夏場、30℃を超える日が数える程しかないエカテリンブルクではエアコンは贅沢品とみなす人が多く、一般の家庭にはエアコンが無い方が普通です。
大学本館のエアコンの増加は、おそらくウラル連邦大学が、国が主導する高等教育改革プロジェクト(5-100プロジェクト)の重点大学に指定されていることと関係していると思われます。
5-100プロジェクトでは、ロシア国内の21の大学が重点大学に指定されています。「5-100」というプロジェクト名には、最低5つの大学を世界大学ランキングで100位以内にランクインさせるという意味が込められています。
2012年から始まったこのプロジェクト、昨年中間段階での評価が行われ、重点大学に「A、B、C」三段階の評価がつけられました。Aは予算補助を継続、Bは予算減額、Cは予算配分の打ち切りという内容です。ウラル連邦大学は「Bグループ」という評価でした。
2014年に赴任して以降、エアコンに象徴されるように施設設備については急速に整備が進みました。しかし、肝心の大学の「中身」の改革は私の目から見るとまだまだこれからというところです。ソビエト時代の大学運営が染み付いているロシアの大学に、お金だけ投入して「欧米から高い評価をもらえるように大学を改革せよ」といっても、実際にはなかなか難しいように思います。
Bグループ、Cグループの大学は、初期に割り振られた予算で多くの外国人スタッフを雇用しており、そのスタッフが今後どのように扱われるか、私としては切実な問題です。エアコンの数が増えたように、大学の質や評価も向上してくれることを願うばかりです。
ウラル連邦大学本館の壁面。4年前に比べて エアコン室外機の数が大きく増加した。 (2018年8月撮影) |