2014年9月1日月曜日

【第17回】 エカテリンブルクの生活スタート

2014年8月18日の早朝5時25分にエカテリンブルクのコルツォボ国際空港に降り立ち、いよいよロシアでの新生活がスタートしました。早朝の到着ということもあったのですが、赴任先の同僚のアンドレイ・ソボレフさんが空港まで車で迎えに来てくれてとても助かりました。

日本から24時間ほどの長旅で疲労もたまっていたので、とりあえず大学寮まで連れて行ってもらい入居手続きも後回しにして、部屋でお昼すぎまで仮眠を取らせてもらいました。大学寮は10階の一部を職員専用のスペースとして割り当てているものの、基本的に学生用の宿泊施設で施設が例えて言うと運動部の合宿所のような感じです。日本式に言うと12畳ぐらいの部屋の中にベッドが3つあり、そのような居室2つでトイレとシャワーを共有するような構造になっています。(私たち夫婦は、学生が6人で住むスペースを夫婦専用で使わせてもらえるように話を通してあります。)

ベッドの上に乗っているマットレスもかなり薄く(おそらく厚さ1センチ程度)、ベッドのフレームやスプリングが直接体に当たり、痛くてとても長時間は寝ていられません。とりあえず仮眠をとるために、マットレスをベッドからおろして当面は床にマットレスを敷いて寝ることにしました。(後日、通常の厚さのマットレスを購入したのですが、これがまた大変な難事業でした)。この他にも、大学寮は長く住むには不都合なことが多く、短くてもイニシャルの雇用契約の終了する3年後までは住むつもりなので、徐々に環境を整える必要があるように思いました。

赴任後、まず真っ先にやらなくてはいけないのが労働許可証の取得と、居住地登録です。労働許可書については申請手続きなどは既に終わっており、私がやらなくてはいけないのは、移民局への「本人出頭」による許可証の受領です。18日のお昼すぎに起きだして、大学の職員の人に同行してもらい、エカテリンブルク市内の連邦政府移民局に出頭しました。

モスクワの移民局などだともう少し事情も違うのでしょうが、エカテリンブルクの移民局は中央アジアからの季節労働者が労働許可を取るために長い列を作っています。大学で働く外国人研究者が労働許可所を受け取りに来るのはかなり珍しいらしく、移民局での待遇はかなり特別なものでした。

50人ほど中央アジアかららしい出稼ぎの方が並んでいるところを失礼していきなり事務室に通され、書類にサインして1分で受領は終了しました(列を作っていた方々すみません)。受け取った労働許可証を移民局の前で眺めていると、私の許可証が珍しかったのか、10数人の中央アジアの労働者に周りを囲まれて許可証を覗き見されてしまいました。

労働許可証
労働許可証受領の後は、大学のメインビルに行って住所登録をしました。ロシアでは通常の観光の場合などでもロシア国内での居住地登録をする必要があります。観光の場合はホテルのフロントで居住地登録しますが、私の場合は大学の外国人職員担当の部署で居住地登録をします。入国の際に発行された白い入国カードを担当者に渡し、一週間ほど後に登録カードを受け取りました。居住地登録は、ロシアから出入りするたびに行わなければいけません。
 
居住地登録の後は、大学職員としてのIDカードの申請を行い、その後、自然科学研究所、天文測地学科の学科長、付属天文台の台長、これから世話になるであろうビザ関係の事務室など関係部署に挨拶回りをして初日は終了しました。

とりあえず発行してもらった仮の入構証
 二日目は、大学寮の入寮手続きをまず行いました。大学寮は、外国人の職員が入るのが初めてということでルールが何も定まっておらず、契約書の内容が学生用のルールに基づいています。(ルールどころか、家賃の額、家賃の納入方法なども未定とのことです)。しかし、学生用のルールでは不都合なことも多く、さまざまな点について変更を申し入れましたが、「変更の交渉は後で可能なので、とりあえず事務手続き上サインしてください」とのことで、致し方なくサインしました。このへんはなかなかさじ加減が難しいところです。

その後、再び同僚に付き添ってもらい、大学寮近くのBeelineという通信会社の事務所で、携帯電話用のSIMカードを購入し、とりあえず最低限の通信手段を確保しました。ロシアは携帯がSIMフリーで売られているので、プリペイドSIMカードも簡単に入手することができます。利用料残高もATMから簡単にチャージすることができます(ロシア語の分からない私でもチャージできるぐらいですから本当に簡単です。またそのうち具体的な手順をまとめたいと思います。)

次に重要なのが給料を受け取るための銀行口座の開設です。私としては日本への送金に便利なようにCitybankなど英語のネットバンキングを提供している外資系の銀行に口座を作りたかったのですが、流石に連邦大学だけあって、外資系の銀行には給料は振り込めないらしく、大学が給料を振り込める旧ソビエト系の銀行の一つSKB銀行に口座を作ることになりました。

経験してみてわかったのですがロシアでの銀行口座の開設は相当な難事業です。私はこれまでアメリカ、台湾、香港で銀行口座を開いてきましたが、これらの地域では基本的に自分一人で口座を開くことが出来ました。ロシアではまず通訳がいなければ口座の解説は不可能と思います。また、通常の口座と給料を受け取る口座は種類が違うらしく、 このへんの複雑なシステムが言語に加えて作業を困難にしています。

大学の説明によると、まず通常の口座を開き、それを給料受領用の口座に切り替えるのだそうですが未だにさっぱり仕組みがわかりません。到着二日目に作ってもらった口座のデビッドカードを次の日にまた銀行に行って破棄してもらい、現在次の連絡を待っているところですが、実際に何が裏で進行しているのか今のところ皆目見当がつきません。なかなかにロシアは難解な世界です。