2014年12月26日金曜日

【第19回】 エカテリンブルクの日本食事情

<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>

2014年12月21日日曜日

【第18回】 怒涛の生活立ち上げ、その後

<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>

2014年9月1日月曜日

【第17回】 エカテリンブルクの生活スタート

2014年8月18日の早朝5時25分にエカテリンブルクのコルツォボ国際空港に降り立ち、いよいよロシアでの新生活がスタートしました。早朝の到着ということもあったのですが、赴任先の同僚のアンドレイ・ソボレフさんが空港まで車で迎えに来てくれてとても助かりました。

日本から24時間ほどの長旅で疲労もたまっていたので、とりあえず大学寮まで連れて行ってもらい入居手続きも後回しにして、部屋でお昼すぎまで仮眠を取らせてもらいました。大学寮は10階の一部を職員専用のスペースとして割り当てているものの、基本的に学生用の宿泊施設で施設が例えて言うと運動部の合宿所のような感じです。日本式に言うと12畳ぐらいの部屋の中にベッドが3つあり、そのような居室2つでトイレとシャワーを共有するような構造になっています。(私たち夫婦は、学生が6人で住むスペースを夫婦専用で使わせてもらえるように話を通してあります。)

ベッドの上に乗っているマットレスもかなり薄く(おそらく厚さ1センチ程度)、ベッドのフレームやスプリングが直接体に当たり、痛くてとても長時間は寝ていられません。とりあえず仮眠をとるために、マットレスをベッドからおろして当面は床にマットレスを敷いて寝ることにしました。(後日、通常の厚さのマットレスを購入したのですが、これがまた大変な難事業でした)。この他にも、大学寮は長く住むには不都合なことが多く、短くてもイニシャルの雇用契約の終了する3年後までは住むつもりなので、徐々に環境を整える必要があるように思いました。

赴任後、まず真っ先にやらなくてはいけないのが労働許可証の取得と、居住地登録です。労働許可書については申請手続きなどは既に終わっており、私がやらなくてはいけないのは、移民局への「本人出頭」による許可証の受領です。18日のお昼すぎに起きだして、大学の職員の人に同行してもらい、エカテリンブルク市内の連邦政府移民局に出頭しました。

モスクワの移民局などだともう少し事情も違うのでしょうが、エカテリンブルクの移民局は中央アジアからの季節労働者が労働許可を取るために長い列を作っています。大学で働く外国人研究者が労働許可所を受け取りに来るのはかなり珍しいらしく、移民局での待遇はかなり特別なものでした。

50人ほど中央アジアかららしい出稼ぎの方が並んでいるところを失礼していきなり事務室に通され、書類にサインして1分で受領は終了しました(列を作っていた方々すみません)。受け取った労働許可証を移民局の前で眺めていると、私の許可証が珍しかったのか、10数人の中央アジアの労働者に周りを囲まれて許可証を覗き見されてしまいました。

労働許可証
労働許可証受領の後は、大学のメインビルに行って住所登録をしました。ロシアでは通常の観光の場合などでもロシア国内での居住地登録をする必要があります。観光の場合はホテルのフロントで居住地登録しますが、私の場合は大学の外国人職員担当の部署で居住地登録をします。入国の際に発行された白い入国カードを担当者に渡し、一週間ほど後に登録カードを受け取りました。居住地登録は、ロシアから出入りするたびに行わなければいけません。
 
居住地登録の後は、大学職員としてのIDカードの申請を行い、その後、自然科学研究所、天文測地学科の学科長、付属天文台の台長、これから世話になるであろうビザ関係の事務室など関係部署に挨拶回りをして初日は終了しました。

とりあえず発行してもらった仮の入構証
 二日目は、大学寮の入寮手続きをまず行いました。大学寮は、外国人の職員が入るのが初めてということでルールが何も定まっておらず、契約書の内容が学生用のルールに基づいています。(ルールどころか、家賃の額、家賃の納入方法なども未定とのことです)。しかし、学生用のルールでは不都合なことも多く、さまざまな点について変更を申し入れましたが、「変更の交渉は後で可能なので、とりあえず事務手続き上サインしてください」とのことで、致し方なくサインしました。このへんはなかなかさじ加減が難しいところです。

その後、再び同僚に付き添ってもらい、大学寮近くのBeelineという通信会社の事務所で、携帯電話用のSIMカードを購入し、とりあえず最低限の通信手段を確保しました。ロシアは携帯がSIMフリーで売られているので、プリペイドSIMカードも簡単に入手することができます。利用料残高もATMから簡単にチャージすることができます(ロシア語の分からない私でもチャージできるぐらいですから本当に簡単です。またそのうち具体的な手順をまとめたいと思います。)

次に重要なのが給料を受け取るための銀行口座の開設です。私としては日本への送金に便利なようにCitybankなど英語のネットバンキングを提供している外資系の銀行に口座を作りたかったのですが、流石に連邦大学だけあって、外資系の銀行には給料は振り込めないらしく、大学が給料を振り込める旧ソビエト系の銀行の一つSKB銀行に口座を作ることになりました。

経験してみてわかったのですがロシアでの銀行口座の開設は相当な難事業です。私はこれまでアメリカ、台湾、香港で銀行口座を開いてきましたが、これらの地域では基本的に自分一人で口座を開くことが出来ました。ロシアではまず通訳がいなければ口座の解説は不可能と思います。また、通常の口座と給料を受け取る口座は種類が違うらしく、 このへんの複雑なシステムが言語に加えて作業を困難にしています。

大学の説明によると、まず通常の口座を開き、それを給料受領用の口座に切り替えるのだそうですが未だにさっぱり仕組みがわかりません。到着二日目に作ってもらった口座のデビッドカードを次の日にまた銀行に行って破棄してもらい、現在次の連絡を待っているところですが、実際に何が裏で進行しているのか今のところ皆目見当がつきません。なかなかにロシアは難解な世界です。

2014年8月14日木曜日

【第16回】 卒業証明書、成績証明書の公印証明取得とNostrification

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2014年8月11日月曜日

【第15回】 引越業者から送られてきた書類

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2014年8月10日日曜日

【第14回】 引越し業者決定、梱包資材到着

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2014年8月1日金曜日

【第13回】 エカテリンブルクへの引越準備のその後の進捗および航空券購入

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2014年7月23日水曜日

【第12回】 エカテリンブルクへの引越代金見積、その3

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2014年7月16日水曜日

【第11回】 エカテリンブルクへの引越代金見積、その2

<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>

【第10回】 エカテリンブルクへの引越代金見積、その1

<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>

2014年7月9日水曜日

【第9回】 ロシアへの引越と通関に関する規定のまとめ

<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>

2014年7月8日火曜日

【第8回】 なかなか大変な引越し業者の選定

<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>

2014年7月4日金曜日

【第7回】 就労ビザ取得、住居探しの進捗、引越し費用の返済交渉など

<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>

2014年6月29日日曜日

【第6回】 エカテリンブルクの家賃相場と住居探し

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2014年6月27日金曜日

【第5回】 在日本ロシア大使館におけるロシア就労ビザ申請手順のまとめ

<<<筆者注:この記事はウクライナ侵攻前に執筆したもので、現在のロシアの状況を反映したものではないことにご注意ください>>>

2014年6月26日木曜日

【第4回】 ウラル連邦大学天文測地学科および大学天文台

新しい職場について少し紹介しておこうと思います。ウラル連邦大学には天文学を扱っている部門が2つあります。1つが天文測地学科(Department of Astronomy and Geodesy)で、もう一つが大学付属天文台(Kourovka Astronomical Observatory)です。私がどこの所属になるかまだ不明なのですがこれまでの大学側の説明では、この2つの部門のうちのどちらか、もしくは1つ階層が上の学部に直属のスタッフになるだろうという話でした。(所属はともかくとして天文測地学科で授業をすることにはなりそうです。)

天文台は天文測地学科に付設されたものではなく1つの独立した組織で、天文台というより大学付属の天文学研究センターと呼ぶ方がより適切だと思います。(例えば、東京大学の天文学科と天文学教育研究センターの関係と似ていると思います。) 天文測地学科のスタッフは14名、天文台のスタッフは34名なので天文台の方が組織としては大きいようです。ただし、天文台スタッフの中にはアカデミックスタッフ以外にエンジニアも含まれています。(学科と天文台を兼任している人が数人いるのでスタッフの総数は合計の人数よりやや小さいです。)

天文測地学科の学部学生の人数はまだ完全には把握していませんが、昨年の11月の滞在時に院生向けの授業をやった際には30人ほど参加してくれたので、大学院生は40人程度はいるのではないかと推測しています(また詳しく状況がわかったらこのブログで報告します。)

1つロシアの大学院生について知っておくべきなのは、ロシアにおいては大学院生は学生とは区分されないことです。大学院生と対外的に呼ばれている人たちは、基本的には学部教育のための教育スタッフであり、教育デューティーをこなしながら、空いた時間で学位審査に向けて教授の指導のもと研究を行っています。アメリカなどのTA制度と似ているように思われるかもしれませんが、学生としての身分よりも教育スタッフとしての身分がメインであるところがアメリカなどにおける大学院生向けTA制度との違いです。学部学生の指導の他にもファカルティースタッフの事務的な仕事の補佐をしたり研究業務の補佐(グラント申請書作成の手伝い)なども大学院生のデューティーに含まれる場合があります。

天文系のファカルティースタッフの専門分野は、理論では、天体力学、輻射輸送関係、MHD関係、メーザー理論などで、観測では激変星の可視赤外観測、星形成領域の電波観測などをやっている人たちがいます。晩期型星を電波で観測してきた私は若干毛色が違う感じではありますが、メーザー関連、星形成領域、輻射輸送などの人とはいろいろと仕事ができそうで、既に共同研究を立ち上げつつあります。(また研究については機会をあらためて書きたいと思います。)また、大きなプロジェクトとしては、宇宙VLBI計画のRadioAstronや次世代宇宙VLBI計画であるMillimetronなどに大学として参画しています。私も科学的な側面からこれらのプロジェクトに関係することになると思われます。

RadioAstronのイメージ図
Millimetronのイメージ図

昨年の11月に天文測地学科のビルに滞在させてもらったのですが、2つほど非常に関心したことがありました。1つ目は女性のスタッフが多いことです。だいたいファカルティースタッフの半数くが女性スタッフです。院生についても半数程度が女性だったと思います。日本では依然として大学教授職へ登用される女性の数が少ないですがロシアではそのような差別は皆無のようです。

もう一つ関心したのがベテランスタッフが多く活躍していることです。日本では定年制があるので60半ばを過ぎると嫌でも大学を去らなければなりません。欧米の場合はテニュア制がしかれているのでベテランの研究者が大学で研究を続けている場合もありますが、ロシアでは私が今まで見てきたどの研究機関よりも多くのベテランスタッフが現役でバリバリ活躍しています。

私が滞在していたオフィスの向かいが天文測地学科の講義室だったのですが、そこで75-80歳位の女性教授がノートも見ずに偏微分方程式か何かの授業をスラスラやっていたのには本当に関心しました。大学天文台の台長も76歳の女性教授であるザハロワさんです。ザハロワさん曰く「若い人は研究に専念してもらって、若い人が嫌がるマネージメントは年寄りが引き受けるのよ」とのことでした。(ザハロワさんには手作りのランチもごちそうになりました。トマトのピクルスが美味かったです。)

ロシアのベテランスタッフの皆さんと議論していると、かなり複雑な数式(それもあまり普段天文学で使わないような数式)を丸暗記していたり、桁数の多い計算をあっという間に暗算してみせたりしてしばしば驚かされます。ソビエト時代の教育がいかにレベルが高かったかという証左ではないかと思います。(ロシアのシニア世代の物理系の学者はランダウ・リフシッツのカリキュラムで鍛えられているので基礎学力が高いのは当然でしょう。)

大学天文台はエカテリンブルクから車で3時間ほど離れたKourovkaという村に観測施設を持っています。観測所の広い敷地には30cmから1.2mの望遠鏡用のドームが5-6台ほど散在しています。望遠鏡自体は古いものもありますが、どの望遠鏡もよく整備されており全て現役で活躍しています。主力の1.2m望遠鏡は比較的最近建造されたもので、昨年見学した時には開発中のファイバー式多天体高分散分光器が取り付けられていました。他にも小口径ながらガンマ線バースト観測用の完全自動化されたロボット望遠鏡などもあり、1大学の天文観測所としてはかなりレベルの高い施設だと思います。

Kourovka観測所の1.2m望遠鏡
Kourovka観測所の双眼式ロボット望遠鏡
1つ天文測地学科に滞在して気になったのは英語を話すスタッフや学生が少ないことです。こちらが英語で話したことが全くわかっていないわけではないようですが、恥ずかしがって英語で答えてくれない人が多いです。日本人も英語に関しては似たようなものなのであまり厳しいことは言えないのですが、本格的にウラル連邦大学で学生を指導するようになったら学生に気軽に英語で話してもらうような状況を作っていく必要があるように感じています。(英語を使う雰囲気を作るのも外国人教員である自分の役割の1つではないかと考えています。)

2014年6月24日火曜日

【第3回】 ロシア内務省からの招待状到着および非エイズ検査診断書の取得

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2014年6月12日木曜日

【第2回】 ウラル連邦大学とロシアにおける大学改革

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2014年6月9日月曜日

【第1回】 ようやくロシア就労ビザ取得の目処が立ってきた

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