この時期にロシア人からもらう野菜や果物は、彼らが「ダーチャ」と呼ばれる郊外のセカンドハウスの畑で作った自家製の作物です。ダーチャはロシア外では別荘だと解釈されることも多いですが、必ずしもダーチャは日本人が別荘と聞いてイメージするような金持ちの豪勢なセカンドハウスではなく、むしろ大衆的な質素な作りの小さな家が多いです。
現在の大衆的なロシアのダーチャは、第二次世界大戦中から大戦後の食糧不足の対策として、ソ連時代のフルシチョフ政権が各家族に畑用の土地を配布したことが始まりと言われています。この時の習慣が今でも残っており、多くの人が畑付きの家、すなわちダーチャを郊外に所有しています。
職場の同僚2-3人にダーチャを見せてもらったところ、連邦大学の職員ぐらいの身分だと、2-3ベッドルームを備えた質素な木造の家にそこそこ広い畑(25メートルプール1つか2つ分くらい)とサウナ小屋がついている、ぐらいの構成が典型的なダーチャだと思われます。
大学の試験期間が終わり夏休みに入る6月下旬くらいから、野菜や果物が収穫できる期間が終わる10月初旬くらいまで、多くの同僚がダーチャに滞在したり通ったりしています。この時期は市内の自宅ではなくダーチャから出勤する人も多くいます。ロシア人の学生や大学院生たちも夏場はダーチャの畑の世話に駆り出される人が多いようです。
8月も中旬を過ぎるとダーチャの畑も徐々に収穫の時期に入ってきます。もともとロシアでは人にちょっとしたギフトをあげる習慣があるのですが、収穫の時期はとくに野菜や果物の貰い物が多くなります。今シーズンは、昨日初めてダーチャの作物をいただきました。今年始めてもらった作物はビーツ、白瓜、ハーブ等でした。毎年、ロシア独特の野菜や果物をいただくので楽しみにしています。
今年初めて頂いたダーチャの作物。白瓜、ビーツ バジル、西洋オトギリ草など (2018年8月撮影) |