いようだ。私はというと、個人的に国際会議があまり好きではないこともあって、コロナ禍にかこつけて、(正当な理由によって)国際会議に参加しなくても良い「平和な時代」を満喫していたりする。まぁ、その一方で、外国に観測に行けないのはちょっと寂しい感じはするのだけれども。
ところで、とある日本の大学教員の方が、「日本に人種差別はあるでしょ。それもかなり露骨な形で。留学生たちと英語で話しながら街を歩いたらすぐにわかるよ」というような発言をTwitter上でされていた。これは本当にその通りだと思う。私も職場の(中華系の)学生を連れて日本に出張に行ったときに、何度か嫌な思いをした。(そして、学生にも嫌な思いをさせてしまった。)外国人排斥につながるような空気が醸成されつつある国は日本に限った話ではないが、それにしても国際的に活動する人間にとって、本当に不自由な時代になってきたと思う。
中国語学習
単語と例文の暗記(20分程度)
ピアノ練習
SimplyPiano、エリーゼのために
2022年8月2日火曜日
【日記】2022年8月1日(月) 、夏休みも大学に居残る学生さんたち、「死の壁」を一読
通常なら今の時期は多くの学生が帰省してキャンパスはひっそりと静まり返っている時期なのだけど、今年は夏休み期間と思えないくらいキャンパスで学生を頻繁にみかける。私のグループの院生もずっと残っているので帰省しないのか聞いたところ、やはりコロナ規制の影響で新学期に戻ってこられないことを心配しているようで、今年は基本的にはキャンパスに居残るつもりのようだ。
「じゃあ、どうせ大学にいるんだったら学期中と同じように議論を続けましょうか」ということで、いつも通り週一回のミーティングを続けている。コロナで大変な面もあるだろうけれど、一方でコロナのせいで飛躍できたなんていうことも人によってはありえるかもしれない、などということをミーティングの後にふと考えていた。
日本も夏休み期間ということで、各出版社や電子書籍プラットフォームが日本語電子書籍の「夏の割引セール」を行っている。割引セールがあるとついついまとめ買いをしてしまい「積読フォルダ」の容量が増え気味になるのだけど、少しでも積読量を減らそうと思ってせっせと毎日読書に勤しんでいる。今日は「死の壁」(養老孟司著)を一読した。
養老さんというと「バカの壁」で有名だが、この本はその続編に当たるようだ。バカの壁を読んだことがないので、いきなり続編から読んで意味がわかるのかという気もしたが、分からなかったらまぁそれはそれということで読み始めたところ存外おもしろく、最後まで一気に読み通してしまった。
この本のメインテーマは養老さんの「死生観」である。養老さんは解剖学者ということで、普通の人に比べると死(や死体)を身近に感じてきた人だ。それだけに、その死生観には興味深いものがある。あまりにも毎日死体に接していると、死に対して鈍感になるのかと思っていたが、養老さんの死に対する感覚は、むしろ一般の人間よりも鋭敏ですらあり、その言葉の一つ一つは、日常の中で一般人が無視してしまっている「死」という概念の輪郭を明確に浮かび上がらせるような作用があるようだ。
死生観とは直接関係ない部分であるが、一つ興味深かったのが「交通事故を起こしやすい性格」についての記述である。精神科医が行う「自由連想」で引っかかる言葉がある人は、交通事故を起こしやすいのだそうだ。自由連想というのは、ある言葉を最初に思い浮かべ、それから連想される言葉を次々に挙げていくという作業で、精神科の診断で行われる手法らしい。例えば、バナナ、果物、りんご、赤い、太陽、といった感じで言葉を続けていくようなことが自由連想である。
この自由連想をやっていると、ある特定の言葉がくると連想が止まる(できなくなる)人がいるそうだ。そういう場合、その言葉に関連した事柄にトラウマがある場合が多いのだそうだ。養老さんは「挨拶」という言葉で自由連想がとまるそうだ。私も自由連想を行うと、止まってしまう言葉が幾つかあり、それらは非常にネガティブな記憶と連動しているように思う。そして、確かに私は交通事故を起こしやすいことを自覚している。養老さんは50代くらいで「ある事柄」に関する心の整理が付き、徐々にトラウマにとらわれることがなくなっていったらしい。私の場合は今後どうなるだろうか。
中国語学習
単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(20分程度)
ピアノ練習
SimplyPiano、リードシートIII
2022年8月1日月曜日
【日記】2022年7月31日(日) 、制御不能状態での大気圏突入、「知の体力」を一読
この実験の 1 年後に、米国は制御不 能に陥って大気圏に再突入しそうな自国の偵察衛星を大陸弾道弾迎撃ミ サイル(SM-3)で破壊して、大量のデブリを発生させた
今回の中国の件が問題なのはよく分かるのだけれど、宇宙開発の歴史的な経緯や、他国が過去に引き起こした同種の問題等に一切触れずに中国の問題とその危険性だけを強調する西側メディアの報道姿勢を見ていると、この問題もいつも通り政治的な意図で利用されているのだろうという勘ぐりをしてしまう。
居留証関係のトラブルでここしばらく週末もゆっくりと休むことができなかったので、今日は久々にのんびりと読書と囲碁ソフトでの囲碁対局の間を行ったり来たりしながらのんびりと過ごした。そんな訳で、Kindleの「積読フォルダ」に溜まっていた「知の体力」(永田和宏著)を一読した。
著者の永田和宏さんは細胞生物学者であり、なおかつ歌人としても活動されてこられた人物のようだ。この本は、基本的には若い人向けに「生き方のヒント」のようなものをご自身の経験をもとにかかれた本である。この本で述べておられる事柄には、同じ大学教員として賛同する部分も少なくない。しかし、それと同時に、今の時代の若手研究者には、もしかすると上手く響かないのではないかと思える記述も幾つか見られた。それに関しては、ご自身もなんとなくそのように思われている(ともとれるような)記述をチラホラと織り交ぜておられたりもする。まぁ、ご愛嬌である。
「大学教員は教えすぎてはいけない」ということを繰り返し行っておられて、これについては、これは私自身の大学教員としての経験と照らし合わせても正しいと思う。優秀な学生というのは、学問の技術的な面では放っておいても伸びる。しかし、その一方で、非技術的な面(表現が難しいが、言い換えるとすればメンタル的な面か)では、上手に寄り添ってあげる必要があると私は思っている。その辺、永田さんも、実に真摯にご自身の学生さんに寄り添ってこられたことが文章から伝わってきて、共感を覚えるのである。
中国語学習
単語と例文の暗記(20分程度)