<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>
【筆者紹介】中国在住の日本人天文学者。米国→台湾→香港→ロシアと渡り歩いた後、2019年11月に中国広東省の大学へ移籍。外国生活20年目。研究者生活も20年目。専門は晩期型星の質量放出現象、天体メーザー、電波天文学。最近は、星が合体した後の環境で作られる分子ガスに興味を持っている。研究以外の最近の趣味は、中国語学習とピアノの練習、あとライフログがてらの日記ブログの執筆。
2018年9月3日月曜日
2018年8月31日金曜日
2018年8月30日木曜日
【第66回】定年退職のない職場と年金問題
私の職場には定年退職の規定がありません。そのため多くの大学教員が日本の定年退職年齢を超えても現役で働いています。アメリカの大学でもテニュアを持っている人は高齢になっても働き続ける人は少なくありませんが、私が知っている範囲では、そのような場合、講義や院生の指導を行わないなど、若い時とは働き方が変わり、給料も減額される場合が多いように思います。
一方ロシアでは、70才を超えて講義を持つのは普通ですし、役職についている人も少なくありません。私が赴任した当初の大学附属天文台長も76才でしたし、当時58才だった同僚が学部の時に講義を受けた教授が80代後半で現役でした。私の所属する学科の学科長は55才ですが、もしかすると学科の中では平均年齢以下かもしれません。
長く働ける職場環境であることは研究者にとっては、ずっと興味のある研究を継続できるという意味で良いのですが、同僚たちの話を聞いていると必ずしもポジティブな反応ばかりではありません。ネガティブな反応として、まず最初に挙げられるのが「年金が少ないから辞められない」というものです。年金額は人によって様々なようで、連邦大学職員だと支給額が月5000ルーブルといった場合もあるようです。こうなるととても年金だけでは食べていけませんから働き続けるしかありません。
職場を見渡してみると、高齢でも講義を続けている元気な人もいる一方で、言葉は悪いのですが、ほんとうに「ヨボヨボ」な感じで、職場に来てお茶を飲んでおしゃべりして帰っていくだけ(に限りなく近い)人もいます。しかし、ロシアでは職場の同僚との関係を非常に大切にするので、あまり仕事ができない高齢者が職場にいても誰もそれを咎めませんし、その人たちが仕事できない分は他の人達がカバーしている感じです。とはいえ、もし生活する上で十分な年金が支給されていれば、体力のない高齢者は、おそらくリタイアして自宅で家族と一緒に平和な老後を過ごすのではないのかなという気はします。
高齢スタッフが働き続けることと関連して、若い研究員からは「ロシアの大学ではポストがなかなか空かなくて困る」という意見を聞いたこともあります。上で述べたように、うちの職場もスタッフの平均年齢が高く、若い人がもっと入ってくるべきなのですが、空きができないのでなかなか新規の人が就職できません。
とはいえ、私が面白いと思うのは、日本だとこういう状況になると高齢スタッフにかなり攻撃的な発言をする若手が出てきそうですが、私の職場では、若い人も中堅の人も、皆さん基本的に高齢者にとても優しく接しています。困ったことがあったら助けてあげているし、仲間としてリスペクトしている感じがします。例えば、75才、80才などの節目の誕生日を迎える同僚の誕生日パーティーはうちの職場では欠かせない行事です。こういうパーティーの時、高齢のスタッフも一切遠慮はありませんし、誇らしげに子供や孫を職場のパーティーに連れてきます。ロシアの年金問題は難しい問題ですが、しかしそれが職場で世代間の不協和音につながらないところがロシアとその文化の興味深いところです。
一方ロシアでは、70才を超えて講義を持つのは普通ですし、役職についている人も少なくありません。私が赴任した当初の大学附属天文台長も76才でしたし、当時58才だった同僚が学部の時に講義を受けた教授が80代後半で現役でした。私の所属する学科の学科長は55才ですが、もしかすると学科の中では平均年齢以下かもしれません。
長く働ける職場環境であることは研究者にとっては、ずっと興味のある研究を継続できるという意味で良いのですが、同僚たちの話を聞いていると必ずしもポジティブな反応ばかりではありません。ネガティブな反応として、まず最初に挙げられるのが「年金が少ないから辞められない」というものです。年金額は人によって様々なようで、連邦大学職員だと支給額が月5000ルーブルといった場合もあるようです。こうなるととても年金だけでは食べていけませんから働き続けるしかありません。
職場を見渡してみると、高齢でも講義を続けている元気な人もいる一方で、言葉は悪いのですが、ほんとうに「ヨボヨボ」な感じで、職場に来てお茶を飲んでおしゃべりして帰っていくだけ(に限りなく近い)人もいます。しかし、ロシアでは職場の同僚との関係を非常に大切にするので、あまり仕事ができない高齢者が職場にいても誰もそれを咎めませんし、その人たちが仕事できない分は他の人達がカバーしている感じです。とはいえ、もし生活する上で十分な年金が支給されていれば、体力のない高齢者は、おそらくリタイアして自宅で家族と一緒に平和な老後を過ごすのではないのかなという気はします。
高齢スタッフが働き続けることと関連して、若い研究員からは「ロシアの大学ではポストがなかなか空かなくて困る」という意見を聞いたこともあります。上で述べたように、うちの職場もスタッフの平均年齢が高く、若い人がもっと入ってくるべきなのですが、空きができないのでなかなか新規の人が就職できません。
とはいえ、私が面白いと思うのは、日本だとこういう状況になると高齢スタッフにかなり攻撃的な発言をする若手が出てきそうですが、私の職場では、若い人も中堅の人も、皆さん基本的に高齢者にとても優しく接しています。困ったことがあったら助けてあげているし、仲間としてリスペクトしている感じがします。例えば、75才、80才などの節目の誕生日を迎える同僚の誕生日パーティーはうちの職場では欠かせない行事です。こういうパーティーの時、高齢のスタッフも一切遠慮はありませんし、誇らしげに子供や孫を職場のパーティーに連れてきます。ロシアの年金問題は難しい問題ですが、しかしそれが職場で世代間の不協和音につながらないところがロシアとその文化の興味深いところです。
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| 職場の誕生日パーティーの様子 |
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【第65回】安ウォッカでのたうち回った話2018年8月28日火曜日
【第65回】安ウォッカでのたうち回った話
エカテリンブルクに赴任した当初、スーパーのウォッカコーナーを眺めていて、棚の下の方に異常に安い酒が並んでいることに気がつきました。「異常に安い」というのは、700ミリリットル入のボトルが100ルーブルを切るような値段です。上の方の棚に並んでいるよく知られた銘柄はだいたい300ルーブルもしくはそれ以上の値段がついています。
そこで、よせばよいのに「せっかくロシアに来たのだから一度ウォッカでも飲んでみるか」と思いたち、この安ウォッカを飲んだのが大失敗でした。安ウォッカを飲んだ日の夜中、激しい腹痛に襲われ本当に文字通りトイレでのたうち回りました。酒を飲みすぎると吐き気を催したりしますが、そういう類の症状ではなく、とにかく今まで酒を飲んだときに感じたことのないような激しい腹痛でした。(ちなみに、私はお酒を飲んで吐いたことはないので、それほどアルコールに弱い方ではありません。)
当時はまだ職場の外国人サポートスタッフも割り当てられておらず、さらに天文学グループの同僚が出張で街にいなかったので、なんとか救急車を呼ばずにやり過ごしたのですが、今だったら間違いなく救急車を呼んでいたレベルです。
後で知ったのですが、ロシアにはその辺のスーパーにも、国の基準を満たしていない劣悪な品質の酒類が平気で並べられているそうなのです。私がのたうち回った話はもう4年ほど前の話なので、今でも飲むと腹痛を起こすようなひどい品質のウォッカがスーパーに並んでいるかどうかはわかりませんが、100ルーブル以下の安ウォッカは今でも店頭に並んでいます。他の安ウォッカでも腹痛が起こるのかどうかは不明ですが、私は恐ろしいのであれ以来、極端に安い酒類は飲まないことにしています。
ロシアのスーパーの酒売り場の棚は、高いものが上、安いものが下で、おおよそ上から下に値段の順番に並んでいますので、一番下の棚に並んでいるものすごく安いウォッカには要注意です。
そこで、よせばよいのに「せっかくロシアに来たのだから一度ウォッカでも飲んでみるか」と思いたち、この安ウォッカを飲んだのが大失敗でした。安ウォッカを飲んだ日の夜中、激しい腹痛に襲われ本当に文字通りトイレでのたうち回りました。酒を飲みすぎると吐き気を催したりしますが、そういう類の症状ではなく、とにかく今まで酒を飲んだときに感じたことのないような激しい腹痛でした。(ちなみに、私はお酒を飲んで吐いたことはないので、それほどアルコールに弱い方ではありません。)
当時はまだ職場の外国人サポートスタッフも割り当てられておらず、さらに天文学グループの同僚が出張で街にいなかったので、なんとか救急車を呼ばずにやり過ごしたのですが、今だったら間違いなく救急車を呼んでいたレベルです。
後で知ったのですが、ロシアにはその辺のスーパーにも、国の基準を満たしていない劣悪な品質の酒類が平気で並べられているそうなのです。私がのたうち回った話はもう4年ほど前の話なので、今でも飲むと腹痛を起こすようなひどい品質のウォッカがスーパーに並んでいるかどうかはわかりませんが、100ルーブル以下の安ウォッカは今でも店頭に並んでいます。他の安ウォッカでも腹痛が起こるのかどうかは不明ですが、私は恐ろしいのであれ以来、極端に安い酒類は飲まないことにしています。
ロシアのスーパーの酒売り場の棚は、高いものが上、安いものが下で、おおよそ上から下に値段の順番に並んでいますので、一番下の棚に並んでいるものすごく安いウォッカには要注意です。
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| 写真はイメージ (無料写真素材 写真ACより引用) |
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【第64回】「ロシアの乳製品」ツイートまとめ2018年8月27日月曜日
【第64回】「ロシアの乳製品」ツイートまとめ
ロシアは「乳製品天国」で、スーパーには非常に多くの種類の乳製品が並んでいます。最近、妻がロシアの乳製品に興味を持ち始めたようで、新しい乳製品を見つけてはセッセと買ってきてくれるので、ほぼ毎日未知の乳製品を夫婦で試しています。乳製品を試した後に感想をツイートしてきたのですがある程度数が溜まってきたので、今までの分をここにまとめておきます。
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| 近所のスーパーに並んでいる乳製品。おそらく20種類以上はあるはず。 |
上のツイートには「 イルビトケフィア」と書きましたが、イルビトは産地の名前なので、乳製品の種類としては「ケフィア」です。この「イルビトケフィア」はヨーグルトっぽくてケフィアが苦手な人でも飲みやすい。イルビトはエカテリンブルクから北東に車で2時間半ほどのところにある街。 pic.twitter.com/AvxtuZwFsS— 中島淳一 (@postagbstarjp) 2018年8月20日
小腹が減ったのでリャジェンカ(Ряженка)を一杯。リャジェンカは「焼きミルク」で作ったヨーグルトの一種。口に含むとほんのりとキャラメルのような風味が漂う。ウクライナ発祥の飲み物だそうだ。 pic.twitter.com/rw9zhhh7Kq— 中島淳一 (@postagbstarjp) 2018年8月22日
今日はスネジョーク(Снежок)を試してみた。これは非常に飲みやすい。砂糖が入ったケフィアのような感じ。これまで試したロシアの発酵乳製品の中で、日本のスーパーで売っている「飲むヨーグルト」に一番近いと思う。 pic.twitter.com/9HRJBa0Q05— 中島淳一 (@postagbstarjp) 2018年8月23日
「焼きミルク」(топленое молоко)を試してみた。ほんのりとキャラメルのような香りが漂う。色も薄いキャラメル色。味は若干濃いめのミルクといった感じ。これを発酵させると「リャジェンカ」(ряженка)となる。 pic.twitter.com/PiTHyiIxxe— 中島淳一 (@postagbstarjp) 2018年8月25日
最近、妻が乳製品探索に興味を持っている関係で、いろいろな種類の乳製品を試している。今日は「アシドフィリン」(Ацидофилин)を試した。これはアシドフィルス菌で作った飲むヨーグルトだそうだ。通常の飲むヨーグルトよりも若干粘性が強いが味は飲みやすい。 pic.twitter.com/3hEXtzcPGw— 中島淳一 (@postagbstarjp) 2018年8月26日
今日試した乳製品「プロスタクワーシャ」(простокваша)。牛乳を乳酸発酵させたもの。普通のヨーグルトよりも牛乳の風味が残っている感じ。ちょっと甘みを足したくなる。蜂蜜などを加えるといける。 pic.twitter.com/2VWtOafOrj— 中島淳一 (@postagbstarjp) 2018年8月26日
私はアイランを試してみて「これはアカン」と思ったのですが、ネットで検索してみると「意外に美味しい」と言っている人も多いようです。なんというか、もしかすると私が不味いと思ったのは「コーラのボトルに詰められたコーヒーを飲まされるドッキリ」にひっかかったようなそんな感覚だったのかもしれません。カルピスを思わせるような見た目で「塩味」というのが意外過ぎるので、その予想とのギャップによって不味さを感じた可能性があります。機会があれば、再挑戦してみたいと思います。本日試した乳製品、もう1つは「アイラン」(Айран)。ヨーグルトに水と塩を加えたもの。これはアカン。いろいろ乳製品を試してみたが初めて吐きかけた。日本にあるもので例えて言うならば「漬物の汁」のような味。 pic.twitter.com/DxIkwVZLL0— 中島淳一 (@postagbstarjp) 2018年8月26日
今日も初体験の乳製品に挑戦。今日は「タン」(тан)。昨日試したアイランと同様の「しょっぱい系」だ。アイランはヨーグルトを水で割って塩を足したものだが、タンはヨーグルトを炭酸水で割って塩を足し、若干ミントなどを利かせる。炭酸のせいかアイランよりは飲める。(でも好みではない…。) pic.twitter.com/Uy0ApDdqNL
— 中島淳一 (@postagbstarjp) 2018年8月28日
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【第63回】解体された未完成電波塔
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