2022年6月30日木曜日

【日記】2022年6月29日(水) 、日本人と遭遇しない日本領事館、広州のスシローで味覚の一時帰国

明日、帰り道で必要なPCR検査の陰性証明が何時間以内となるか不透明なところがあるので、一応安全のために24時間以内の証明を確保するため、遅めの朝食を済ませてから百度マップで検索して調べた最寄りの無料検査場に行ってみた。しかし、どうやら広州でも検査場には「昼休み」が設定されているようで、残念ながら検査場が閉まっていた。さらに調べてみたところ、このへんの無料検査場は、全て午後2時半に再開するとのことだった。

そんなわけで、とりあえず、まずは日本領事館にパスポートを先に受け取りに行くことにした。「午後1時45分に来てください」と細かな時間指定がされていたので、遅れないように5分前に行ったら玄関に守衛にぶっきらぼうに「まだまだ、あと5分」と日本語で言われた。なんだか変な対応だなと思ったのだけれど、午後1時45分というのは、どうやら単に昼休み後に領事館が開館する時間だったようだ。あと、妙な対応をしてきた守衛は現地雇いの中国人のようだった。

5分外で待って1時45分丁度に領事館の玄関に行ったところ、今度はパスポートをチェックされ、それから整理券をもらった。整理券をもらったので少し待つのかと思ったら中には誰も待っている人はおらず、すぐに受け付けの係員が対応してくれた。日本語の発音を聞いていると、どうやらこの係員も中国人のようだった。

その後、事前申請時に受け取ったQRコードをプリントした紙と写真を提出して、代わりに手渡された書類にサインして、しばらく待っていたら、「写真に傷があります」ということで窓口に再び呼び出された。とりあえず、持ってきた写真を全部係員に渡して、比較的マシなものを選んでもらって事なきを得たが、ここで写真取り直しとなると、広州の土地勘がない人間としては対応が難しそうな気がした。まぁ、最悪取り直しとなっても、何でも揃う大都会広州のことなので多分大丈夫だとは思うが。

そういうわけで、なんとか必要書類が無事受理されて、2時間後にパスポートと所持証明書(パスポート番号が変わるので同じ人が所持人である旨の証明書)ことになった。待ち時間がながいので、一旦ホテルの部屋に引き返すことにした。古いパスポートを提出して手元に身分証明できる書類がなくなったので、領事館の入り口で、再び入館できるかどうか確認したところ、申請書の控えがあれば大丈夫とのことだった。

待ち時間の間、先程行った検査場とは別のPCR検査場を見つけて、サクッと検査を受けてきた。ここの検査場では、珠海の検査場とは違って、検査官が冷房の効いたボックスの中に入って検体採取を行っていた。暑い南国ではこのボックスは必要だろう。炎天下、防護服を着て検査任務に当たっている珠海の検査官は大変だと思う。

パスポートの受取は、料金を現金で支払わなくてはいけないこと以外は特に問題はなく、3130元の札束をガサっと渡したら、パスポートと証明書をすんなりと受け取ることができた。パスポートを受け取った後、新しいパスポート番号を使って明日の帰りの鉄道の切符を購入した。このチケット購入がなかなか大変だったのだけれど、今日はもう長くなったので、詳細は割愛する。

パスポートと帰宅用チケットの手配を終えて今日の任務が全て終了したので、夕方から広州市最大のショッピングモールである正佳广场に観光と食事にでかけた。お目当ては、最近オープンした「スシロー」の回転寿司である。モール自体も巨大でなかなかにすごいものだったが、なんといっても今日のハイライトは回転寿司だった。

一歩中に入ると、雰囲気からメニューから、もう完全に日本の回転寿司そのものだった。店員は当然ながら中国人だけれど、おどろいたことにかなり皆さん上手に日本語を話していた。中国人店員が働いている日本のスシローだと思うと、支払い方法がWeChatペイであること以外、もう完全に何から何まで日本そのもので、「つかの間の一時帰国」を楽しむことができた。

注文端末を日本語に切り替えたらもう「ほぼ日本」

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III(ロールピアノのテスト)

2022年6月29日水曜日

【日記】2022年6月28日(火) 、防疫規制下での面倒な移動、吸い込まれるように日本食レストランへ

明日、広州の日本領事館で新しいパスポートを受け取る予定なのだけれど、何しろここ2年半の間、コロナ禍の影響でほとんど出張しておらず、中国赴任以来、なんと珠海から外に出るのは今回が2回目である。しかも、前回珠海から出たときは研究会の出張だったために同僚がアテンドしてくれたので、自力で珠海の外にでるのは今回が初めてだ。

中国人にしてみたら珠海から広州に行くなんていうのは、関西で言えば四条河原町から梅田に移動するくらいなもので、旅行というよりも「軽い移動」だと思われる。しかし、何しろ私は中国国内の交通機関についてほぼなんの知識も経験もないので、安全を期して一日前から前のりすることにした。

さて、それで当初の計画では、コロナの影響もあることだし、人との接触を最小限にするためにタクシーで一気に広州のホテルまで移動するつもりでいたのだけど、いざタクシーを呼ぼうとすると「コロナの影響で市街行きの注文を受け付けていない」というメッセージがアプリに表示される。

他のアプリもいくつか試してみたのだけれど、注文を受け付けてくれるアプリはあるにはあるが、市外行のリスクを避けるためなのか注文を受けた運転手がピックアップに来てくれないという状況が3件ほど連続して、タクシーで行くことは不可能だと悟った。(後で、タクシーの運転手に直接聞いたら、広州まで言っても良いとのことだったが、「お上」が推奨しないことをするとこの国ではろくなことがないので、それはやめておいた)

通常だと、大学のキャンパス間シャトルを利用するのが一番簡単な広州までの移動手段なのだけれど、今はコロナの影響で妻がキャンパス内に入れないので、この手段が使えない。それ以外のバックアップの移動手段をあまり真剣に考えていなかったので、ちょっと軽くパニックになりかけたが、タクシーが駄目、バスが駄目となると残りの手段は鉄道(高铁)しかないだろうということで、取り合えず最寄りの鉄道駅にタクシーで向かった。案の定、鉄道の駅に行くタクシーはすんなり見つかった。

鉄道駅につくと、案の定、コロナ規制強化の影響を受けて、入り口で厳重なチェックが行われていた。マスクのズレの修正を促される上に、体温まできっちり測られる状況はかなり久しぶりのことが。ここからが問題で、通常、多くの人は事前にアプリでチケットを購入して鉄道を利用するのだけれど、私は今日は「飛び込み」なので窓口で買わなくてはいけない。鉄道なので、行き先さえワーワー行っていればなんとかなるだろうと思って、とにかく知っている中国語を並び立てて駅員と話をして、なんとかチケットを買うことができた。どうやら近距離便のせいか、座先指定が指定できるクラスがない電車だったようだ。

広州の駅についてタクシー乗り場に行き着くまでの間も、さらに2回ほど防疫関係のチェックが有り、現在の広東省の緊張度がひしひしと伝わってきた。明後日、帰るまでに状況が悪化しなければよいのだが。広州の駅で、いつも珠海でやっているように百度マップを使ってタクシーを拾おうと思ったのだけど、配車アプリで呼ぶ車は駅の構内には入れないようで、結局、タクシー乗り場に並んでいる普通のタクシーを利用してホテルまで行くことになった。

ホテルの入り口でも再び防疫関係のチェックが行われた。広州では珠海とは異なる健康コードアプリを使う必要があるようで、ホテルの入口でアプリのインストールと設定を行うように言われた。この手のアプリは、設定時に案外書き込む項目が多いので地味に時間がかかる。

ホテルにチェックインした後、今度は無料PCR検査場を探しに外に出た。現在、あちこちで24時間以内のPCR検査陰性証明を求められるので、明日の行動に備えて、PCR検査できる場所を確保しておく必要がある。百度マップで「核酸」と検索すると、近隣の無料PCR検査場を調べることができる。どうやらホテルから歩いて10分くらいのところに検査場があるらしいことが分かったので、そこに行こうと外に出たら、なんとホテルの目の前に検査場があった。無料の検査場は青いテントに赤い「党旗」が立っているのですぐに分かる。珠海でもそうだが、検索に引っかからない小さな検査場がかなり多く存在するのだ。

ホテルの目の前の検査上で検査を受けようとすると、同じ広東省ではあるのだけれど、検査を受けるためのアプリが珠海とは異なるようで、ここでもまたアプリのインストールと設定を行う必要があった。住所やらパスポート番号やら、いろいろ入力する必要があるので、これまた時間を要する。アプリを設定して検査を受けて、ようやく今日のところは一段落となった。

防疫規制の中の移動で疲れてしまい、外に夕食に出る時間も気力も残っていなかったので、ホテル内の日本食レストランで夕食をとった。まぁ、なんだかんだで面倒な移動日ではあったけれど、夕食をとったレストランではビールと焼き鳥をサービスしてもらったし、なんとホテルの部屋もアップグレードしてもらい、防疫規制で面倒くさかった以外はちょっとラッキーな移動日だった。

ホテルでとった夕食の刺身定食

マグロの手巻き寿司もつけた

ついでに頼んだ鰻の蒲焼きも美味かった

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

2022年6月28日火曜日

【日記】2022年6月27日(月) 、パスポート更新後の関連手続きの準備、懸念されるコロナ防疫状況の悪化

今週、広州へ行ってパスポートの更新を行う予定だ。正確に言うと、日本の場合パスポートの「更新」という手続きは存在せず、失効間近のパスポートを返納して新しいものを新規に発給してもらう手続きを行うことになる。「更新」ができないこと(特に番号が引き継がれないこと)に関する諸問題はこの日記でも何度か書いているが今日はそれについては触れない。とりあえず、古いパスポートを返納して新しいものを発給してもらう手続きをここでは仮に「更新」と呼ぶことにする。

さて、パスポートの更新手続自体は、それほど大変ではない。事前に申し込みをしておいて、写真と料金(支払いは現金のみ)を領事館に提出すればその場で新しいパスポートを発給してくれる。問題は更新後の関連手続きだ。中国はご存知のようにIT社会で、あらゆるオンライン上のシステムが身分証番号で紐付けられているのだけれど、永住権を持たない外国人の場合、オンラインシステムを紐づけるための身分証番号としてパスポート番号が使われている。したがって、パスポート番号が変わるということは「一大事」なのだ。

ちょっと考えただけでも以下のような手続きが必要である。
  • 入出国管理局で居留証を更新
  • 警察に行って住民登録のパスポート番号を更新
  • 銀行に行って登録パスポート番号を更新し銀行アプリをアップデート
  • 工作証許可証の登録パスポート番号を変更
  • 携帯電話の契約情報を変更
  • WeChat、Alipayの登録パスポート番号を変更
  • 健康コード、PCR検査用アプリの登録番号を更新
  • 税務署のアプリに登録しているパスポート番号を変更
  • 労働契約書にもパスポート番号が入っているので作り直す
特に急ぐのが居留証の更新だ。恐竜賞は期限の30日前までに手続きをしなくてはいけないのだが、居留証の期限というのはパスポートの期限と同一なので、パスポート更新が期限ギリギリになると非常に厄介だ。今回は妻のパスポート期限が比較的近く、居留証の更新期限までほんの僅かのゆとりしかない。

銀行や携帯電話については、私は2つの銀行と2つの電信会社に口座と番号を持っているので、これだけで4つの窓口を回らなくてはいけない。上記の手続き全体としては、おそらく8箇所もしくはそれ以上の窓口を手続きのために訪問して回らなくてはいけない。考えただけで、大変な量の手続きをこなさなくてはいけない。

手続きの量もさることながら、まだ私の拙い中国語力では何か問題が発生した場合に対応できないので、どうしても中国人についてきてもらう必要がある。そうなると助けてくれる人を探さなくてはいけないのだが、何しろ手続き量が多いので、一人の人にずっとアテンドしてもらうのは現実的ではない。とりあえず、今日は3人の同僚に話をして、来週少しづつ助けてもらうことで同意してもらった。

目下、コロナの防疫レベルが上っており、それも懸念材料だ。締切まで時間がない手続きが多く、万が一、コロナの影響で手続きが遅れると、締切を過ぎた場合の特別の手順が必要になるだろう。想像するだけでゾッとする。とにかく、今は状況が悪化しないことを祈るのみである。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し。

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III(終了)

2022年6月27日月曜日

【日記】2022年6月26日(日) 、猛暑による日中の検査場の閉鎖、研究職は直接問い合わせて探すもの

6月も下旬ともなると、中国ベイエリアはもう夏本番という感じである。ここ数日、雨季にも関わらず青空が見える日々が続いており、日中は非常に暑い。こうなってくると大変なのが無料PCR検査場のボランティアたちである。野外の冷房の入っていない場所で防護服を着ての作業は下手すると熱中症で命に関わる場合もありえそうだ。

マカオで大量に感染者が見つかった影響で、目下防疫レベルが上っており、本来ならば無料検査場は朝から晩まで休み無しでフル稼働するべき状況なのであるが、数日前から眺めの昼休みが設定され、午前11時から午後4時までは検査場が閉まっている。

今朝は、検査場に昼休みが設定されたことを知らずに、週末ということでいつもよりも遅めの11時半ごろに検査場に行ったところ、人っ子一人いない状態で、検査場前に掲示された開場時間の案内板を見て初めて検査時間が変更されたことを知った。

おそらく昼休みが設定されたのは、熱中症の危険から検査場ボランティアを守るためだろうと思われる。午後4時過ぎに出直したところ、昼休みが設定されている影響で、検査待ちの長蛇の列ができていた。しかし、午後4時でもまだかなり暑い。コロナ防疫とベイエリアの夏は非常に相性が悪いと思われる。

さて、Twitterを眺めていたら、研究職を探すときに「公募サイトに出ない職も多いので、直接研究者にどんどん問い合わせれば良い」という趣旨のツイートが流れていた。流していたのはバイオ系の研究者の方だったが、これは天文分野でも状況は同じだと思う。しかも、公募情報だけを頼りにして、職の問い合わせを行わない人が多いところも似ている。

私の体感としては、自分が応募したら採用されそうな(分野がそこそこ一致していそうな)研究職のうち、公募サイトに公募情報が出てくる職の数は1割にも届かないのではないかと思う。天文学分野の場合、研究職の公募サイトはアメリカや西欧の学会が運営しているものが主流で、非英語圏の情報はほとんどが抜け落ちていると言っても過言ではない。

中国の大学は毎年かなりの数の研究職を募集しているが、英語で運勢されている公募サイトに求人を出さない場合も多い。しかし、それぞれの大学の求人担当者に英語で問い合わせれば、おそらくかなり高い確率で公募情報を教えてくれるのではないかと思う。

人事担当者ではなくとも、専任教員に問い合わせれば情報を教えてくれることもあるだろう。ただし、全く関係のない研究機関に応募書類を外国から送ってもすんなりと採用される可能性は低い。その辺の事情は以前書いたコラムを参照してほしい。

中国以外でも、アカポスが(外国人から見て)埋没している国は存在する。例えば、東欧なんかは給料は安いが、独身の研究者なら将来へ可能性をつなぐための一時的な職は確保できるかもしれない。天文分野なら、例えばポーランドなんかは研究の水準も高くESOにも加盟しているため狙い目である。以前はロシアも同様の目的で利用できる国だったのだけれど、ウクライナ侵攻で国際研究職市場からは完全に消滅してしまった。どんなに条件が悪くなっても、やはり戦争を起こしているような国だけは論外というものである。

変更された開場時間

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(20分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、リードシートIII

2022年6月26日日曜日

【日記】2022年6月25日(土) 、毎日欠かさない語学トレーニング、対中国ニュース雑感、受験生の誘致活動

毎日、午前中に中国語と英語のトレーニングとして、中国語は単語と例文の暗記、英語は単語の暗記、音読、シャドーイングをやっている。もうこれは私にとっては歯磨きや洗面みたいな感覚で完全にルーティン化しており、やらないと気持ちが悪い。

平日は、完全に自動行動として体が勝手に次々とこなしてしまうのだが、これが週末等でスイッチがオフになっているときはそうはいかない。トレーニングの合間合間に余計な行動を挟んでしまったり、気がついたら全部のトレーニングメニューが終わるのが夕方にずれこんだりすることもある。

とはいえ、それでもやはり、トレーニングを一通りやらないと気持ちが悪いので、遅くとも夕方に晩酌を始めるまでには全部やっつけることにしている。今のところライフログの記録によると407日間連続でトレーニングを継続している。たしか、前回連続記録が途絶えたときは出張の移動か何かでどうしても時間が取れなかったときで、途切れるまで300日程度続いていた。毎回、200日-300日くらいで出張等の移動が原因でどうしても連続記録が途切れる時があるのだけれど、ここ2年ほどはコロナ禍で出張が少ないので、比較的長い間途切れることなく語学のトレーニングができていて、その点は気分が良い。

Twitterに流れてくるニュースを見ていたら、中国人留学生のアルバイト代等を非課税としていた制度が「不公平」とのことで課税することにしたというニュースが出ていた。中国人だけ非課税としていた訳ではないようなのだけれど、なぜか中国人に対する課税だけ早急に決まったようだ。不公平を是正するというよりは「選挙前の反中世論対策」なのだろう。

そういえば、先日は中国人のポスドクをたくさん雇って論文を書かせれば日本の研究業績が上がるのではないかみたいな意見がTwitterで出ていたが、ポスドクにせよ留学生にせよ、もう中国の若い人がキャリア形成目的で日本に目を向ける時代はとっくに終了している。日本に来るのは一部の日本文化ファンや、経済状態等々の理由で欧米に行けない人などが中心となってきている。こういう状況で、良い人に日本に来てほしいのであればもっとインセンティブが必要だし、なんらかの理由でインセンティブを消滅させるなら、さらに中国人の留学生や高度人材の流入は減るだろう。

高考(中国の全国統一大学入学試験)が終了し、そろそろ成績が出てくる頃なので、同僚たちが中国全土に散って、優秀な成績をとった受験生に中山大学に来てもらうための勧誘活動を始めている。昨年は、勧誘活動のかなり多くの部分はオンラインで行われていたが、今年はオフラインでの活動が再び増えているようだ。学科の秘書さんたちも金曜日の晩から飛行機に乗ってイベント設営のために出張に出ていった。本来は教授にもこの手の勧誘活動の仕事が降ってくるのだけれど、外国人教員は言語の関係であまり貢献できないので実質的に免除されている形だ。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し。

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III

2022年6月25日土曜日

【日記】2022年6月24日(金) 、もし講義室に暴漢が乱入したら、2029年の観測風景、マカオがついにロックダウン

朝、例のごとくTwitterを眺めながら食事をしていたら、東京の有名私立大学で、講義中に学生が教員に悪態をついている場面を撮影した動画が流れていた。なにやら大声で学生が教員に喚き散らしているのだけれど、発言の内容が支離滅裂なので、なんらかなメンタル疾患を抱えた学生なのではないかと思う。

私が過去に所属した大学でも、講義室に暴漢が乱入する事件が発生したことがあったが、あのときは、周りの学生が暴漢を取り押さえ、その後すぐに警備員が駆けつけて事なきを得た。しかし、自分の講義でこの手の事件が発生することを考えるとぞっとする。

今の中国の職場は、講義中「監視カメラ」でずっと監視されているので、おそらく何かあってもすぐに警備員が来てくれるのではないかと期待はしている。ただ、主な「監視の対象」が暴漢ではなさそうなので、期待通りの反応をしてくれるかどうかは未知数ではある。

講義のネタ探しのために日本語の教科書(宇宙の観測I---光・赤外天文学 シリーズ現代の天文学)を眺めていたら、データベース天文学について扱った第9章の最後に掲載されているコラムに目が留まった。このコラムには「2029年の観測風景」というタイトルが付いている。本文では、近未来の天文台で観測者と制御コンピューターとのやりとり(会話?)の様子が描かれている。2029年には観測制御用のコンピューターが発達して、データを取得するだけでなく、おすすめの天体を提案してくれたり、論文を自動で描いてくれたりすることになっている。


さすがに今から7年後に自動で論文を生成するのは無理だとしても、観測詳細、大まかなデータ解析の結果、著者名と所属名等々を入れた論文投稿用のLaTeXのテンプレートを自動生成してくれたら割りとその後の作業が楽だなみたいなことを考えていた。

どうやら、お隣のマカオで感染者が増え続けているようだ。夕方の報道ではこれまでに150人以上の感染者が見つかったそうだ。既にマカオは完全にロックダウンされており、今のところ珠海に感染は広がっていないようだ。しかし、隣接した場所で感染者が大量に出ているだけに、かなり珠海側でも緊張感が高まってきている。

上述のコラム

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し

2022年6月24日金曜日

【日記】2022年6月23日(木) 、雨季の中の久々の青空、講義がなくても忙しい日々、英語早期教育批判に感じる疑問

6月から8月末くらいにかけて、中国大湾区では連日のように雨が降る。いわゆる「雨季」である。統計を見ると、9割程度の日が曇天で太陽がほとんど顔を出さない。今年の雨季は、これまでのところ例年より雨量が多かったようで、いつにもまして太陽が顔を出さない日が続いてきた。そんな漢字で、日光の感覚を忘れかけていた今日このごろだったが、今日は本当に久々に青空が見えた。

中山大学の珠海校区は、唐家湾の海沿いに位置しており、私は毎日ビーチ沿いの自転車道を通って通勤している。初夏の晴れた日にビーチ沿いの道を通って自転車で通勤していると、このまま海でもぼぉーっと眺めながらゆったりとした時間を過ごしたくなる。なんというか、勤労意欲がビーチに吸い取られる感じである。

今学期の後半は、パスポートの更新とその後の関連手続きが予定に入っている影響で講義数を少なめに設定したのだけれど、それでも時間が固定された予定が入っていないというだけで、次から次にイレギュラーな仕事が舞い込んでくるので、思ったほど時間にゆとりがない。最近は、自分の学生さんや研究グループのポスドクさんたちの論文原稿の校正作業に大忙しだ。

秋学期に向けた講義の準備もそろそろ本気を出さねばいけない時期になってきた。そして、例年この時期は、年明けのグラント公募に向けてネタを温め始める時期でもある。さらに、来年の春学期は、新しい講義を立ち上げる予定なので、これについての準備もすすめなくてはいけない。幸いなことに、基本的に私は仕事が楽しいのだけれど、まぁ、それでもずいぶんと忙しい。

WeChatの職場のグルチャ(グループチャット)を開けたら「社会主義革新価値観教育実践活動」というタイトルのPDRファイルが配布されていた。字面だけみるとなんだかイカメシイ感じがするが、この手の文書は案外「博物館等の無料開放日の案内」だったりすることもあるので見逃せない。この活動は基本的に「党員」の人たちの「党教育」の一環として行われているもので、政治的色彩が強いものも少なくない。しかし、中には中国の先端的な研究施設の見学とか、博物館の見学とか、外国人にとっても興味が持てるものも少なくない。

朝食時に、Twitterのタイムラインを見ていたら「英語の早期教育を行うと論理的思考力が弱くなる(要約)」みたいなツイートが流れてきた。日本語のタイムラインを見ていると、こういう主張をする人が少なくない。しかし、もしこの主張が正しかったら香港大学での私の教え子たちは論理的思考力が弱いということになるのだろうか。彼らは幼い頃から広東語、英語、普通語(中国語)で教育を受けているし、香港の社会でトップエリートになるためには、この3つの言語を全て流暢に操る語学力は必須である。そういう彼らを見ている限り、母語以外の言語の早期教育を行うことが論理的思考力の低下につながるとはとても思えないのだ。

今朝の珠海校区前のビーチの様子

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III

2022年6月23日木曜日

【日記】2022年6月22日(水) 、さらに進む円安傾向、増えるオンラインコロキウム、中国が行う選択と集中の"真逆"の政策

円安がさらに進んでいるようで、Twitterを見ていると関連したツイートがたくさん流れてくる。円安は、私みたいな外貨建てで給料をもらって年金の支払いやら奨学金の返済のために日本に定期的に送金している人間にとっては朗報だ。しかし、日本語のツイートを見ていると、やはりネガティブな捉え方をしている人が多いようだ。私も、将来的なことを考えると、今の円安傾向を見ていると不安になってくる。外貨を稼いで日本に年金の保険金を払い続けているが、果たして払った分の価値が将来自分に戻ってくるのかどうか。

コロナの影響で「オンライン」でコロキウムが開催される機会が増えた。今学期に関して言うと、9割程度のコロキウムがオンラインで開催されている状況だ。学科や学部レベルのコロキウムとなると、そこそこの有名研究者をスピーカーとして招待することが多いのだけれど、そうなると外国人比率が高くなる。相変わらず外国人が中国に入国することは容易ではないので、どうしてもオンライン開催になってしまうのだ。そして厄介なのが時差だ。

最近、外国のスピーカーに合わせて早朝や夜間等、本来の就業時間外にコロキウムがスケジュールされる機会が増えてきている。今日も早朝からコロキウムが行われた。しかし、コロキウムって、その日の自分の仕事に一区切りついた午後のまったりした時間に、熱いお茶を片手にちょっとクッキーなどをつまみながらオフラインで聞くというのが個人的には一番しっくりくるので、変則的な時間のコロキウムからはどうも足が遠のいてしまう。

Twitterに雲南大学の教員と研究員の公募案内が流れていた。雲南大学の待遇はかなり良いようだ。一番上のレベルだと年収160万元(現在のレートで約3200万円)もらえるらしい。一般的に、中国の大学の職は、便利な大都市から離れるほど、あと大学のランクが低くなるほど待遇が良くなる傾向がある。例えば、うちの大学で、広州キャンパスで勤務するよりも珠海勤務の方が若干給料が良い。同様に、以前、中国内の大学ランキングで100位前後の大学に勤務する知り合いに給料を聞いたところ、中山大学(国内ランキング10位前後)よりもかなり給料が良いようだ。

こういう「地方」を重視する政策によって、良い人材が都会の有名大学だけに偏らず、広く全国的に高等教育のレベルがあがるようになっている訳だ。つまり、我が母国がやっている選択と集中の「真逆」の政策である。まぁ、なんだかこういう状況を見ていると、まだまだ円安元高傾向は当面変わりそうになさそうだ。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(20分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、リードシートIII

2022年6月22日水曜日

【日記】2022年6月21日(火) 、連日のPCR検査、中国に関するデタラメ記事、世界研究力ランキング

今日も再び教職員全員に対してPCR検査を受けるようにとの通達が出たので、今朝も検査に行ってから出勤した。私は検査が必要な日には、出勤前に自分が住んでいる地域の無料検査場で検査を済ませるようにしている。運良く私の自宅近くには、出勤途中に上手く立ち寄ることができる検査場があるのだが、自宅近くで検査が受けられないとなると大学キャンパス内で検査をうけなくてはいけなくなる。大学内の検査場は受付時間が短い、オフィスからの距離が遠い、仕事時間中に上手く検査時間を作ることが難しい等の問題がある。

その日の検査が終了すると、Webサービスのアンケートを使って検査状況を報告することになっているのだけど、同僚たちの検査状況を見ていると検査に行きそびれてしまう人も1割程度はいるようだ。しかし、現在大学に入構するためには24時間以内のPCR検査陰性証明が必要なので、うっかり検査に行きそびれてしまうと、次の日に出勤できなくなってしまう。

さて、朝食をとりながらWebニュースを眺めていたら、また千人計画について「完全なるデタラメ記事」が出ていた。部分的に不正確とかいうようなレベルではなく、ほとんど全てがフィクションと言っても過言ではない。日本政府の方針を支持することが多い大手メディアがこういう記事を何度も出すということは、反中的な世論を形成するための確信的な「プロパガンダ」なのかもしれないと思ったりもする。もう、現代社会においてはメディアは情報源というよりは、何らかの政治的意図をもった集団のプロパガンダ機関という意味しかないような気もしはじめている。

世界の大学・研究所の今年の「研究力」ランキングが発表された。うちの大学は、世界大学ランキングだとまだベスト100には入っていないが、驚いたことに、研究力ランキングでは世界23位にランクインしていた。昨年から一気に20%以上評価値が上昇したらしい。うちの大学だけではなく、中国の大学と研究機関が軒並みランキングを上げている。もはや上位にランクインしているのは、中国とアメリカの研究機関のみである。

ただ、うちの職場がいきなり上位にランクインしたことにインパクトは感じたものの、上位に入ること自体は決して不思議ではない。天文分野だけ見ても、毎年コンスタントに教員が2-3人ずつ増えているし、しかも、入ってくる新人教員はすでに欧米でファカルティー職を得ていたような飛び抜けた人ばかりだ。今年中には中国宇宙望遠鏡の研究センターがオープンする予定だし、大学だ単独で南極に天文台を建設する計画も既に動き始めている。うちの職場に研究センターが設置されている国家レベルの重力波検出実験プロジェクトも順調に進行中である。

このような発展ぶりは、なにも物理天文分野に限った話ではなく、大学内の他の学部学科もどこも似たような発展ぶりを示している。文学部哲学科のような、西側諸国ではあまり教員の増員が考えられないような分野ですら、毎年数人ずつ増員されている。このような状況なので、今まで上位にランクインしていなかった方が不思議なくらいである。



中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し。

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III

2022年6月21日火曜日

【日記】2022年6月20日(月) 、突然のパソコンの故障で狂う生活リズム、不穏な盛り上がりを見せるコロナ、最近目につくレイシズム発言

今朝、2年ほど前に購入したLenovoのノートパソコンのモニターが突然映らなくなった。毎朝、起きたらまずパソコンを立ち上げてその日のライフログを残すためのテンプレートを用意することが、もう20年来の日課になっているので、パソコンが使えなくなると調子が狂ってしまう。

Lenovoのパソコンはキーボードの配置とタイプ感がとても気に入っているのだけど、買った個体の当たりが悪かったのか、それとも、そもそもLenovoのパソコンが壊れやすいのか、半年ほど前に修理してもらったところ(モニター)が再び故障した。仕方なしにiPadでライフログを書き始めたが、やはりiPadはあくまでもインプットツールであって、ログを残すといったアウトプット目的としては使いにくい。

コロナの方は、また何やら不穏な盛り上がりを見せつつあるようだ。今朝の5時からマカオと珠海の境界線当たりの広い地域が、例の「動的なロックダウン」状態に入ったようだ。地域の中での活動はできるが、指定された地域から出ることができないというやつだ。

私が住んでいる地域はロックダウン地域ではないので今のところ行動に対する規制はないが、職場に入構する際に要求されるPCR検査の陰性証明が、42時間以内から24時間以内に強化された。24時間以内の陰性証明を維持するためには、当たり前だが毎日PCR検査に行かなければいけない。これは結構地味に大変で、検査のために小一時間とられることが毎日重なると、生活のなかに微妙な影響がでてきてしまう。

ここしばらくSNSを見ていると、中国在住の日本人の中に中国人に対するレイシズム的発言をする人が増えてきたような印象がある。何かとストレスの多い生活環境となっているので、不満がたまっているのかもしれない。まぁ、腹の中で不満があるのは分からなくはないのだけれど、それを言葉として不特定多数の人が見ているSNS等で、言語として表出してしまうことには強い違和感を覚える。

私も、これまでの20年間の外国生活の中で、ある種のカテゴリーの人たちに嫌悪感を持つということはあったし、今でもそのカテゴリーの人たちと接触する機会があると強い警戒感を抱くことは事実としてある。しかし、それでも「〇〇人は云々」と言った、民族、国籍、宗教等で人間を一括りにした発言を決して公の場所でしないように肝に銘じている。

これは発言の内容が正しいとか正しくないとかそういうことではなく、国際社会で生きていく際の最低限のマナーだと考えているからだ。これが守れない人は、自分の認める属性の人間の中だけで生きていくべきであろうと思っている。しかし、ギスギスとした空気が漂う世の中になったものだ。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(20分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、リードシートIII

2022年6月20日月曜日

【日記】2022年6月19日(日) 、キリッとしたエッジのある味のプーアル茶、ブラックホール画像に対する異論、例文暗誦は楽しい

卒業式の後に卒業生の親御さんに手土産でいただいたプーアル茶を飲んでみたら、自分が知っているプーアル茶の味と全く異なる味がして驚いた。こんなにキリッとしたエッジのある味のプーアル茶は初めて飲んだ。調べてみたら、雲南省のかなり有名なお茶のようだった。

朝食時にWeChatを開けたら「今日中に全員PCR検査を受けるように」という通知が職場から届いていた。ここしばらくコロナの感染状況が落ち着いている感じだったのだけれど、どうやら深圳とマカオで感染者が見つかったようだ。来週、広州へパスポートの更新のために出かける予定なので、移動制限がかかると非常に困る。感染がこれ以上広がらなければよいが。

職場以外に地域コミュニティーからも、住民全員に対してPCR検査を行なうという通知が来た。そんな訳で、いそいそと無料検査場に向かったのだけれど、全数検査の通知が出たせいで検査場は久々に混雑していた。ただ、無料検査場のボランティア係員の人の捌き方は熟練の境地に達しており、多少混雑していても検査はすぐに終わる。私が行ったときには検査待ちの列の長さが50メートルほどになっていたが、それでも10分も待たずに終了した。

家に帰ってTwitterを眺めていたら、朝日新聞から例のブラックホールシャドー画像に対して異論を唱えている国立天文台の三好真さんの研究を紹介する記事が出ていた。これからの展開が楽しみである。個人的には、三好氏らが指摘している「ブラックホールシャドーの角度サイズに対するUV台の欠損」は非常に重大な問題点だと考えている。個人的にはUV台を埋めて観測し直す以外に有効な反論があるとは思えないのだけれど、いったいどうなるのか。

今日は、中国語の学習時間をいつもより長めに取ることができた。「究極中国語アプリ」の学習数記録では、確実に記憶した例文の数が約300程度まで増えてきた。覚えた例文を暗誦する学習がけっこう楽しい。覚えた中国語の例文を暗誦していると、中学の英語の授業を思い出す。私が通っていた中学では、英語の授業で教科書の本文を丸暗記して発表する時間があったのだけれど、暗記した英文を発表していると、まるで自分が英語をペラペラと話せているような気分になって楽しかった。今、中国語学習でも英語と同じくどんどん例文を丸暗記する方法で学習している。楽しいと感じるということは、私に向いた学習方法なのだろう。

中国語学習

単語と例文の暗記(30分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III

2022年6月19日日曜日

【日記】2022年6月18日(土) 、初めて「华业典礼」に出席、エヴァンゲリオン風の記念映像

今日は職場の卒業式に参加した。卒業式は、中国語では「华业典礼」(華業典礼)と書く。赴任後、カレンダー的には今回が三回目の卒業式ということになるのだけれど、最初の2回はコロナ禍の影響で参加者が制限されたことや、直接自分が指導した卒業生がいなかったこと等の理由で参加は見送ってきた。

教職員の卒業式への参加は任意なのだけど、今年は卒研を指導した学部生が卒業することもあり、初めて参加してみた。大学院修了生の指導教員は「導師服」(アカデミックガウン)のフィッティングがあるとかで少し早く行く必要があったようだが、学部卒業生の指導教員は白シャツ、濃い色のズボンと革靴というドレスコードだったので、私は式が始まる15分ほど前に入場した。

式の冒頭、まず歌手のプロモーションビデオのような記念映像が放映されたのだけれど、これがとても良くできていた。まず最初、講義やセミナー等の日常の様子や教員の挨拶などの「真面目」な雰囲気の映像が流れ、その後、途中からガラッと雰囲気が変わって映像の「メイキング」の映像が登場した。このメイキングが面白くて、先生たちの本音がポロッと飛び出して、学生からはけっこうな量の「笑い」が起こっていた。おそらく、メイキングの部分に教員の普段の雰囲気がよく出ていたのではないかと思う。この記念映像、映像作品としてとても良くできていたので、おそらくプロの映像制作会社に外注したのだろうと想像している。

全体的に映像の作り方が日本のアニメの「エヴァンゲリオン」を思わせるような編集になっていたのも面白かった。エンディングではテーマ曲の「残酷な天使のテーゼ」まで流れていた。ところどころ、なにやら怪しい日本語の文字が使われていたりもして、変な日本語には会場で私だけがウケていた。こういう式典の映像に日本語がでてくることには「中国的」に抵抗があるのではないかと想像したりもするのだけれど、とくになんということもなく日本っぽいものが自然に許容されていてちょっと意外な気もした。

記念映像の放映の後は、学部卒業生総代と大学院修了生総代の挨拶が行われた。2つを聞き比べてみて、中国語が完全に分かるわけではないものの、やはり大学院修了生総代は人前で話すことに慣れているという感じがした。

他に目についた卒業式の特徴としては、とにかく表彰が多いことが挙げられるだろう。卒業生の中の成績優秀者などが表彰されるのはよくある話だが、今日の卒業式では表彰されるのは卒業生だけでなく、教員もたくさん表彰されていた。例えば、その年の卒業生が選ぶ「ベストティーチャー」なんていう表彰もあって、普段おとなしくて教員間ではあまり目立たない先生が意外に学生に好かれていたりすることが分かって面白かった。

上述のように卒業式には「ドレスコード」があって、それなりにきっちりとした服装が要求されているはずだけど、中国で流行している「JK」ファッションで参加している秘書さんがいてちょっと驚いた。どうやら日本のJKファッションは、中国では「よそ行きの服」ということで通用するようだ。まぁ、卒業式にJKがいても日本人的には違和感はないのだけれど。

卒業式の後、オフィスに居残って仕事をしていたら、卒業生が親御さんと一緒に挨拶に来てくれた。中国の学生さんたちは、折に触れて教員にすごく感謝の意を表してくれる人が多い。そして、その度に私はそれだけ感謝されるに値する指導ができているのだろうかと、強い反省の念に駆られて居ても立ってもいられない気持ちになる。まぁ、しかし、自信満々になったら成長はとまるのだろうから、これで良いのかもしれない。反省しつつ成長して、よりよい指導ができるようになっていきたいものだ。

卒業式会場の様子

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

2022年6月18日土曜日

【日記】2022年6月17日(金) 、卒業式前最後のグループミーティング、夏季ワークショップに向けた準備

今日は金曜日ということで研究グループのミーティングの日だった。明日が卒業式なので卒業生にとっては今日が最後のグループミーティングとなる。そんなわけで、今日は全員で集合写真を撮った。うちのグループ(晩期型星研究グループ)は、学院(日本の学部に相当)の中で、おそらく一番人数の少ない研究グループだと思うが、それでもここ2年ほどの間に少しづつ人数が増えてきた。今年卒業するメンバーを含めて現在のグループメンバーは総勢8人だ。来年は新入生が一人、ポスドクが一人加わることが決まっているのでまた少し人数が増える。

今日のグループミーティングでは、7月に行なわれる大学院生夏季ワークショップに向けて、博士課程の院生さんが、プレゼンの構成を提案した(まだ、プレゼン自体は完成していない)。このワークショップ、今年から始まった新しい行事なのだけど、基本的に発表は英語で行い、優秀な発表は表彰されることになっている。ワークショップの目的の一つは「大学院生の英語発表能力の改善」だ。

大学院生は、修士課程、博士課程に在籍している間に何度か「口頭試問」で研究発表を行う機会があるのだけど、口頭試問での発表は、学会等で行う一般的な研究発表とはやや趣が異なる。口頭試問ではスライドのフォーマットが大学の規定で決まっており、しかも使用言語が中国語なので、あまり一般的な意味での「プレゼンの練習」にはならないのだ。

うちの学生さんも、今日のミーティングで、ワークショップ向けのプレゼンの構成案を提示したのだけど、どうも話の作り方が大学指定の「口頭試問フォーマット」になっており、ワークショップで優秀賞を狙えるような形にはなっていない雰囲気だった。いろいろと教員やポスドクからアドバイスが飛んでいたので、これから本番までにブラッシュアップされることを期待している。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(10分程度)

2022年6月17日金曜日

【日記】2022年6月16日(木) 、職場の誕生日会、中国茶道の体験講座

今日は職場で6-7月生まれの教職員の誕生日をお祝いする誕生日会が開かれたので参加して来た。普段は忙しすぎて、終業時間内に行なわれるこの手のイベントにはほぼ参加したことはないのだけど、今回は自分が「祝われる方」ということで義務感に駆られ、部分的に顔を出してきた。

この誕生日会、もともとは誕生会ではなく、教職員間の交流を促進するための月一の「ティータイム」として始まったものだ。その後、いろいろな変遷があり現在は誕生日会ということになっている。

「教職員間で交流する場を設けましょう」ということが先に決まって、そこで秘書さんたちがあれこれと工夫して教職員が集まるイベントを企画してきたのだけれど、「ティータイム」を設定するだけではなかなか人は集まらない。就業時間中は全員基本的に忙しいので、それは当然だろう。

そこで、最初はティータイムに誰かが「研究の話」をするということになったのだけれど、研究の話をする場はティータイム以外に既に存在するので、あまり好評ではなかった。そこで出てきたのが「誕生日会」という訳だ。

その月に誕生日の職員は、誕生日会に参加するとプレゼントを貰える。こういうインセンティブが付くと出席率が確実に上がるのが中国だ。最近では、プレゼント以外にも、誕生日会の時に、なんらかのイベントが企画されるようになってきた。今日は外部の専門家を招いて「中国茶道」の体験講座が行われた。講座をしばらく眺めていて、面白そうではあったのだけど、論文原稿の手直しもあるし、講義準備も先に進めなくてはいけないしで15分ほどで失敬した。

誕生日会のために用意されたスナック類

中国茶道の体験講座用にセットされたテーブル

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(10分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、リードシートIII

2022年6月16日木曜日

【日記】2022年6月15日(水) 、パスポート即日交付のための事前申請、「日本哲学の最前線」を一読

パスポートの期限が近づいてきたので、今日は「即日交付」のための事前申請を行った。予め必要な申請をしておくと、領事館に行ったらその場で新しいパスポートを受け取ることができる。しかしこの事前申請が「パスワード付き"Excel"ファイルに必要事項を記入して"メールで"返送」という形式で、久々に「立ち遅れる日本」を肌で感じた。

パスポートの期限が切れた時に新しいパスポートを発給してもらう手続きを「更新」と呼ぶ場合があるが、厳密に言うと更新ではなく、古いパスポートを返納した上での「新規交付」である。したがって、パスポート番号は引き継がれず、新たに異なるパスポート番号が発行されることになる。外国で生活していると、居住国での個人情報がパスポート番号で紐付けられていることが多く、番号が変わるとその事後手続きが大変だ。IT化が進んでいる中国では、大変を通り越して「一大事」と言っても良い。

新しいパスポートを受け取ったら、パスポート番号が変わったことをあちこちの役所や銀行やらに届けなければいけないのだけど、この際「同一人証明」というものが必要となる。今日はそのための申請書の作成も行ったが、これがまたまた原始的で、なんとパソコンから記入できないタイプのPDFファイルがWeb上からダウンロードできるようになっているだけなのだ。なぜ日本の役所はここまで遅れているのか。

IT先進国である中国から遅れているだけでなく、過去に私が住んだほぼ全ての国・地域よりも明らかに遅れている。「ほぼ」と書いたのは、ロシアがあるためだ。ロシアと日本は同程度くらいかもしれない。

さて、半月ほど前だろうか、とある読書系のポッドキャスト番組を聞いていたら、講談社の栗原一樹さんという編集者がゲストで出演されていた。この方が担当されている「哲学書」が最近かなり売れているそうなのだ。話を聞いているうちに興味が出てきて、栗原さんが担当された最新刊の「日本哲学の最前線」という本をさっそく購入して一読してみた。

この本は日本の若手哲学者5人の著作を紹介している本なのだけれど、それぞれの内容を関連させながら一貫した描像が見えてくるような作り方になっている。この本単体でも面白いのだけれど、日本の新しい哲学に関する良質なブックガイドとみることもできる。私はとくに伊藤亜紗さんという方の「体の哲学」に興味をもった。「体は完全には自分の思い通りにならない対象」という体の捉え方にはハッとするものを感じた。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III

2022年6月15日水曜日

【日記】2022年6月14日(火) 、働き盛りの研究者の過労死、中国で研究者の過労死が発生する原因(私見)

中国に来て中国語の報道を注目するようになってから、40代くらいの働き盛りの研究者の訃報をしばしば報道で目にするようになった。今日もまた訃報が出ていた。過去の訃報を見ていると、例外なく亡くなられて方の研究業績は凄まじい。今日亡くなられた方の業績もご多分に漏れず大変なもので、論文のメトリックスを見ていると、私なんかは一生かかっても到底追いつくことができない数字だ。

正確な統計データを調べた訳ではないので明確なことは言えないが、報道から受ける印象としては、働き盛りの中国の研究者が突然死する割合は、他の西側先進国に比べて高いのではないかという印象は持っている。状況から考えて、突然死の原因は「過労死」と考えるのが自然だろうと思う。

西側先進国の研究者の労働環境が近年悪化していることは以前から指摘されており、その一方で研究環境が相対的に優れていると言われている中国でなぜ研究者の過労死が多いのかと客観的には思われるかもしれないが、自分の職場を見ている限り、一部の人が過労死する可能性が高くなるのは分からなくはない。

あくまで、うちの職場のシステムからの類推ではあるが、中国の研究システムは、それほど凄まじく働かなくても職は維持していけるようになっているとは思う。契約書に書いた通りのティーチングと研究のノルマをこなすだけなら、それほど大変ではない。仮にノルマを達成できなかったとしてもテニュアをとるところまで到達していれば、それほど簡単にクビにもならないはずだ。

では、何が過労をドライブしているのかというと、私の意見では中国には「インセンティブ」が豊富に揃っていることだと思う。国レベルから省や学内レベルまで、業績に応じて実にさまざまなインセンティブが揃っている。向上心が強い中国の若手研究者は、昇給、昇格、高額グラント等々のインセンティブをちらつかせると実によく働く。

向上心が強くても、自分の仕事量の限界をわきまえて、上手くスケジュールをコントロールできる人であれば問題ないのだろうけれど、中には明らかにコントロールに失敗しており早朝から深夜まで土日も関係なく働いているような研究者も相当数存在する。このような状態だと、少なくない人が過労死ラインを超えてしまうのも自然の成り行きではあると思う。

現状、西側諸国では働いても働いても研究者の待遇は良くならない。こういう状況だと、むしろ過労死ラインを超える人の割合は少なくなるのかもしれないが、科学研究が衰退の方向に向かっているのもまた事実である。時々に出てくる中国の研究者の過労死のニュースがショッキングであることは確かだが、しかし、西側と中国、どちらの方が幸福を感じている研究者の割合が多いかというと、私は今のところ中国ではないかと思う。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、リードシートIII

2022年6月14日火曜日

【日記】2022年6月13日(月) 、下顎の親知らずの抜歯、患者側から見た日中の矯正治療の比較

歯列矯正(表側ワイヤー矯正)を始めたことは以前の日記で書いたが、矯正装置のワイヤー調整と上顎の左右5番目の歯を抜歯してから一ヶ月が経過し、今日は再び歯科を訪れた。今日の目的はワイヤーの調整と下顎右側の親知らずの抜歯だ。

中国で歯科にかかるとなると、多くの人にとって心配な事柄は「言葉」かもしれない。「ウミガメ政策」の効果が出ているのか、英語を流暢に話す人材は幅広い分野に多く分布している。歯科医も例外ではなく、病院の公式WeChatに英語で問い合わせを送れば、かなり高い確率で返事をくれる。私も今の担当医のW医師を英語の問い合わせを、WeChatで英語の問い合わせを送る方法で見つけた。

W医師は非常に英語が上手で、英語でのコミュニケーションには全く問題がない。助手さんたちとは中英チャンポンでコミュニケーションしているが、重要な部分はW医師が助けてくれる。なので、助手さんたちとは中国語の練習だと思って、できるだけ中国語で会話するようにしている。

さて、今日はまず矯正治療の経過を調べるための写真撮影を行った。矯正装置をつけてからまだ40日弱しか経過していないので、自分では歯が動いている実感はないのだが、W医師によると順調に動き始めているそうだ。

矯正治療の記録用の撮影が終わった後、抜歯を行った。抜歯の方は、抜く歯が「下顎の親知らず」ということで少し心配していたのだけれど、結果的にはとてもスムーズに終了した。前回と同じで、抜歯を行う前には血圧の計測が行われた。上が140mmHg、下が90mmHgを超えていると抜歯は出来ないルールとなっている。

前回は、抜歯前の緊張で血圧が一時的に上がってしまい、少し落ち着く時間が必要だったが、今回は一回の計測で条件をクリアーできた。多分、徐々に歯医者の環境に慣れてきたからだと思われる。抜歯の手順はほぼ前回と同じだったが、一つ前回と違ったのは、抜歯前に痛み止めの薬を服用するように言われたことだ。これはおそらく抜歯する歯が下顎の親知らずだったからだろう。しかし、この薬の効果もあったのか、抜歯後の痛みはほとんど感じなかった。次回は、再び一ヶ月後にワイヤーの調整と歯のクリーニングを行うとのこと。

今の時代、YouTube等でさまざまな分野の専門家の解説を聞くことができるが、歯科矯正も例外ではない。やはり、自分が治療を受けていると、日本と比べて自分が受けている治療がどうなのかということが気になる。W医師の矯正治療の手順を、YouTube等で見る日本の専門医の解説と比べると、手順は基本的に同じか、もしくはW医師の方がより慎重にやってくれているような感じがしている。

ここまで中国で矯正治療を受けての感想だけれど、言葉の問題さえクリアーできるのであれば、医療レベル的には中国で歯科治療を受けるのは全く問題ないと思う。むしろ、日本で自由診療となるような治療であれば、中国で受けた方が若干割安感があり、お得かもしれない。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

2022年6月13日月曜日

【日記】2022年6月12日(日) 、「チャーミーグリーン度」が高い中国人夫婦

明日からの出勤と歯医者行きに備えて午前中にPCR検査に行ってきた。ルール上は、多くの公共の場所に入るためにまだ72時間以内の陰性証明が必要だ。しかし、厳密に陰性証明書を確認しているのは医療関係の施設ぐらいなので、無料検査場は最近ではかなり空いている。

金曜日や土曜日あたりは検査場はガラガラで、係員も暇そうにしている。それでも日曜日だけは、月曜日に陰性証明が必要な人が集中するため、混雑とまではいかないが、それなりに検査場に人は集まっていることが多い。今朝検査場に行ったら、私の前に三人ほどの人が検査を待っていた。うち二人は30代中盤から40才くらいの夫婦だった。

中国人の夫婦は、人にもよるのだが、様子を見ていると、どうも日本人の夫婦とは雰囲気が異なる。検査待ちの間ひまだったので、私の前で検査を待っていた夫婦を何気なく眺めていたら、やはりこの夫婦からも中国っぽい雰囲気を感じた。

男性の方が何やらボソッと女性に言った後、女性の方が何やら激しく言い返したかと思ったら、突然男性の尻をすごい音を立ててパシーンと叩いたのだ。喧嘩でも始まるのかと思ったら、その後、何事もなかったかのように手をつないで検査を受けていた。尻を叩いていたのは、あれはコミュニケーションの一種だったのだろうか。

検査からの帰り、また別の中国人夫婦とすれ違った。こちらの夫婦も40才前後くらいだったと思う。こちらの夫婦は、ちょっと日本では見かけないような派手な色合いのおそろいのTシャツを着て手をつないであるいていた。こういう光景って、日本でも若い夫婦だとありえると思うが、40才をこえるとあまり見ないような気がする。家に帰ってからそういう話を妻にしていたら、妻曰く、日本人の夫婦より中国人の夫婦の方が「チャーミーグリーン度」が高いとのこと。分かる気がする。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

2022年6月12日日曜日

【日記】2022年6月11日(土) 、今年の卒業式はオフライン、バイオハザード実験室のような荷物受け取り所

今年は学院(日本の学部に相当)単位での卒業式をオフラインでやるようだ。赴任後の2年間はコロナの影響でオフラインでの卒業式は行なわれず卒業生の指導もしていなかったので、まだ職場の卒業式に一度も参加したことがない。卒業式への教職員の参加は任意らしいが、今年は卒研生の指導もしたことだし参加しようかと思っている。それで日程やその他の詳細を調べていたところ、どうやらドレスコードがあるようだ。男性は、白もしくは淡い色のシャツ、濃い色のズボン、濃い色の革靴を着用とのこと。

最近、外国から中国に送られてくる荷物の防疫管理が非常に厳しくなっており、発送から半年以上経過しても届かないという話を頻繁に聞く。今日、同僚の一人が、外国から送られてきた郵便物のピックアップポイントの写真を撮影してWeChatモーメンツに流していた。

写真から受けるピックアップポイントの印象は「バイオハザード実験室」そのものだった。立地も市街地から遠く離れた周りに人がいない場所で、建物はプレハブ。そこで、防護服を来た係員が念入りに全ての荷物に消毒液を振りかけている。消毒液を吹きかけられた荷物は、病院で見かける滅菌庫みたいなロッカーに一つ一つ収納されている。

「滅菌ロッカー」は建物の内側と外側から開閉できるようになっており、防護服を来た係員が建物の内側から消毒された荷物をロッカーに入れて内側から蓋をし、受け取りに来た人は外側のドアを開けて荷物を受け取るというシステムのようだ。その同僚は、海外から送られた荷物がなかなか届かないので、あちこち問い合わせているうちにこのピックアップポイントに行きついたらしい。

中国政府は外国から来る荷物に付着したコロナウイルスが感染源の一つだという主張をしており、この厳重な荷物の防疫管理もそれに関係したものだと思われる。ただ、外国からの荷物が感染ルートになっているという考えには賛否両論があるようだ。いっとき、外国から輸入された冷凍食品や加工肉からコロナウイルスが検出され、その食品を販売していた店舗が封鎖されるという状況がうちの近所でも何度か発生していたが、最近は水際で確認していることになっているのか、そういう話をあまり聞かない。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III

2022年6月11日土曜日

【日記】2022年6月10日(金) 、物議を醸す科学研究スクープ、自らの研究成果を客観的に見つめることの必要性

朝食を食べながらTwitterを眺めていたら、先日の日記に書いた探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った砂から複数のアミノ酸が見つかったというニュースが、何やらその後物議を醸しているようだった。論文が出版される前に研究成果が報道されるのはなんだか普通ではないなと思っていたのだけれど、どうやら、報道解禁日時よりも前に情報をリークした人が共同研究チーム内にいたようだ。

SNS上では記事に関わったと思われる新聞記者が非難されているようで、一連のやりとりから想像するに、担当記者は「スクープの何が悪い?」と考えているようだ。まぁ、新聞記者にしてみればそれはそうだろう。

しかし、最近の科学研究関係の報道を見ていると、研究者が世間の注目をあびることに必死になりすぎているような気がしてしまう。最近増えてきた「大発見記者会見」もそうだし、今回のリークにしても、その根底には同じ文脈があるように思える。

私が初めてポスドクとして働いた時のアメリカ人のボスは、論文にセンセーショナルなタイトルをつけることを非常に嫌った。なのでそのボスの論文のタイトルはなんの虚飾もなくただ事実が分かるだけのものばかりだ。しかし、それでも偉大な研究者として電波天文学の歴史に名前を残している。それは、他の研究者から信用されていると言うだけでなく、本人が自分の研究成果を客観的に見つめて徹底的に間違いの可能性を考え抜き、調べ尽くしていたからだろうと思う。

最近の科学研究の動向を見ていると、自分たちの成果を世に知らしめることばかりに意識が向かっており、客観的に研究成果を見つめ直すというプロセスが抜け落ちているような気がしてならない。こういう話をすると「予算を獲得しないと研究は継続できないし、そのためには世論コントロールのための宣伝が必要なんだ」という正当化をする人が出てくるのだけれど、科学研究の本来のプロセスが歪んでしまっては、お金をとってきたところで科学は衰退していくのではないかと思う。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(20分程度)

2022年6月10日金曜日

【日記】2022年6月9日(木) 、高考後の勧誘活動開始、1年越しのひらめき

中国の大学入学共通テスト「高考」が昨日で終了した。これが終わると大学では、成績優秀な学生に入学してもらうための「勧誘合戦」が始まる。中国の他の大学の様子を知らないので、もしかすると北京や上海の一部の超有名大学では事情が異なるかもしれないが、うちの職場では高考後の受験生の勧誘はかなり大規模に行なわれる。

例えば、各地で開催される大学説明会に教員が参加して勧誘のためのプレゼンをしたり受験生の質問に答えたりする。大都市で行なわれる説明会以外に、地方出身の教員は、自分の地元で勧誘活動を行うことが推奨されている。去年まではコロナの影響で、勧誘活動が制限されていたけれど、今のところ今年はフルに「オフライン」での活動が行なわれるようだ。

今日も引き続き、秋学期に行う講義の準備を進めた。今の職場は、突然仕事が降ってくることが頻繁にある上に、それが重大案件だったりすることが多いので、予測できる仕事は早め早めに進めておくのが吉である。

今日は、昨年使った講義スライドを見直しているときに、一部説明が甘かったところに気づいて、教科書に戻ってもう一度考え直していた。そうすると、昨年スッキリと説明できなかった項目について、非常に明快な説明がふと頭に浮かんできた。

昨年はこの部分に関しては英語の教科書をネタ本に使ったのだけど、その教科書の説明が「定性的」だったので、講義でも教科書と同様の定性的な説明をするにとどまった。同じ項目について、最近出版された日本語の教科書をみると、英語の教科書とは若干異なった視点から数式が書き下されており、なんらかのヒントになりそうだった。しかし、昨年はすぐに理解できず、講義には活かせなかったのだ。

今日、1年ぶりにこの項目について日本語の教科書に目を通したら、パッと頭の中に光が射したように突然理解できたのだ。日本語の教科書というのはページ制限があるのか、多くの場合、数式の解釈に使われている言葉が少ない。なので、ロジックが数式に凝縮されすぎていて読み解けないということがしばしば起こる。私みたいな数理音痴の天文学者が物理系の教科書を読んでいると、かなり後になってから突然ハッと理解できるということを時々経験する。何はともあれ、今年の学生に良い説明が提供できそうで良かったと思う。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(20分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、リードシートIII

2022年6月9日木曜日

【日記】2022年6月8日(水) 、暴風雨警報でも続行される大学入試、人間関係の可干渉性

完全に雨季に入ったようで、天気予報を見ると、見渡す限りずっと「雨」のマークが続いている。この時期になると「日」単位の天気予報はあまり役に立たない。降雨レーダーに基づいた「分」単位の降雨予報を見ながら通勤のタイミングを図らねばならない。自転車しか通勤手段がないと雨季はなかなかに苦労する。

私は通勤時にシェア自転車を利用しているのだけれど、シェア自転車は乗車時にスマホでQRコードをスキャンして料金を支払うシステムになっている。しかし、雨が強く降っていると、QRコードの前面に付着した水滴の影響でうまくコードを読み取ることができなくなる。雨が弱ければ、さっと水滴を拭ってスキャンすればよいのだが、バケツをひっくり返したような雨となると水滴を拭った矢先からまた水滴がつくのでお手上げである。

なんとか小降りになるタイミングを見つけて出勤したが、出勤後に再び雨脚が強くなり、結局、午後からは休講となった。今日は中国の高考(大学入学共通テスト)の二日目で、そちらはどうなるのかと思っていたが、さすがに高考は暴風雨警報の中でも続行されたようだ。

仕事の方はというと、そろそろ学期末のまとめの時期に入っている。私は部分的に担当していた講義の成績をつけ終わって既に提出したので、次の学期(秋学期)にむけての講義の準備を進めている。さらにその次の学期(春学期)に新講義科目を立ち上げる予定なので、秋学期の講義準備を早く終わらせてそちらにとりかかりたい。

講義準備のために日本語の電波天文学の教科書を読んでいたら、すごく真面目な文章の中に一箇所、なんとなく「緩めの」記述があり、ついマーカーを引いてしまった。
相性の良い人を「波長が合う人」と言うことがある。これはコヒーレンスの概念を日常で使っている例だろう。(シリーズ現代の天文学、宇宙の観測IIー電波天文学より


コヒーレンス(可干渉性)が維持されるためには、放射源と放射メカニズムが共通であること、雑音が少ないこと、等々が必要であるが、人間どうしも、出身地や出身校が同じだと相性が良い(波長が合う)ということはあるだろう。「雑音」は人間関係に置き換えた場合、どういう事柄が対応するだろうか。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し。

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III

2022年6月8日水曜日

【日記】2022年6月7日(火) 、普通高等学校招生全国統一考試(高考)初日、大学教員と高考の関わり

今日から中国では「高考」が始まる。高考は「普通高等学校招生全国統一考試」の略で、要するに中国の大学入学共通テストである。今年は1193万人が受験するそうだ。受験生の数が多い上に、超高学歴社会の中国ということもあって、試験に対する熱の入り方はおそらく日本の比ではない。しかも、留学を除くとその年に受けられる大学入試は実質これ一回きりであるため、受験生にかかるプレッシャーは相当なものだろうと推測される。報道を見ていると、試験会場の前に受験生の親族が集まって、試験時間中ずっと応援し続けるといった状況も見られるようだ。

日本の共通テストでは主に大学のキャンパスが試験会場となるが、中国の高考の場合は「高校」が会場となることが多いようで、試験期間中でも大学は平常運転だ。高校の方が受験生(主に高校生)の扱いには慣れているだろうし、大学の教育にも影響を与えないので、高校を試験会場にするのは良いアイデアだと思う。もしかすると、受験生にとっても、慣れない大学で試験を受けるよりも、高校で試験を受けた方が緊張しなくて済むかもしれない。

高校が試験会場となるからといって大学教員が試験運営に無関係かというとそういうことはなく、一定数の教員は試験会場の運営に携わることになる。ただこれは、うちの職場を見ている限り強制ではなく、あくまで「志願制」のようだ。はっきりとした応募時期は忘れたが、確か半年ほど前に高考の試験官の募集案内が職場で回覧されていた。事前の研修等もあり、拘束時間も長いので簡単な仕事ではないと思う。ただ、日当は支払われるようだ。

試験問題作成に関しても大学教員が関わっているはずだが、これに関しては情報管理が非常に厳しいようで、身の回りで高考の問題作成に参加している人がいるのかいないのか明確なことは分からない。中国における高考への「ヒートアップ状況」を見ていると、問題作成に関わっている人の情報管理は、おそらく軍事機密なみの管理が行なわれているのではなかろうかと思う。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III

2022年6月7日火曜日

【日記】2022年6月6日(月) 、怪しい出どころの科学ニュース、手数料現金払いへ向けての準備

朝、ネットニュースの見出しを眺めながら朝食をとっていたら、探査機「はやぶさ2」が地球に持ち帰った砂から複数のアミノ酸が見つかったという記事が出ているのに気がついた。本当だとしたらとても興味深い結果だと思う。しかし、どうもこのニュース、出どころが「妙」なのだ。記事の本文を見ていると「成果は近く論文で公開される見通し」などと書かれている。つまり、まだ成果が正式には発表されていないようなのだ。

では、研究チームが、最近流行の「大発見報告記者会見」を行ったかというと、そうでもない。つまり、どこかから情報が漏れて、新聞社が勝手に記事にした(スクープした)ということらしい。最近の科学の大発見報道は、なんだか歪なものが多いような気がする。

私は個人的に、「大発見記者会見」は科学の健全な発展を阻害するものであり、やるべきではないと考えているが、報道機関による「スクープ」も相当に問題なのではなかろうか。事件事故ならスクープによって得られる社会的なメリットがデメリットを上回るということはあるかもしれない。しかし、科学研究の場合、スクープによって専門知識のない記者が成果を最初に世に出すことは、研究活動そのものの破壊にすらつながりかねないと思う。

さて、今月末にパスポートの更新のために広州まで出かける予定だ。日本のパスポートの更新手数料は、どういうわけか支払い方法が「現金払いのみ」なので、現金を用意しなくてはならない。中国で生活していると、現金は何か特殊な状況が発生しない限りまず使うことがない。中国で生活し始めて2年半ほど経過して、初めてその「特殊な状況」が発生したことになる。その原因がIT後進国である我が母国の「パスポート更新手数料」であるところが本当に嘆かわしい。

現金を下ろすためにはATMに行かなくてはいけないが、最寄りのATMの位置を地図アプリで検索してみたところ、どうやら銀行支店の中に設置されているようだ。今日は朝から土砂降りの雨で、自転車しか足がない私はカッパを用足に出る必要があるのだけど、まさかずぶ濡れのカッパを来た状態で銀行支店の中に入っていくわけにも行かず、仕方なく現金調達は延期することにした。まったく、パスポート更新手数料のために、ずいぶん無駄なエネルギーを使わされている。


中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(20分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、リードシートIII

2022年6月6日月曜日

【日記】2022年6月5日(日) 、明日に備えてPCR検査、例文暗記用のアプリを探索

今日は三連休の最終日。連休ということで二日間PCR検査に行かなかったが明日は出勤なので今日中に検査を受けておく必要がある。街全体としてはコロナ規制は緩和されつつあるが、今のところ職場の入構に際して48時間以内のPCR検査陰性証明が要求されるルールに変更はないようだ。夏休みで学生が全員キャンパスからいなくなる時期までは現行ルールのまま行くような気がしている。

職場以外の公共の施設では72時間以内の陰性証明が要求される場合が多い。一番重要なのはおそらく病院だろう。救急外来で72時間以内の陰性証明が提示できなかったために処置が遅れて命を落としたというニュースを何度か目にした。なので、休みの日であっても72時間以内の陰性証明だけは維持するように心がけている。

中国語の例文を毎日少しづつ暗記しているという話は日記にも書いたことがあるが、例文を暗記するときに今のところ「究極中国語」という学習アプリを使用している。このアプリ、とても良くできていて、一度暗記した単語であっても、しばらく時間が建って、そろそろ忘れたのではないかという絶妙なタイミングでまた確認の出題をしてくれる。この機能がとても良くて、効率よく記憶を定着させることができる。

ただ、究極中国語はとても良いアプリなのだけど、一つ問題があって、それは例文を自分で追加できないことだ。究極中国語の例文は、語学の本で想定されがちな典型的な場面、例えば、日常的な挨拶、レストラン、空港、ホテル、病院等での会話に限られているので、中国で生活や仕事をしている立場からすると、例文で扱われている場面が旅行者視点に偏りすぎているのだ。

そんな訳で、何か例文暗記に使えそうなアプリを探していたところ、「WordHolic」というアプリに行き着いた。少し試してみたが、そこそこ使えそうな感じだ。テキスト読み上げ機能で例文を読み上げてくれたり、パソコンからのデータ編集が可能なようだ。あと継続復習機能(忘却曲線対応)があるのも良い。また、登録した単語のピンインを自動でコメント欄に入れてくれる機能は中国語学習者にとっては非常に便利だと思う。


中国語学習

単語と例文の暗記(40分程度)

2022年6月5日日曜日

【日記】2022年6月4日(土) 、三連休でリフレッシュ、つながる中国語文法

連休二日目。週末が3日あると、いつもよりもゆったりと時間が流れている感じがする。ロシアの前職場では年二回、一ヶ月以上のバケーションをとるのが当たり前だったので、当時は三連休なんて休みのうちに入らなかったけれど、中国に来てからはなかなかの過密スケジュール具合なので、3日の連休でもホッとする。

以前の日記にも少し書いたと思うが、毎日のルーティンとして、少しづつ中国語の例文を暗記している。目下「究極中国語」という名前のiOSアプリを使って暗記しているのだけど、アプリの記録によると、完全に暗記が完了した例文が約300、学習中のうろ覚えのものが約300ということなので、トータルで、だいたい600文くらいの例文がなんとなく頭の中に入っていることになる。

中国に来る前、ロシアに住んでいたときには、生活していくために当然ロシア語を学習していた。あのときも現在の中国語学習と同様に、とにかくひたすら実用上必要な例文を書き留めては暗記していたのだけど、ある日ふと思い立って文法書を読んでみたところ、ずいぶんと例文暗記の見通しがよくなったことを記憶している。

そこで、中国語でもきっと同じ効果があるだあろうということで、適当な文法書を見繕って、ここ一週間ほどの間に少しづつ読み進め、ようやく昨日一冊全てを通読した。読んだ文法書は「つながる中国語文法 Kindle版、林松涛 (著)」である。

 

ある程度の量の例文を暗記してから文法書を読むと、今まで力技で丸暗記していた状態だったのが、文の形に理由付けが行なわれるために、とたんに見通しが良くなる。ただし、これが何故か、私の場合は逆の順番だとうまくいかない。文法を知ってから例文を覚えていけば、最初からスムーズに暗記が進みそうなものだが、全くそうはならないのだ。

なぜかというと、頭の中が真っ白な状態だと、そもそも文法書がつまらなすぎて内容が全く頭に入ってこないのだ。私の個人的な意見ではあるが、やはり言語というのは、最初に言葉ありきで、暗記が断片的だろうが理屈があろうがなかろうが、何でも良いので、まず例文をひたすら暗記することから始める方が良いようだ。

さて、上記の文法書、中国語文法の構造を一つのマインドマップとして視覚化していて、文法の全体像を捉えやすくしているという点でユニークだと思う。多少偏見が入っているかもしれないが、文法書の著者が日本人だと、内容がやたらと理屈っぽいというかマニアックというか、言語のユーザーの便宜よりも、言語学の専門家の目を気にしながら書いているのではないかと思わせる文法書になりがちな気がする。

この文法書の場合、著者が中国人のネイティブで、ネイティブ話者の視点から従来の文法書を見つめ直して、言語ユーザーのニーズに寄り添う形で解説が加えられている。この観点から、言語マニアではない普通の中国語学習者にとって助かる内容になっていると思う。フォーマットが固定されたタイプの電子書籍で、なおかつ見開きがワンセットになっている体裁なので、大型のタブレットで読む必要があるだろう。

中国語学習

単語と例文の暗記(45分程度)

2022年6月4日土曜日

【日記】2022年6月3日(金) 、今日から端午節の三連休、例文暗記は楽しい

今日から中国は「端午節」で三連休だ。金曜日は平日であれば研究グループのミーティングが行われる日なのだけれど、今日は祝日なのでお休みだ。しかし、今日が祝日であることを忘れていたのか、同僚の一人が「あれれ、どうして誰も会議室にいないの?」というメッセージをWeChatに流していた。

休みの日は、あれもやろう、これもやろうと、ついいろんな予定を頭の中では考えるのだけど、だいたい何も出来ず無為な時間を過ごすことが多い。平日であれば語学学習やピアノ練習のルーティンも時間を区切ってさっと済ませるのだけど、休日となると平日の2-3倍、いやそれ以上に時間がかかってしまう場合もある。

毎日の私の語学学習は、単語の暗記、例文の暗記、文章の音読、ヒアリング(+シャドーイング)を中国語と英語について行っている。休日も、まずは平日と同じように一通りのメニューをこなすのだけど、休みの時は気が向いたメニューを「おかわり」することがある。最近、中国語例文の暗記が非常に楽しいので、休日ということで時間にゆとりもあるので、例文の暗誦練習を通常よりも30分ほど長くやってみた。

例文の暗記は即効性がある。暗記した例文が増えるにしたがって、中国語を使える場面が確実に増えていく。したがって、初心者の時期にやっていて楽しい学習メニューの一つだ。中国語の例文暗記をやっていると、ふと中学校の時の英語学習を思い出す。当時、中学の英語の先生が教科書を暗記することを奨励していて、暗記した英文を先生の前で発表していると、なんだか英語がペラペラと話せているような気になってとても楽しく、気がついたら教科書一冊分全て暗記を完了していた。

私は受験科目としての英語は決して好きではなかったけれど、その後、実用になる英語がなんとか身について、今こうやって外国で英語を使って仕事できている根底には、中学校の時の、あの暗記学習があるような気がしている。実践的な語学力を身につける早道(というか正攻法)は、地道な暗記を積み重ねることだと思う。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し。

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III

2022年6月3日金曜日

【日記】2022年6月2日(木) 、卒業旅行のシーズン、中国の電子書籍市場

卒業研究関係の公式の審査は全て終了したけれど、査読論文として結果を出版したいという学生さんと、今度は英語論文出版に向けてまとめの作業を行っている。言うまでもなく、査読論文を出版するとなると卒論よりも遥かに大変で、もうしばらく継続して努力してもらう必要がある。この学生さんの場合、卒業後は天文分野の大学院への進学が決まっているので、おそらく最後まで頑張ってくれるのではないかと期待している。

卒業が決まった学部生さんたちは、今の時期、卒業旅行に出かける人が多いようだ。中国の若い人がどのような場所に卒業旅行に行くのか興味があったので、研究グループの学生さんに行き先を聞いてみたところ「雲南省」へ行くそうだ。雲南省と言うと美味しいキノコとかお茶とか農産物のイメージが強いが、どういう目的で行くのか聞いてみたら「自然の景色を楽しみに行く」とのことだった。

Twitterを見ていたら、中国市場からKindleが撤退するということに驚いている人がいた。しかし、中国の電子書籍市場を見ていたら、Kindleがやっていけるとはとても思えないので撤退は自然なながれだろうと思う。私も中国語の勉強をかねて、電子書籍サービスの「微信读书」とか、オーディオブックサービスの「微信听书」といったアプリをを使っているけれど、とにかくとても良いのだ。

何が良いって、とにかく無料で利用できるコンテンツが多いのだ。私みたいな中国語初心者だったら十分以上の量が無料で利用できるし、おそらく中国人であっても、無料の範囲内でそうとう楽しめるはずだ。例えば、電子書籍であれば、部分的な試し読みではなく、全文読める書籍が多数揃っているし、オーディオブックにいたっては毎日90分間無料で聞くことができるという大盤振る舞い具合だ。課金するにしてもKindle書籍やオーディブル等の西側サービスに比べると激安の値段設定となっている。こんな感じなので、何をやるにしても課金が前提のKindle型ビジネスモデルではちょっと太刀打ちできないだろうと思う。

私の推測ではあるけれど、中国語の電子書籍やオーディオブックが安く提供されているのは国の戦略なのではないかという気がする。国が本当にこういったサービスを影でサポートしているのか、もしサポートしていたらどの程度のサポートをしているのかまったく不明ではあるが、国(党)の方針に沿わないサービスが存在できないこの国のことだから、この安い電子書籍も、まず間違いなく国の方針に基づいたものだろう。国民一般にたくさん本を読んでもらって、教養をつけてもらうというのは、多少コストがかかったとしても、国としては意味のある投資のように思える。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオ聞き流し(20分程度)

2022年6月2日木曜日

【日記】2022年6月1日(水) 、無料PCR検査場に現れた有名芸能人、ひさびさの顔パスでの入構

2年半ほど前、中国語の勉強も兼ねて中国の現代ドラマを良く見ていた時期があった。中国のドラマには中国語の字幕がついているものが多く、中国語学習の観点からは良い教材となる。さて、そのころ繰り返し見たドラマの一つに「我的前半生」というのがあった。上海を舞台にした現代ドラマで、中心となる登場人物の年齢設定が40代くらいと自分の年令に近く、感情移入しやすいドラマだったのでついつい繰り返し見てしまった。

そのときのメインキャストの一人に、靳東という俳優さんがいたのだけれど、今朝のニュースを見ていたら、見出しに靳東の名前が出ていてちょっと目が止まった。記事をざっと眺めてみたところ、どうやら無料PCR検査場で靳東が検査を受けているところをファンに見つかって大騒ぎになったらしい。靳東ほどの有名芸能人でも無料PCR検査場に並ぶというのがなんとも中国らしいと思った。

今朝は、久々に陰性証明や行動履歴の類を一切見せることなく「顔パス」で職場に入構することができた。コロナ前は、そもそも一切のチェックなしに入構できるのが当たり前だったのだけど、コロナ禍勃発後はあれやこれやと入構に際して証明書の提示を求められるようになり、何も見せないで入構できた記憶が最近ではほぼ皆無である。

何も見せずに入構できたのがいつ以来だったかあらためて考えてみると、1月に自宅が封鎖される前、つまりオミクロン株が中国に流入してくる前には、一時的に状況が落ち着いていた時期があり、ごく短期間だけど証明書無しで入構できた時期があった。そこから数えると、おそらく約半年ぶりの出来事だと思う。もしかすると、上海の開放が全国的な規制緩和と関係しているのかもしれない。

そういえば、最近「◯◯株出現!」みたいなニュースを聞かなくなったような気がする。コロナウイルスの性質から考えて、新しい変異株はいくらでも出現するはずだと思うが、もう世の中が新変異株(のニュース)に辟易し始めているのかもしれない。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III

2022年6月1日水曜日

【日記】2022年5月31日(火) 、こんがらがる漢字の記憶、外国人教員が中国で講義を行う困難さ

中国に住んでいると、麺の意味で「面」という漢字に出くわす頻度があまりにも高いので、最近「麺」が出てくると「あれメンってこんな漢字だったっけ?」と思ってしまうことがある。「週」と「周」も同様である。

相変わらず2日に1回、PCR検査を受ける日々が続いている。今朝は、無料検査場でPCR検査を受けた後、その足で職場に行くつもりだったのだけれど、空が不穏だったので一旦自宅に引き返した。これが正解で、すぐに雨が降ってきた。この季節の中国ベイエリアはいつ雨が降ってきても不思議ではない。

今朝の不穏な空

Twitterを眺めていたら、雲南省の大学で教員をされている日本人の方が「提案した講義が認可されずティーチングが始められない」と嘆いておられた。認可されなかった主な理由は「使用言語が英語であること」「講義のレベルが(非物理系向けとしては)難しすぎること」の2点とのことだった。

うちの大学も英語で教える新講義科目の認可と、初めてティーチングをする教員の研修はかなり厳しい。初任者研修を通った後、既存科目(の一部)を2-3学期くらい英語で教えて、学生や同僚からポジティブな評価をもらって実績を作って、ようやく新講義科目を担当できる、みたいな感じである。

研修自体もそこそこ大変で、学期に4-5回の研修会への参加と18時間の講義参観を経て、最後に審査付きの模擬講義を行ってそれに合格しないといけない。審査は厳しく、半数程度は不合格となり模擬講義のやり直しを食らう。いずれの段階でも外国人教員には厳しい判断が下されることが多いようだ。

「英語の講義をもっと認可してほしい」という要望は外国人教員から出るのはもちろんだが、中国人教員からも同様の要望がかなり出ている。しかし、なかなか英語の講義が認可されないのが現状である。この傾向は、特に学部の講義で顕著である。原因として「中国語での教育を重視する」という基本的な考え方が政権上層部にあるという噂は聞くが、本当のところは良くわからない。

しかし、実際に学部生を英語で教えてみると、案外評判が良かったりするし、学生も外国人の講義を歓迎してくれる雰囲気が強いように感じる。つまり、潜在的には、英語の(というか、外国人教員の)講義の需要は高いように思える。まぁ、需要があるからと言って供給が増えるかというと、そうではないのがこの国の実情ではあるが。


中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し

ピアノ練習

SimplyPiano、中級III