2022年11月16日水曜日

【日記】業績中間審査がようやく終了

2022年11月16日(水)

学期末が近づいてくるにしたがって「余暇の時間」が少なくなっていく。まぁ、これは毎度のことなのである程度は仕方がない。秋学期のスケジュールの大まかな流れとしては、前半は講義の準備、中盤頃から期末試験の準備を始め、最後は講義の成績付けとグラントプロポーザルの執筆で締めくくるという順番になる。この間に、大学院生の指導、自分の研究作業、担当教科会議、教授会、研究グループミーティング、大学院入試業務等が入り込んでくる。さらに今年は中間業績審査の年なのでさらに忙しい状況となっている。

さて、その中間審査だが、先週提出した書類が「要改訂」とのことで返却されてきた。契約したノルマに到達していない項目について詳細な説明を与える書類を提出する必要があるとのことで、A4用紙1枚程度の説明を書いて提出したのだけれど「内容が不足」とのことだった。文章の量というよりも、どうやら説明を求められている項目で抜けているものがあるということのようだ。

そもそもの問題として、私は中間審査に関する書類作成についての説明を一度も英語で受けておらず、中国語の説明文を自分で読んで書類を作成しているので、項目を一つ飛ばしてしまうくらいのことはあっても不思議ではない。外国人教員は、こういう部分でも無駄に時間を使わなくてはならない。

書類の多くは中国語で準備する必要があり、これは自分ひとりでは対応できない。改訂する場合もまず英語で文面を作り、それを中国人同僚にお願いして中国語版を作ってもらうことになる。専門分野が近い同僚の中国人教員に翻訳してもらうのが一番良い方法だとは思うが、この時期、教員は全員超多忙である。

そこで学科の秘書にお願いするのだけれど、秘書は英語は上手なのだけど専門的な内容の翻訳には自信がないとのことで、英語で書いた文面に細々とした説明を付け足す必要がある。とにかく、こんな作業ををやりながら通常の業務も並行して行うのだから、限界ギリギリの忙しさとなる。

そして、必要な改訂を行って書類を提出したあと、今度はインタビューの日程が通知されてきたのだけれど、これがなんと私が担当している講義の時間と完全に被っていて、さらなる対応が必要となった。

どうしたもんかと人事部の秘書に相談したところ「会議で報告する内容を録音して送ってください」とのことだった。会議で話すのと録音するのとではかなり勝手が違ってくる。まず、資料を自動プレゼン用に修正しなくてはいけない。

そして、一度録音した内容は簡単には修正できないという問題もある。心配していた通り、音声ファイルを作っている途中に、再び資料の数字に間違いが見つかり、音声ファイルも録音し直すことになってしまった。とにかく、この審査のために膨大な時間を使う羽目になっている。

そんなこんなで、ようやく昨日審査会が終了した。あとは結果待ちだ。果たしてどうなるか。


2022年11月11日金曜日

【日記】春学期の講義担当意向調査、NAOCの実習科目サポートは素晴らしい

2022年11月9日(水) 

ようやく秋学期も6割ほど終了し、いよいよこれから年末に向けてさらに忙しくなっていくという時期なのだけれど、そうこうしているうちに、今度は春学期の講義担当意向調査が始まった。秋学期の後半は一年の中で最も忙しい時期で、まだ、正直なところ春学期の講義についてじっくり考えるゆとりがないのだけれど、今のところ天文関係の実習科目を一つと、大学院の電波天文学の講義を担当しようかと考えている。

実習科目のちょっと厄介なところは、解析環境(つまり、パソコンと解析ソフト)を準備する必要があることだ。自分のパソコンでデータ解析することと、大勢の学生を相手にデータ解析を講じることは、似ているようで全く性質が異なる作業である。その最初の関門が実習用の解析環境の整備である。

昨年は実習用のLinuxサーバーと解析ソフトの準備が間に合わず、仕方なく汎用のプログラミング言語だけを使った実習教材をでっち上げたのだけれど、正直に言うと天文学のデータ解析実習というよりも、通常のプログラミング実習みたいになってしまい、講義の魅力としては今ひとつだったと思う。

その後、実習用サーバーの準備状況がどうなったか実習科目の主任に聞いてみたところ、どうやらサーバーの立ち上げは無事終了し、あとは解析ソフトをインストールすれば即実習で使用する状況になっているようだ。

この天文学実習用のサーバーの立ち上げ、学内の誰かがやっているのかと思っていたが、よく話を聞いてみると、NAOC(中国の国立天文台)のエンジニアが手伝ってくれているのだそうだ。最初のサーバーの立ち上げのときは、エンジニアが北京のNAOCからわざわざ珠海まで来て作業してくれたらしい。ソフトのインストール等は北京からリモートで対応してくれるとのことだ。このようなNAOCの教育支援はなかなか素晴らしいと思う。

というわけで、さっそくNOACのエンジニアのWeChatアカウントを教えてもらい、実習に必要な解析ソフトを伝えたところ、すぐにインストール作業を開始してくれた。電波天文学のデータ解析実習には、そこそこ大きめの計算機資源が必要なので、その点が心配だったのだけれど、実習用のサーバーは、単体のパソコンではなく「クラスター」的な「強め」の仕様になっており、干渉系データのイメージングみたいな「重め」の作業をクラスで一斉にやっても問題はないとのことだった。インストール終了後にシステムをテストするのがちょっと楽しみなのだけど、しかしその前に、まずは秋学期の繁忙期を乗り越えなければならない。



中国語学習

単語と例文の暗記(25分程度)

2022年11月9日水曜日

【日記】矯正装置の調整、リモートワーク中の緊急連絡

2022年11月7日(月) 

月に一回の矯正治療装置の定期調整日ということで午前中は歯医者へ。毎回、同じ一ヶ月間隔で歯医者に通っているのだけれど、一ヶ月があっという間に経過するときもあれば、ずいぶん久しぶりに歯科医に会うような気がするときもある。時間経過の主観的な感覚というのはあまりあてにならないようだ。

現在通っている歯医者は予約制なので一応決められた時間に行くのだけど、予約した時間よりも早めに診療してくれるときもあれば、遅れるときもある。今回は午前10時の予約だったのだけれど30分ほど待たされた。1時間以上待たされるときは受付の人も流石に申し訳そうな態度を示してくるが、30分ぐらいだと誤差の範囲のようで特別な反応は何もない。

私も長年の外国ぐらしで、日本のキッチリした時間感覚が薄れてきているのか、それくらいの対応の方が気楽に感じる今日このごろである。矯正装置の調整を行うと、その後1-2日ほどは歯が痛くて食べ物を上手く噛めなくなる。

矯正治療の予約は、基本的に講義も会議もない日に入れることにしている。矯正装置の調整後は歯が痛くなることもあり、自宅でリモートワークすることにしているからだ。今日も歯医者に行った後、自宅でリモートワークしていたのだけれど、夕方事務から何やら慌てた感じのメッセージが入ってきた。何かと思ったら、先週、準備で忙殺された「中間業績審査用の提出書類」が提出されていないという。

慌てて学内サーバーへ接続するためのVPNクライアントを起動し、書類の提出状況を確認したが、やはり3日前に既に提出したという記録が出てきた。おそらく、書類提出システムのバグで事務側で提出状況が確認できていないのではないかと思われる。事務側は事務側で、私が何かミスをやらかしていると疑っているようだ。

仕方がないので、提出用の初期画面から1ステップごとにスクリーンショットを撮って先方に送り、作業手順に間違いがないことを納得してもらった。それ以降メッセージが入らなくなったので、あちら側で何か対策を考えているのだろう。こういう業績審査みたいな作業で審査される側に時間を使わさるのは愚の骨頂と言わざるを得ない。

中国語学習

単語と例文の暗記(30分程度)

2022年11月7日月曜日

【日記】雨课堂を使った講義その後

2022年11月6日(日) 

「雨课堂」という講義サポートシステムを使った講義の準備をしているという話を10月27日の日記に書いたけれど、実際に使ってみたところ、学生の評判が良いのでその後も使い続けている。この講義サポートシステムには様々な機能が備わっているのだけれど、教室で一番役に立つのは、地味な機能ではあるが、おそらく各自のスマホやタブレットにスライドの画面が映し出されることなのではないかと思う。

普段、プロジェクターにスライドを映し出して講師しているのだけれど、講義室は比較的明るいので、プロジェクターに映し出した画面が見やすい環境ではない。小さな文字は出来るだけ使わないようにしているのだけれど、それでもやはり見にくいスライドはできてしまう。

例えば、濃い色の背景に明るい色の文字が入ったスライドなんかは、明るい教室では絶望的に見にくくなる。できるだけそのような配色は避けようと思っているのだけれど、論文から図を引用するときなど、どうしても調整しきれない場合がある。そういうときに「雨课堂」を使えば、背景の色を気にする必要はなくなるし、小さな文字も各自の画面でピンチアウトして見てもらうことが可能だ。

他の機能としては、各スライドごとに理解できなかったときに「理解できなかった」ボタンを押して貰う、選択問題の正解者に「红包」を配る、オープンクエッションを出して学生どうし相互に採点してもらう等の機能を試してみた。

最初の機能は結構役立つ感じがした。「理解できなかった」ボタンを押しても学生の名前は教員側には見えないので、学生も本音で反応ができるようだ。選択問題やオープンクエッションを出す機能は、場面によっては便利かもしれないが、数理的な内容を扱う講義では使える場面がやや限定されるような気はする。ただ、上手く使えば講義中に学生の集中力を呼び戻す効果は期待できるような気はした。



中国語学習

単語と例文の暗記(90分程度)

2022年11月6日日曜日

【日記】中間審査の準備で忙殺された一週間

2022年11月5日(土) 

先日の日記に書いた「業績中間審査」に向けた準備のため、ここ数日間大忙しだった。審査に向けた準備が入るからと行って、講義等の日常業務がお休みになる訳でもないので、なかなか大変である。まずは、早めに〆切が設定されていた「業績調査書」をまとめて提出した。

業績調査書に記入できる業績は、学内の事前審査を通過した業績のみに限られるので、まず最初に論文やティーチング等の業績を学内のオンライン報告システムから報告して審査を受けなくてはいけない。これがなかなか大変な作業だった。

講義や学生指導の詳細、論文出版に関する細かな記録をWebフォームに書き込んで提出するのだけれど、提出後に行われる審査で記入内容に不備が見つかると、申告した業績が却下されたり記入内容の修正を求められたりする。

業績の内容を細かくチェックして再記入のために書類を突き返したりするぐらいなら最初から大学の方で業績を調べて書類を作ってくれれば良いと思うのだけれど、なぜかそのようなシステムにはなっていない。

業績の学内審査が終わると、今度は学内審査を通過した業績の目録を作り、業績の一つ一つを「文章」で説明しなくてはいけない。この説明だが、要求される項目や文字数が予想外に多くてかなり時間がかかった。

また、今回は契約書に書かれているノルマの一部を達成できていないため、未達成の理由と改善策をまとめた書類を作成しなくてはいけなかった。赴任直後にコロナ禍に巻き込まれ研究チームの立ち上げが遅れたこと、学内規定で外国人教員教えられる講義科目に制限があることなど、いろいろ説明しなくてはいけないことが多く、結局、ざっと状況を説明した英文を書き上げるのに、講義準備の合間の時間を全て投入して2日ほどを要した。

さらに、口頭での業績報告も求められるので、そのための「スライド」を準備する必要がある。これも事前に審査を受けなくてはならないらしく、事前の提出が求められる。スライドのフォーマットについて、いろいろと「ローカルルール」があるため、予め収集しておいた前例を元に一通り作成したのだけれど、なんだかんだで2日ほどを要した。

そんなこんなで、中間審査に必要な書類を一通り準備するの結局、一週間ほどかかった勘定になる。あとは、来週の業績審査会で、口頭での報告を行い質疑応答を済ませれば一応私がやるべきことは修了である。しかし、ノルマが達成できていないだけに、審査結果がちょっと心配である。まぁ、心配してもしょうがないのだけれども。


中国語学習

単語と例文の暗記(90分程度)

2022年11月2日水曜日

【日記】心配事を乗り切るために個人的に心がけていること

2022年10月31日(月) 

出勤後、とりあえず何はさておき、まずは「中間審査」の手順の確認に取り掛かった。最初に手続全体の流れを確認するために、秘書さんにオフィスに来てもらって中国語で書かれた手順書を見ながら内容の確認を行った。やはり、幾つか誤解していた箇所があった。

最近、事務手続きに際して「中島教授は中国語を読めるでしょう?」という感じで中国語の書類を渡されて放置されることが増えてきたのだけれど、中国語の書類を自力で処理できるかどうかは事務手続きの内容による。簡単なものや、ミスしても大きな問題にならないような事柄ならよいのだが、業績の中間審査のような重要度が高いものはミスが許されないのでさすがに自分一人で処理することは出来ない。

さらに、学科の秘書さんや、人事関係の秘書さんたちと連絡をとって、過去の審査に提出された書類の具体例や、業績評価の内々の基準値等を探った。様々な事情が重なって、私は今回契約上のノルマを達成できていないので、その状況説明をしなくてはいけない。この作業を行うためには、過去の事例が分かっていたほうが都合が良い。いろいろと交渉して、過去に提出された書類の一部と、昨年同種の審査を受けた人の業績等々をある程度聞き出すことが出来た。

私はかなりの「心配性」なので、普段からありとあらゆることが心配で仕方がない。そういう性格なので、今回のような大き目の心配事が現れてくると、下手をすると日常生活に支障をきたしてしまう可能性がある。ただ、長年自分のこの性格につきあっているので、ある程度対応の仕方は心得ている。

心配事を乗り切るために個人的に心がけていることは以下の三つだ。(1)睡眠時間を十分に確保する。(2)心配することよりも具体的な行動を優先させる。(3)自分で解決できることと解決できないことを明確に区別し、自分で解決できないことは心配しないように心がける。

そんなこんなで、普段の仕事と並行して中間審査に対応するため、今後2週間は忙しくなりそうだ。


中国語学習

単語と例文の暗記(30分程度)

2022年10月30日日曜日

【日記】「中間審査」が心配なので行動開始

2022年10月30日(日) 

明日以降、昨日の日記に書いた「中間審査」の準備等々が予定に割り込んでくるため、スケジュールがかなり逼迫してくることが予想される。とりあえず、朝起きて、中間審査の作業手順を明らかにしておくために、説明書の解読に取り掛かった。

中国語は毎日少しづつ勉強してはいるものの、まだまだ中国語で書かれた書類を理解することは、「読む」と表現するよりも「解読」といった方がしっくりくるレベルである。一応ざっと「解読」したところ、どうやらまずWebフォームに必要な情報を記入し、それ以外にプレゼン用のパワポ資料と申請用のカバーレターを、大学が用意したテンプレートに従って準備する必要があるようだ。

審査手順の7-8割程度は理解できたが、細かなところで分からない項目がまだかなり残っている。さらに、カバーレターは中国語で書く仕様になっているようなので、これは明らかに自分では準備できない。週明けに、中国人同僚にヘルプを求める必要がありそうだ。

Webフォームの動作確認をしようと思ったが、どうやら大学外からサーバーに接続できない設定になっているようだ。学内サーバーにアクセスするためには、大学が用意したVPNクライアントを手元のパソコンにインストールする必要があるらしい。

中国外に接続するためのVPNクライアントとコンフリクトして予期せぬ問題が勃発しないか心配だったが、月曜日まで問題を放置するのも心配なので、学内向けのVPNクライアントをインストールして、Webフォームを確認した。

中国外向け向けVPNと同時に使うと何か予期せぬ問題が発生しそうなので、いちいち切り替えながら慎重に作業を進めた。Webフォーム自体にはアクセスすることが出来たが、やはりどこに何を記入するべきなのか詳細が完全には理解できない。具体的な記入作業は週明けにオフィスに行ってやるしかない。

中間審査に関して、現時点で確認できることを一通り確認した後、来週の平日が多忙になることが既に決定しているので、残りの時間を講義の準備にあてた。しかし、本来は「ダラけようと」思っていた時間だったので、なかなか頭が仕事モードにならない。語学の勉強をやったり昼寝したりして、ようやく夕方から作業にとりかかった。

こういう状況で、やるべきことは明確に目の前にあるのに、体は思った通りに動かないということは、私は生物学的には普通なことだと思っているのだが、現職場はどうも「生物学的に普通でない」行動をしばしば要求してくる。しかし、人間のような生物には十分な休息が必要なのだ。

中国語学習

単語と例文の暗記(30分程度)

【日記】中間審査は突然に

2022年10月29日(土) 

現職の契約期間の途中で、業績の「中間審査」が行われるという話は聞いていたのだけれど、いつごろにどのような手順で行われるか今まで全く知らされず、いったいどうなるのかと思っていたら、今日突然メールで審査を行うという連絡が入った。審査のための書類の提出日が二日後に設定されており、正直なところ軽くパニックになっている。

説明のメールは全て中国語で書かれている。なんとなく概要は理解できるものの、細かい部分で分からないところだらけである。週末だけれども、とりあえず担当者にWeChatでメッセージを投げたところ、細かな情報は職場に行かないと分からないとの返事が返ってきた。

とにかく、この審査、手順も良くわからない上に、そもそもの問題として、コロナ等の問題もあって、達成できていないノルマも少なくないので、かなり心配になってきている。いったいどうなるのか。まぁ、達成できていないノルマに関しては、今ごろ焦ったところでどうにもならないのだけれども。しかし、いつものことではあるが、こういう重要な用事はもう少し早めに連絡してきてほしいものだ。


中国語学習

単語と例文の暗記(50分程度)

2022年10月28日金曜日

【日記】「雨课堂」を使った講義の準備

2022年10月27日(木) 

明日が講義日なので今日はその準備をしていたのだけれど、明日はちょっと実験的なことを行う予定で、そのためにいつもよりも余計に準備に時間がかかった。「実験的なこと」というのは、最近中国の教育現場で流行しつつある教学システムの一つの「雨课堂」を初めて使ってみようと思っているのだ。(10月22日の日記を参照)

雨课堂は中国の清華大学が開発した教学システムで、教室でのサポートから予習復習、オンライン講義、大学が組織的に導入している場合は、時間割の管理から出欠の確認まで、講義周りのありとあらゆることをサポートしてくれるシステムだ。

このシステムの存在自体は昨年くらいから知っていたのだけれど、うちの大学の講義室のパソコンにはクライアントソフトがインストールされておらず、使用することができなかった。

先週、講義室のパソコンが使用中にフリーズし、あれこれイジっているうちに雨课堂のクライアントソフトがパソコンにインストールされていることに気が付き、これは一度使ってみようと思い立ったのだ。

講義室で使うとなると、操作でまごつくと学生に迷惑がかかるので、今日は慎重にリハーサルを繰り返した。このシステム、教師側の操作だけ理解しても使いこなすことはできず、学生側の操作を十分に理解しておく必要がある。

今日は、普段使っているスマホで教師として、もう一つのスペアのスマホでは学生としてログインして、両面からの見え方を一つづつ確認していった。そんなことをやっていたら、結局今日は、ほぼ丸一日を講義の準備に使ってしまった。

毎度のことであるが、私はどうも講義の準備に時間をかけすぎである。できるだけ、サクッと済まして研究に時間を使いたいと思っているのだけれど、講義の準備をしていると、いろいろと余計なことをやりたくなってきてします。まぁ、しかし、これで講義の質が上がるのであれば、時間をかけたかいが多少はあるというものだ。さて、本番はどうなるか。

雨课堂アプリの操作画面

中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年10月27日木曜日

【日記】今日から「5天居家健康监测」が発動、「教学事故」で年末ボーナス20%カット

2022年10月26日(水) 

昨日まで、広州から帰ってきた人に対して「3天居家健康监测」が適用されていたのが、広州で感染者が増加している影響で、今日から「5天居家健康监测」に変更された。つまり、広州から戻ってきた人は5日間「自宅で隔離」となる。

自宅で隔離と言っても、中国の自宅隔離は日本の「自主隔離」とはことなり、場所が自宅と言うだけで「強制的な隔離」である。うちの小区の場合は、玄関ドアが封鎖され、5日隔離の場合だと1、3,5日目にPCR検査が行われ、すべての検査で陰性が確認されてはじめて開放となる。

うちの大学は、広州、深圳、珠海の三つの都市にキャンパスが分かれているので、教員がキャンパス間を移動して、本拠地以外のよそのキャンパスで講義する機会も多い。天文学科の本拠地は珠海なのだが、天文学科の教員の中には、1年生対象の基礎科目の物理を教えている人が少なくない。

1年生対象の講義は広州キャンパスで行われるので、多くの教員が日常的に珠海と広州の間を往復している。大学は、コロナ規制が厳しくなっても、できるだけ「対面講義」を維持する方針らしく、教員にとってはリスキーと思われる要求を出してくることが少なくない。

今回も「5天居家健康监测」が発動されたのにもかかわらず、対面講義をやめるという指示がすぐに来なかった。そして、当然ながら、多くの教員から大学当局に苦情が入ったようだ。大学当局は「広州の宿泊施設にとどまって講義を継続してほしい」みたいなことを最初に返事してきたのだけれど、教員の方も家庭の都合があるので話はそう簡単ではない。どうやら、さらに「上の方」で現在対策が検討されているようだ。

夕方、学内メーリングリストで「教学事故発生」の通知が回ってきた。中国の大学で教学事故などというと、教室で教員が反政府的な話でもしたのかと思われるかもしれないが、そういう政治的な意味での「事故」は稀である。

教学事故で圧倒的に多いのが「遅刻」である。中国の大学は講義の管理が非常に厳しい。特に学部生相手の講義は細かな規定が多く、違反すると「教学事故」となり「罰則」を食らうことに成る。今回は教学自家は「講義に12分遅刻」ということらしく、罰則は「年末ボーナス20%カット」とのこと。なかなかの厳しさである。

こういう厳しい罰則があるので、うちの大学の場合、教員のほとんどは講義開始時間の15ー20分前には講義室に到着してスタンバイしている。日本の大学の講義とは、かなり状況が異なる。


中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年10月26日水曜日

【日記】リスク地区数が数千ヶ所に、眠れぬ夜のオーディオブック

2022年10月25日(火) 

広州でまた感染者が増えているようだ。広州で防疫レベルが上がると珠海での生活にもいろいろと影響が出てくる。うちの大学は広州にもキャンパスがあるため、学生、教職員ともに珠海と広州の間を行き来する人が多い。

最近、私の講義を受講している学生の何人かが広州に行ったために珠海で自宅隔離となり、前回と今日の講義はオンラインで配信した。もともとオンラインで配信するように講義を設計していないので、突然オンラインで配信するとなると、教育の質という点でかなり問題が出てくる。

広州の状況が良くないということで、全国的にはどうなっているのだろうかと思い、久々に全国のリスク地区数を確認した。以前はリスク地区数が「数百ヶ所」だと「かなり多い」という印象だったのが、今日の情報では、なんと一桁上がって「数千ヶ所」のリスク地区が政府広報にリストアップされていた。

もうこうなると感染者数がゼロになることは永遠になさそうである。SNS上ではそろそろ中国政府が方針転換するという噂も聞こえてくるがどうなるのだろうか。少なくとも今の防疫ポリシーを変更せずに継続していたら国が機能不全に陥るのは目に見えている。なんらかの方針転換が早急に必要なのは間違いないだろう。

講義をやっている期間はどうしても「インプット量」が減りがちになる。講義準備のための勉強は当然するのだけれど、講義準備の勉強というのは未知のことを勉強するというよりは「復習」の意味合いが大きい。

新たな知識を得るための「インプット」が減ると、どうも知的な活動の調子が全体的に悪くなるような感覚が私にはある。特に、新着の論文や新刊の専門書やは状態的に勉強するようにしたいとは思っているのだけれど、学期中は気がつくと何日も勉強できていない日が続いたりもする。

そんなこんなで、勉強不足の気を紛らわせるために、最近寝付けない夜に「オーディオブック」を聞いている。ただ、オーディオブックでは、その性質上、数式の入った数理的な本を「聞く」ことはできないし、そもそも科学的な内容を扱ったオーディオブックは極めて少ない。

この際、科学書でなくても、じっくりと書かれた本なら分野は何でも良いので、勉強に値する良書をオーディオブックで聞けないものかと思って探すのだけれど、なかなか適当なものが見当たらない。まぁ、それでも比較的マシそうな本を選んで聞いている。しかし、結局、聞いているうちにすぐ寝るので、あまりインプットにはなっていない。結局のところ、私の場合オーディオブックは普段の読書の代わりにはならなさそうである。


中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、ジャズコードI

2022年10月25日火曜日

【日記】台湾有事が近い?、中露を一括りにする荒い言説

2022年10月24日(月) 

一時20℃程度まで気温が下がり、もうこのまま秋が深まっていくのかと思っていたら今日は一転して29℃まで上がった。衣替えしたはずだったのが、再び半袖シャツを引っ張り出すことになってしまった。なかなかすんなりと夏は終わってくれない。

今学期の講義の後半は、時間の一部を同僚とシェアし、残りは学生セミナーの時間に当てる予定なので、自分が行う講義の準備もあと約4回分を残すのみとなった。しかし、そうは言っても秋学期が忙しくなるのはこれからである。

自分の講義が終わったら、期末試験の準備、実行、採点、そして成績評価、それから、グラント申請書の準備、卒業生が放置して出ていった論文の仕上げ等の仕事が待ち構えている。それ以外にも、年度末にかけては、各種の会議や大学院入試の試験管等の業務も次々に入り込んでくる。来年の春節は1月22日ということなので、講義終了後の日程は少し詰まり気味になりそうである。

最近、SNSを眺めていると「台湾有事が近い」みたいな言説が増えているように思う。数日前に報道されたアメリカ政府関係者の発言がその発端だろうと推測している。これに関連して、「今は中国に留学するべきではない、旅行するべきではない、出張するべきではない等々」の発言もSNS上に多く流れているようだ。

しかし、本当に中国への留学や就職を諦めるような状況なのかは甚だ疑問である。アメリカが「台湾有事」を仄めかす背景には、ロシアが不安定化させている世界の状況を利用して、ロシアと中国を一括りにし、自分たちに有利な反中国的な国際世論を形成しようとする意図があるように思う。

私はロシアでも今と同様に地方国立大学で教授として働いた経験を持っている。2つの国を、ほぼ同等な社会的地位から観察してきた私の経験から言えることは、中露は全く異なる国で、一括りにはできないということである。

率直に言うと、ロシアは私が働いていた2014年から2019年にかけての時点で、既に相当危うい国であるという印象を持っていた。例えば、給料の支払いが遅れる、契約書に書かれている内容が履行されないといったことが日常的に発生していた。

日常生活においても、ロシアではインフラ周りのトラブル、社会システム的なトラブル等々、様々な問題が非常に高い頻度で発生する国だった。そして、ロシア語を自由に話せるロシア人であってもそれらの問題を解決することはしばしば容易ではないのである。

SNSを見ていると、中国に住んでいる日本人が、中国で生活する上での様々な問題について投稿しているのを見かけるのだけれど、ロシア生活を経験している私から見ると、どれもそう大した問題ではない。正直なところ、中国の現在の居住環境や職場環境では、ロシアで経験したような「本当の不安定さ」はほぼ全くと言っていいほど感じない。

SNSの日本語コミュニティでは「中露」を一括りにした粗い言説をしばしば見かけるが、中国とロシアは似て非なる国ですらなく「全く異なる国」であることは認識しておいた方が良いだろう。もちろん中国は、日本にとっていつも協力的に動いてくれる国ではないのは確かである。しかし、それと同時に、現時点で中国への留学や就職を躊躇するほどのリスクがあるとは全く思えないのである。

中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年10月24日月曜日

【日記】一番良い勉強方法は講義すること、PCR検査場が大混雑

2022年10月23日(日) 

自分が学生のころ、大学の講義なんていうのは「教員が既に知っていることをチャッチャと話すだけの簡単な仕事」みたいになんとなく思っていた。しかし、実際に自分が講義する側になってみると、学期を通じて講義をやり通すには相当な量の勉強が新たに必要だし、まず間違いなく、講義室の中でその科目について一番勉強しているのは教員だろうと思う。

率直な意見として、その科目を習得したければ、「講義する側になる」のが一番良い方法だと思うが、残念ながら学生に勉強させるために学生を講師に任命するような奇特な大学は存在しないので教員が講義をするしかない。(もっとも、私の講義では学生にも教壇に立って説明する経験をしてもらっているが。)

今学期、残りの講義回数はあと5回ほどなのだけれど、夏休みに仕込んだ講義ネタの7-8割程度を既に講義したので、もしかすると用意した内容が若干足りなくなるかもしれない。というわけで、今日は手元にある電子書籍の専門書をあれこれと眺めながら「ネタ探し」を行った。

教科書を眺めていると、断片的に面白そうな話題は幾つか見つかるのだけれど、これまで一つの大きなストーリーに乗るように講義を進めてきているので、できるだけ自然にその流れに乗るような話題を探そうと思うとなかなか難しい。結局は、来学期に行おうと計画している講義のパイロット的な内容を話すのが作業効率としては一番良いのかもしれない。

SNSを眺めていたら、隣の中山市で全数検査が行われているとのことだった。どうやら感染者が出たらしい。ネットの地図でリスク地区を確認したところ、数か所の封鎖区域が中山市内に設定されていることを確認した。これはまた珠海にも飛び火してくるかもしれない。

SNS上に流れていた情報によると、中山市のあるPCR検査場で陽性が出たため、そこに来ていた人の健康コードが軒並み「黄色」になったそうだ。黄色になると普通の検査場(プール式)では検査してもらえず、単独検査を行っている特別の検査場に行かなければいけない。単独検査場は普通は近所にはないので、余計な時間を使うことになる。

夕方、月曜日の出勤に備えて近所のPCR検査場に行ったところ、かなり混雑していた。おそらく中山市の状況を受けて、職場や学校から検査を促された人が集まったのだろう。ただ、いつも思うのだが、検査を強制して検査場を大混雑させ、陽性が出た場合に検査場に来た全員に連帯責任のように封鎖管理や黄色コードを食らわせる現行制度はなんとかならないもんだろうか。もう少し賢い方法がありそうなもんだが。

混雑している無料PCR検査場

中国語学習

単語と例文の暗記(30分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、エリーゼのために

2022年10月23日日曜日

【日記】ちょっと苦労した「社会保障番号」の確認、ティーチングサポートソフト「雨课堂」

2022年10月22日(土) 

現在、うちの職場では、学科の教員全員をプロジェクトメンバーとして、広東省が公募している大型グラントに応募するための申請書の準備が進められている。研究案の私の担当分は既に先週の土曜日に執筆し終わって提出済みなのだけれど、応募する際に広東省が発行する「社会保障番号」が必要とのことで、アプリから証明書類をダウンロードして提出するようにとの指示が学科の秘書さんから舞い込んできた。

「社会保障番号」なんていうものが外国人に対して発行されているのか疑問だったが、とりあえず指示されたとおりに広東省の行政サービス用のアプリから証明書をダウンロードしようとした。しかし、例によって「中国人IDがないと手続きできない問題」が勃発し、証明をダウンロードすることができなかった。

役所関係のアプリを使用する場合、本人認証の過程で使えるIDが「中国人IDのみ」であることが多く、外国人は本人認証ができないという問題にしばしば直面する。学科の秘書さんに頼んで、アプリに表示されている問い合わせ電話番号に電話して状況を聞いてみてもらったところ、行政側の担当者は「アプリではなく、行政のホームページからダウンロードしてください」と言っているとのことだった。それで、今度は広東省のホームページから書類をダウンロードしようとしたが、やはり本人認証のところで上手くいかなかった。

本人認証でトラブルのは、まぁ、いつものことなのだけれど、今回の場合はそもそもの問題として「社会保障番号」というものが外国人に発行されているのかどうかが疑問だったので、今度は職場の人事担当の秘書さんに状況を確認してみた。そうすると、どうやら社会保障番号自体は外国人に発行されているとのことらしい。

とにかく、自力では証明証を取得しようがないので、「大学でなんとかしてくれませんか?」と問題を「上の方」に投げたところ、1時間ぐらいで「証明書をとることができました」との返事が返ってきた。どういう方法で書類が取れたのか良くわからないが、まぁ、結果オーライである。

さて、以前、中国のとある大学に勤務している日本人教員の方が「雨课堂」というティーチングサポートソフトを紹介されていた。このソフト、非常に面白くて、オンライン講義を行う機能以外にも、教室での講義を面白くするための様々な昨日が備わっている。

例えば、ちょっとした選択問題を出して、早く答えた学生に教員がポケットマネーで賞金を出すといったことができる。この機能、紹介されていた方の講義で使ったら非常に盛り上がったそうだ。このソフトを知ったのはもう半年以上前の話なのだけれど、うちの大学の講義室のパソコンにはソフトがインストールされておらず、その存在を既に半ば忘れていた。

ところが、先週の講義のときに講義室のパソコンの調子が悪くていろいろといじくり回しているときに、なんと上述のソフトがインストールされていることを見つけたのだ。これは早速、次回の講義で使ってみようと思い、今日は操作手順を確認していた。あまり親切なマニュアルはないのだけれど、なんとなく適当にイジっているうちにおおよその操作方法は理解できた。次回の講義でテストするが楽しみである。

「雨课堂」(RainClassroom)のトップページ

中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年10月22日土曜日

【日記】突然増加したオンライン受講希望の学生、徐々にもとに戻りつつあるネット規制

2022年10月21日(金) 

今日は担当科目の講義日だったのだけれども、講義前に数人の学生から突然「オンライン受講」の希望が入った。うちの大学では全ての講義室に、オンライン会議システムを使って講義をストリーミング中継するシステムが整っているので、オンライン受講の希望が入った場合は速やかに対応することができる。

学生に事情を聞いてみたところ、週末に近隣の町にでかけた後、行政当局の指導で三日間の自宅隔離を命じられたとのこと。地元ニュースサイトを見てみたところ、広州方面で再びリスク地区が増加しているようだ。

こんな感じで中国は相変わらずの防疫規制ぶりだが、しかし、その一方で最近、日本への飛行機の直行便が少しづつ復活しつつあるという話も聞く。もっとも私は「超」がつくほどの「出不精」なので、正直なところコロナ規制下でもそれほどストレスは感じていない。

むしろ、完全にコロナ前の状態に戻ってしまうと「面倒な出張」が増えてしまうので、ある程度の規制を続けてほしいと思っているくらいだ。まぁ、しかし、中国政府が最終的にコロナ問題をどのようにランディングさせるつもりなのかについては、政治的に興味のある問題ではある。

夕方、利用しているVPN会社から「党大会に向けて強化されていたネット規制が落ち着いてきた」という連絡が入った。ネット規制にせよ、コロナ規制にせよ、あまり極端なことをすると国の経済発展に悪影響を及ぼすだろう。これからスターリンクのような国境をまたぐネットプロバイダーがいろいろ出てきそうだが、中国は、将来的にネット規制をどうするつもりなのだろうか。

今学期は、昨年の秋学期と同じ科目を教えているのだけれども、二度目ということでかなり教え方がこなれてきていて、講義に詰め込む情報量が昨年の1.5倍ほどになっている。うちの大学院に入学してくる学生は宇宙論系の分野を志望する人が多いのだけれど、昨年は時間の都合で宇宙論関係の話は何も出来なかった。今年は少し観測的宇宙論に関わる話なども入れることが出来ているので、まぁ、我ながら少し進歩したような気がしている。

2022年10月20日木曜日

【日記】終戦直後の卒業生のインタビュー、望遠鏡時間の購入交渉開始

2022年10月19日(水) 

朝、WeChatの職域グループチャットを開けたら、終戦直後の卒業生が天文学科に最近多額の寄付をしてくれたとのことで、そのOBのインタビュー動画が回覧されてきた。ちょっと見てみたけれど、やはり話は、このOBが青春時代を過ごした戦中から戦後の話が中心となる。そうなると、どうしても話が「日本から被った被害」に及ぶのは必然である。そのOBが話している側で、若い学生が熱心に話を聞いている様子も映っていた。まぁ、なんというか、「侵略戦争なんてするもんじゃない」っていうのが率直な感想である。

ところで、私は某人材計画を通して現職場に雇用されている。この某人材計画で採用された人には赴任時にかなりまとまった金額の研究立ち上げ資金が提供される。実験系の研究者だったりするとあっというまに使い切る金額のようだけれど、私のようにパソコン一台あれば研究できるタイプの研究者にとってはかなり持て余す金額だ。

当初、使い切るのは不可能だと思っていたのだけれど、いろいろと周囲の人の意見を聞いていると、外国の望遠鏡の観測時間を購入するという人が少なからずいて私もこの話に乗ることにした。外国の望遠鏡時間は、日本円換算で数千万円レベルではとても売ってもらえず、数億円程度のお金が必要となる。これは単独の研究者では無理だが、中国の今の予算状況から言うと、同じ望遠鏡を使いたい研究者を数人から10人程度集めれば十分に可能なレベルである。

中国の研究者の中には、欧米の望遠鏡時間を購入するために研究者グループを作って欧米の研究機関と交渉してくれる代表者みたいな人が何人かいる。私は同僚の紹介で、とあるリーダー役の人を紹介してもらい、まずは全予算の半分ほどを使って昨年望遠鏡時間を購入した。

しかし、まだ、予算が半分ほど残っているので、どうしたものかと思っていたのだけれど、今日、再び西欧のとある望遠鏡の観測時間が買えるかもしれないという話が舞い込んできた。前回の経験から言って、外国の望遠鏡時間を買う作業はかなり複雑だ。交渉を始めてから契約書にサインするまで半年から一年は見ておかないといけない。とりあえず、予算の有効期限もあるので、すぐに作業を開始することにした。個人レベルだと「お買い物」は楽しいものかもしれないが、研究費を使い切るのは結構骨が折れる作業だ。


中国語学習

単語と例文の暗記(15分程度)

2022年10月19日水曜日

【日記】無くなった中間試験習慣、電子決済アプリの本人認証再び

2022年10月18日(火) 

これまでうちの大学では、各学期の10週目が「中間試験週間」に指定されており、その週は講義がお休みになって、集中的に中間試験を行う段取りとなっていた。今学期も同じだと思っていたが、念のため教務に中間試験期間を再確認したところ、驚いたことに「今学期は中間試験週間は特に設けない」との返事が返ってきた。

中間試験を行う場合は、通常の講義時間を利用してやれということらしい。つまり、中間試験を課さない講義科目は試験の代わりに講義を行わなくてはいけないらしい。この状況を知らないで第10週に突入したら、講義をすっ飛ばして「教学事故」を起こしてボーナスが減額されるところだった。

過去にも書いたことがあるかもしれないが、うちの大学は(おそらく中国のほかの大学も似たような感じだと思われる)講義の管理規定が非常に厳しい。5分以上の遅刻、5分以上早い終了は「教学事故」扱いとなり、年末のボーナスが減額となる。そんな分けなので、遅くとも、講義開始の15分くらい前になると各教室にすでに教員がスタンバイしている。この時間管理の厳しさは日本の大学ではちょっと考えられないだろう。

先日の日記に、電子決済アプリで本人確認のための情報提出を求められた件にふれたが、あれから、さほど日数が経過していないのにもかかわらず、今朝再び同じ情報の提出を求められた。アプリの指示通りに情報を記入していったところ、前回よりも記入する項目数が少なく、パスポート番号に関しては記入する必要がなかった。

そういえば、赴任直後に電子決済アプリを使い始めたときにも、あまり日数を置かずに複数回、本人認証手続きを要求された記憶がある。もしかすると、本当に書き込んだ住所地近辺に留まっているかどうかを確認している、みたいなことはあり得るのかもしれない。


中国語学習

単語と例文の暗記(15分程度)

2022年10月18日火曜日

【日記】歯医者、講義準備、そして道徳教育の宣誓書

2022年10月17日(月) 

過去の日記にも書いている通り、今年の5月から「歯の矯正治療」を始めた。初期の頃の精密検査やら抜歯やら装置の装着やらのセットアップの時期が終了した後は、だいたい月一のペースで通院し、矯正装置の調整を行っている。先週矯正装置の調整をやったばかりなので、本来ならば次の調整日は来月の筈なのだけど、装置の一部が歯から脱落してしまい今日は緊急で歯医者に行ってきた。

先週、定例の調整に行ったときには、大型連休明けでクリニックがかなり混雑していた。完全予約制の歯科クリニックなので、通常は自分以外の他の患者を待合室で見かけることは少ないのだけれど、先週は同じ時間帯に3人も患者が待合室で待っていた。歯科医も、次から次に診療台を移動しており、見た目から知て忙しそうだった。今日はもう完全に元に戻っており、早めにクリニックに着いたら、すぐに診療室に通してくれて、時間よりも早めに治療を開始してくれた。

歯医者に行った後は自宅に戻ってひたすら講義の準備を進めた。秋学期の最後は毎年恒例の政府系グラント申請の準備で忙しくなるので、とにかく講義準備はさっそと終わらせて少しでも学期の後半に向けてゆとりを作っておきたい。

今年の講義で何を教えるかは基本的には既に決めているのだけど、講義の準備をしていると、あれも入れておけばよかった、これも話したかった、みたいなアイデアがいろいろと浮かんできて、関連した本を読み始めたりするともう無限に時間を使ってしまう。ティーチングというのは時間をかけはじめると、いくら時間があっても足りなくなるものだ。

夕方、職場から連絡があり、なにやら「道徳教育関連」の書類にサインする必要があるとのこと。どうやら、最近全国的に行われている「道徳関連」の書類で、「道徳関連の講義を聞いて、試験を受けて合格しました」といった感じの宣誓書にサインする必要があるそうだ。そういえば、少し前に「出来の悪学生は無視してよい、yes or no」みたいな問題をたくさん解く試験らしきものをオンラインで受けさせられたが、あれのことだろう。

中国語学習

単語と例文の暗記(15分程度)

2022年10月17日月曜日

【日記】「生まれつきの愛国世代」に関する雑感

2022年10月16日(日)

さて、今日から例の「党大会」が始まった。外交面等から今回の党大会がどのような意味があるのかといったことについては、西側メディアが繰り返し報じているので、自分から見ようと思わなくてもある程度の知識は入ってくるのだけれど、私個人として興味があるのは国家間の問題よりも「生活への影響」である。とりあえず、習近平の演説をざっと聞く限り、大局的にはそれほど大きな方向転換はなさそうである。

しかし、今の中国は、若者の中にあからさまな「愛国心」を示す人が多いのが特徴的だなと思う。私と同世代くらいの中国人だと、二人っきりで話をしているときは「党批判」的な話をする人も決して珍しくはない。おそらく、貧困な時代の中国を知っている世代だからだろう。

今の大学生や大学院生は、物心ついたときから既に中国はそこそこ裕福で、さらに彼らが成長するとともに増々裕福な国になっていっている。学生さんたちが「党にどこまでもついていきます」みたいな文言をSNSに流している背景には、一つには「とりあえず政治的に正しいことを言っておく」みたいな空気もあるのかもしれないが、もう一つの側面としては純粋に自分の出身国に自信を持っているということがあるのだろう。

ただ、若い時代に持つ母国に対する無条件の自信というのは本当に危ういものだと思う。私が小中学生だった1980年代の日本で、30ー40年後に日本がここまで衰退することを予想していた人が話してどれくらいいたであろうか。むしろ、今の中国の若者と同様に「日本みたいな平和で裕福な国に生まれて良かった」と思っている若い人が多かったんじゃなかろうか。

ロシアにいたときも、60才よりも上の世代、つまりソ連時代に青春を迎えていた世代と話をしたときに同様の雰囲気を感じた。彼らもまた、ソ連時代は良い時代で(崩壊前の衰退期を除く)、青春時代の楽しい思い出とともにソ連時代を懐かしむ話をいろいろとしてくれた。そして、その後に続くのは、ウクライナ関連の微妙な話だったり、ときには日本の領土問題の話しが出て気まずくなったりもしたものだ。

私は、なんとなくの素人考えではあるが、結局のところ、このような「生まれつきの愛国世代」が政権の中心となると国は衰退するのではないかと思っている。今のロシアはまさにそのような状況になっているといえるだろう。日本もそうだろう。戦争をしらず、戦後の高度成長期で良い思いをした世代が今の政治の中心を担っているである。彼らは愛国を叫び、そして国を衰退させているように見える。今の中国の若者が政権を担うのは、これから30-40年先くらいだろうか。そのころ、今の中国はどうなっているだろうか。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、ジャズコードI

2022年10月16日日曜日

【日記】7連勤開けの土曜日に急に舞い込んだ仕事

2022年10月15日(土) 

7連勤後の土曜日がようやくやってきた、と思ったのも束の間、土曜日の朝起きて、WeChatを確認したら職域のグループチャットに何やら不穏な着信が入っていた。何かと思って確認したところ、とあるグラントプロポーザルの執筆を一部分担して欲しいという依頼が舞い込んでいたのだった。

学科の教員全員を共同研究者として、広東省が公募している大型のグラントに応募しようという話が進んでいることは少し前に聞いていた。しかし、計画のコアになるテーマを専門とする教員が中心となってプロポーザルの準備を進めているとのことだったので、もう私には本文執筆の分担は回ってこないのだろうと想像していた。ところが、〆切間際になって、やはり共同研究者全員の専門で何か少しづつインプットがあった方が良いということになったらしい。

〆切は月曜日とのこと。しかし、学期中は他にも多くの〆切を抱えながら日々仕事しているので、この仕事を月曜日まで先送りにする訳にはいかない。仕方なく、金曜日の晩酌の酔いがまだ微妙に残っている体に鞭を打って、適当に思いつくことを英語で殴り書いて提出した。後は、中国語に翻訳する段階で中国人同僚たちがなんとかしてくれるだろう。

もう長いこと研究者をやっているので、研究テーマを適当に何か書けと言われたら、A4一枚くらいの文章はすぐにでっち上げることができる。しかし、勉強せずに頭の中にある知識だけを使って研究テーマをでっち上げると、当然ながら内容は浅くなる。まぁ、私が書いた部分だけでは計画としては話にならないが、30人くらいで少しづつアイデアを寄せ集めるような形で作る研究計画なので、私のアイデアも、その一部としては一応の役目は果たすであろう。

2022年10月15日土曜日

【日記】振替平日後の7連勤、講義準備に夢中になる日々

2022年10月14日(金) 

国慶節の後の土日が「振替平日」となったので、今週は今日まで7連勤することとなった。その結果、いつもの週よりも一回多く講義したので、今週はかなり忙しかった。今学期は通常でも週二回の講義が入っているので、一回増えると三回講義することになる。

三回分の講義を準備するためにはそれ相応の時間が必要で、私の場合は週三回(6校時)の講義は、研究グループのミーティングや、学生とのセミナーや打ち合わせが間に入ることを考えると、ほぼ限界の仕事量に近い。まぁ、瞬間的なことなのでエイヤッと乗り切るしかないのだが。

講義がある時期は確かに忙しいのだけれど、私は講義することや講義準備のために勉強することは嫌いではない。むしろ、やっていると面白くなってきていくらでも時間を投入してしまうので、研究の方が疎かになるという問題が発生するくらいである。

今日は次の講義で扱う「様々な天体までの距離決定方法」を勉強し直しながらまとめていたのだけれど、天体までの距離決定方法という分野は、天文学の中でも特に先人の知恵がぎっしりと詰まっている分野で、勉強しているととても面白い。

1800年代後半に、近傍の星までの年周視差が初めて計測されたのだけれど、ほぼ同時期に3人の天文学者が年周視差の計測に成功している。いろいろと資料を調べていると、この3人の研究者の先陣争いは相当苛烈だったようだ。1800年代後半の天文学者が当時使えた装置というと、小口径の望遠鏡と写真乾板ぐらいなのだが、これだけの道具で、どの星が近いか全くわからない状況で良く年周視差の計測に成功できたものだと思う。

彼らの戦略を見ていると、現在の天文学者の視点から見てもいろいろと学ぶものがある。また一方で、近代になってから考案された遠距離天体の距離測定にもいろいろな知恵が詰まっており、興味が尽きない。来週の講義は面白くなりそうだ。

2022年10月14日金曜日

【日記】エスカレートする◯大会の影響

2022年10月13日(木) 

来週月曜日から例の「党大会」が始まるわけだけど、生活圏の中にさらに変化が見られるようになってきた。ネット規制とコロナ規制が普段より厳しくなっていることは先日の日記に書いたが、コロナ規制についてはさらに厳しくなり、明日から職場に入るためには24時間以内のPCR検査の陰性証明が必要となるそうだ。

こうなると、もう自動的に毎日検査を受けないといけない。ネット規制は相変わらずで、通常なら安定していることで有名な某VPNサービスが、最近の一週間ほど非常に不安定な状態となっている。また、明日は職場の守衛室が「緊急事態」に備えての訓練を行うとのことで通知が来ていた。

ネット規制や守衛室の訓練はなんとなく党大会との関係性が想像できなくもないが、コロナ規制については、党大会が近づくとなぜ厳しくなるのか、正直なところ関連性がよく理解できていない。「党に忖度している」という話をしばしば聞くのだけれど、党大会が近づくと何か地方政府に特別な査察でも入るのだろうか。まぁ、それは良いとして、ネット規制とコロナ規制は早く元の状態に戻っていただきたいものである。

今日は講義の日なのでここまで。これから講義の復習を軽くやって、出勤する。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

2022年10月13日木曜日

【日記】決済アプリの「本人認証問題」その後

2022年10月12日(水) 

さて、昨日の「本人確認の書類提出」の件について、続きを記しておこうと思う。パスポート更新後、銀行に登録しているパスポート番号をまだ更新できていないことが問題を複雑にしていることは昨日書いた。とりあえず、新パスポート番号を決済アプリに書き込むと銀行口座と連結できないことは100%確実である。

そこで、本人証明書類として古いパスポートの番号と写真をダメ元で提出してみた。次の日の朝、状況を確認されたところ、何やら決済サービスから通知が届いていた。過去の経験から、無事受理されていれば返事は来ないはずなので、この時点で既に嫌な予感しかしない。

メッセージを開けて、注意深く中国語を眺めてみたところ、やはり「不受理」であると書かれている。しかし、理由は明確には特定はされておらず、さまざまな可能性が列挙されている。なので、パスポートが原因で不受理なのか、それ以外が原因なのか特定ができない。

ただ、提出した古いパスポートの写真を改めて見直してみると、自分の指が写っており、なおかつ画像が若干斜めになっている。そういえば、可能性のある不受理となる理由の中の一つに「証明書類の写真の品質が低い」というのがある。

そこで、再度証明書類をオンラインで提出できないものかと決済アプリを操作してみたところ、どうやら、もう一度提出できるらしいことが分かった。ただし、2回目はルールがより厳しくなるようだ。まず最初に決済アプリと外部アプリとの連携を全て消去し、なおかつ決済システムにチャージされているお金を銀行口座に移して残金をゼロにしないといけない。そうしないと手続きが進められない仕様になっている。

また途中でトラブりそうな嫌な予感がしたが、仕方がないので言われたとおりに作業を行った。設定をもとに戻すの面倒だが仕方がない。決済システムを通販アプリ等から完全に切り離した後、今度は品質の良いパスポート写真を添えて個人情報を提出した。

さて、これでどうなったかというと、とりあえず提出してから24時間経過しても不受理の返事は届いていない。過去の経験から判断して、おそらく受け付けてもらえたようだ。まぁ、しかし、いずれにせよ、早く銀行に行って正式の手続きをしなくてはいけないのは確かである…。お金周りに関しては、中国ぐらしは外国人にとって本当に面倒なことが多い。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

2022年10月12日水曜日

【日記】電子決済システムにおける「本人認証」

2022年10月11日(火) 

相変わらず今週は「綱渡りのスケジュール」が続いており、なかなか朝にゆっくりと日記を書く時間が取れないのだけど、昨日の件だけ状況を記しておこうと思う。昨日の日記に書いた「11日の朝に発生したトラブル」というのは、電子決済システムにおける「本人認証」の問題である。

中国の電子決済システムを使っていると、1年に一回程度のペースで本人かどうかを認証するために情報入力を要求される。情報を入力しないと決済システムが使えなくなり、日常生活に多大な問題が発生するのだ。

通常であればパスポートの写真と自分の写真をアップロードし、後は住所やら職場名といった細かな個人情報を入力するだけのことで、面倒ではあるが大きな問題にはならない。ところが、現在の私の状況では、もう少し複雑な問題が存在する。

6月末にパスポートを更新し「その後の後始末」が大変だったことは、この日記でも7月から8月にかけてかなり細かに記したが、実は、この後始末がまだ完全には終了していないのだ。その残っている後始末の一つに「銀行での登録パスポート番号の更新」がある。

中国の銀行は、窓口手続きに時間がかかることが多い。また、うちの近所の銀行は外国人の手続きに慣れていないため、いつも話がこじれる。なので、半日以上時間を割いて手続きを手伝ってくれる中国人を見つけないといけない。しかし、現在の職場は学期中で皆忙しい。

私自身も忙しいのでなかなか時間がとれない。そんなこんなでパスポート番号の更新が遅れているのである。最終的な期限までは、まだ数ヶ月あるので、講義期間が終わったら行こうと考えていた。

ところが、ここにきて急に本人認証の要求が舞い込んできて焦ったのである。なぜならば、上記のような理由で、居住登録の際に届けているパスポート番号と、銀行に届けているパスポート番号が一致していないからだ。この状態で本人確認書類として新しいパスポート番号を入力すると、銀行と電子決済システムの間の接続が切れてしまう。しかし、古いパスポートだと別の問題が発生するかもしれない。

とりあえず結論だけ言うと、最終的には問題をギリギリ回避する方法が見つかったのだけど、今日はもう時間がないので、また明日続きを記すことにする。


中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

2022年10月11日火曜日

【日記】トラブル続き

2022年10月10日(月) 

基本的にこの日記は1日遅れで、前日のことを次の日の朝に書いているのだけれど、11日の朝になって、ちょっとややこしい問題が発生した。さらに、昨日からこまかなトラブルが続いていて、そちらの対処にも追われている関係で、今朝は日記を書く時間が取れない。詳細はまた落ち着いたら日記に書くつもり。

2022年10月10日月曜日

【日記】金曜日扱いの振替平日、近づく党大会とその影響

2022年10月9日(日) 

今日は日曜日だけれど「金曜日扱いの振替平日」に指定されているため出勤した。振替平日が金曜日扱いになると、講義も金曜日の時間割に従って行われる。私は現在金曜日の講義を担当しているので通常通り講義をした。当然ながら今週は「もう一度普通の金曜日」がやってくるので、一回余計に講義を準備しなくてはいけない。この不規則なスケジュール、事前に分かっていればまだ良いのだが、振替平日が何曜日扱いになるかは、かなり直前になってから発表されるのでかなり厄介である。

講義の後、修士課程の新入生が事務手続きのためにオフィスにやってきたので少し話をした。新入生はまだ私との英会話に慣れていないので、会うたびに必ず少し雑談することにしている。若さによる順応力というのはすごいもので、英語を使う頻度を上げれば必ず英会話能力は向上する。講義のクラスで多くの大学院生に接している経験から、指導教員が外国人か中国人かの違いは英語能力の向上という観点から、かなり決定的要因だという印象を持っている。

学部生の場合は、卒業研究の短い期間を除くと特定の指導教員につくことはないので、幼少期からの親の教育方針によって英語力に差がついているという印象がある。これは大学院の学生についても同じことが言える。

しかし、大学院生の場合、大学院入学後の環境がまた英語能力に変化をもたらすのだ。大学院では指導教員と密接にコミュニケーションをとりながら研究を行う。そのため、大学院で外国人教員につくか中国人教員につくかの違いは、幼少期からの家庭環境に匹敵するくらい、英会話運用能力に影響を及ぼすようなのだ。

実際、私についている学生は、1年たつとかなり英会話能力が向上する。去年入学してきた学生は、入学直後には、私と話すときに、英語が得意な同級生や他の中国人教員を「通訳」として連れてきたりしていたが、今では私と普通に研究上の議論をできるようになっている。今年の新入生の成長具合も非常に楽しみだ。

さて、今月16日から5年に一度の「党大会」が始まるのだけれど、生活の中にも徐々に影響が出始めている。顕著な影響は2つあって、防疫規制とネット規制だ。コロナ防疫の強化は非常に顕著で、感染者がゼロなのに予防的にロックダウンする街が出てきているようだ。うちの職場でも、ここ最近毎日のように「全数検査」が行われている。

ネット規制も、今回はかなり強力に行われているようだ。私は、これまで10種類弱のVPNサービスを実際に試し、最も安定している2つを選んで利用している。自身の経験からも、他の在中外国人の評判からもこの2つのサービスは極めて安定している、と思っていたのだけれど、そのうちの一つがついにここ一週間ほどでつながりにくくなっている。

ネットが中国外につながらなくなるかもしれないという状況は、中国に住んでいる外国人にとってはかなり不安なものである。まぁ、それは「お上」も承知しているはずで、だからこそ安定しているVPNサービスが少数生き残っているのだろうとは思う。だけれど、これをやり過ぎると外国人は中国を離れていっちゃうよ、きっと。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

2022年10月9日日曜日

【日記】西シベリアの夏と中国ベイエリアの冬

2022年10月8日(土) 

昨日まで30℃超えの気温が続いていたが、今朝は25℃まで下がり、ようやく秋っぽい気候となってきた。中国ベイエリアの夏は、雨が多い上に気温が高く不快度が高いのだが、冬は一転して、寒すぎず適度な気温で湿度が低く、とても快適である。

中国に来る前に住んでいたロシアのエカテリンブルクという街は「西シベリア」に位置しており、冬は過酷で夏はとても快適な気候だったが、湿度や気温を調べてみると、西シベリアの夏と中国ベイエリアの冬はちょうど同じような気候である。湿度が低めで20℃前後くらいの気温が続く。今年もようやく過酷な夏が終わり、快適な冬が近づいてきた。

さて、今日は土曜日だったのだけれども、連休明けの「振替平日」なので普通に出勤した。うちの職場だけが平日扱いなのではなく、公官庁を含め、国全体が平日として行動するので、外に出ると土曜日の気配はどこにもない。完全なる平日である。

連休中の外出を制限するための「トップダウンの政策が疑われる様々な〆切」が連休明けの振替平日に設定されているため、職場内のグループチャットに多くのメッセージが流れていた。みなさん、連休中に必死に書類を作っていたようである。

中国の大学で3年ほど働いてみて思うのは、学生も教職員も、基本的には、国からトップダウンで降ってきた政策に文句をあまり言わず、かなり従順に従うことだ。影でも文句を言うという人も中にはいるのかもしれないが、少なくとも表面的には見えてこない。なので、全体的に、イヤイヤ従っているというよりは、「国のやることに従っておけば、そう大きな間違いはないだろう」と信頼しているという雰囲気なのである。やはり、これが成長著しい現代中国の特徴なのであろう。


中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、エリーゼのために

2022年10月8日土曜日

【日記】混雑する無料PCR検査場、休日でも夜間でも学生の質問に対応する教員

2022年10月7日(金) 

連休最終日だけれど今日は出勤した。連休明けの土日は恒例の「振替平日」となるため、講義の準備を済ませておかないといけない。結局のところ7連休と言っても、本当に休めるのは2日程度である。まぁ、そうは言うものの、職を得られない苦悩に比べれば、目の前にやるべき仕事があるというのは幸せなことではある。

明日から学校や職場が再開ということで、それに備えて「陰性証明」を取得するために、今日は街の中の無料検査場がどこも混雑していた。自宅近くの無料検査場には検査待ちの列ができていたので、職場の検査場に行ったのだけれど、こちらも同じように長蛇の列が出来ていた。ただ、職場の検査場は検査官が非常に迅速に作業するので混雑している割には待ち時間は短い。コロナ禍勃発直後には検査場でかなり待たされたものだが、あの時から比べると検査官の「練度」の上がり方には著しいものがある。

今年の秋学期は、昨年の秋学期と同じ科目を担当しているのだけど、コマ数を数えてみると、どうやら昨年よりも5校時ほど多く講義しなくてはいけないようだ。なぜこのような差が出てくるかというと、振替平日のスケジュールが予め定まっていないからだ。上述の通り、連休前後の土日は平日になるのだけれど、振り返られた平日を「何曜日として扱うか」は各職場の判断に任されている。

この曜日の割り振りによって講義数が増えたり減ったりするのだ。今年は、カレンダーの並びが悪く、やたら多くの講義が土日に振り返られてしまい、結果として去年よりも5校時多く講義しなくてはいけない。年度初めに振替平日の割り振りを決めておいてくれれば予定が立てやすいのだけれど、いつも直前になってからスケジュールが決まるのが中国流である。

夕方、オフィスで仕事をしていたら、大学院生が研究の相談にやってきた。大学院生に限らず、中国の学生は、休日だろうが夜間だろうがお構いなしにいつでも教員に質問をする。欧米なんかでは「オフィスアワー」みたいなものを作って学生の質問時間に規制をかける教員が多いが、中国でそういうことをしている教員はあまりみかけない。

学生も、直接オフィスに来たり、SNSを使ったりと方法は様々だが、24時間いつでも質問を投げかけてくる。これに対応するのはかなり大変なのだけれど、多くの中国人教員は職務時間外であっても学生の質問に対応しているようだ。学習熱心な学生と、いつでも学生の質問に対応する教員がいる職場を見ていると、中国の国力には、まだ相当に伸びしろがあるだろうと思わざるをえない。


ある日の講義開始前のスクリーン

2022年10月7日金曜日

【日記】機能不全なロシア社会とリンクするウクライナ情勢

2022年10月6日(木) 

ロシアがウクライナに侵攻してから8ヶ月ほどになる。戦時の報道というものは信用できないとは言うものの、各国の報道を見渡してみると、ロシアが劣勢に立たされていることはほぼ間違いなさそうだ。最近では、劣勢を挽回するために大量破壊兵器をロシアが使用するのではないかという話もチラホラと取り沙汰されている。

私はロシアの地方都市(エカテリンブルク)に5年間住んでいたのだけれど、ロシアという国の印象を一言で言うと「社会システムがガタガタの国」という感じになる。実に多岐にわたる場面において、社会システムが正常に機能しないことによるトラブルに遭遇した。

トラブルに遭遇する場面は実に多様で、ほぼ生活のすべての局面を覆い尽くすと言っても過言ではない。日常的に利用する商店から、職場、病院、役所、銀行、ありとあらゆるところで問題が発生するのだ。

そういうときに、問題を解決する方法の一つが「上からの鶴の一声」である。システムが機能しないということは、問題を現場レベルで解決できないということでもある。そうなると「上の方」からの「指示」が必要となる。

例えば、私は職員寮に住んでいたのだが、赴任時に注文した備品がいつまでたっても届かない。壊れた玄関の鍵もいつまでたっても修理してもらえない。そこで、あるとき別件で副学長に会ったときに(この別件もまたトラブルであるが)、寮でのトラブルについて相談したところ、ようやく問題が解決する方向に動き始めた。

他に「もっとすごいトップダウン」を経験したことがある。赴任してから3-4年目のことだっただろうか、給料がいつまでたっても振り込まれず、いったいどうなるのかと、なんども職場に問い合わせていた。この件がどうやって解決されたかというと、驚いたことに「国から直接」私個人の銀行口座にお金が振り込まれたのだ。

送金元の名前が「連邦政府」だったので、当初、何かの犯罪に巻き込まれたのではないかとすら思ったのだが、銀行の窓口で状況を確認してみたところ、末端の公務員の支払い問題を解決するために連邦政府が直接お金を振り込むことはロシアではときどきあるとのことだった。つまり、国が連邦大学の現金出納係を信用していないという訳だ。

このように社会システムに問題を抱える国ではあるが、「軍だけは特別」という意識をなんとなく私は持っていた。こう考える理由の一つには「ステレオタイプ」があるだろうと思う。ロシア軍は、ソビエト時代の強大な軍隊の流れを組んでいるわけで、どんなに社会システムが杜撰であったとしても、軍だけは機能するだろうと、私みたいな素人が考えるのは、それほど不自然なことではないだろう。

また、ロシアに住んでみると、軍にだけはお金をかけていることが日常経験としてよく分かる。ロシアの軍関係の施設は、街の中に散在しており、日常的に目にすることになる。そのような街の中にある軍の施設は、他の公的施設と比べて外観が綺麗だ。また、軍学校への進学を希望する成績優秀な若者も多い。こういう状況なので、なんだかんだ言っても「軍は強いだろう」という想像は自然としていた。

しかし、最近の報道は「ロシア軍も、やはりロシアなのだ」という当たり前の事実を世に知らしめているように思う。社会の機能不全をそのまま戦地に持っていっている、そういう感じだ。ロシア社会の中では、最後は「トップダウン」で問題を解決することが常となっている訳だが、これは戦地だとどうなるのか。

ロシアの中の問題は、「トップダウンのレベル」を連邦政府まで上げていけば解決することも多いだろう。しかし、トップダウン戦略は、「トップが持つ圧倒的な権力」が前提となっている。ロシア以外の国と相対している戦地では、「トップが持つ圧倒的な権力」とは軍事力ということになるのだろうけれども、軍隊が機能不全を起こしていたのでは、もはやこの前提はなりたたない。さて、この先、いったいどのような展開がまっているのだろうか…

中国語学習

単語と例文の暗記(15分程度)

2022年10月6日木曜日

【日記】やる気にスイッチが入らない連休明け、驚愕の超高精度時間計測技術

2022年10月5日(水) 

連休5日目だがそろそろ仕事を再開しないと連休明けの講義に準備が間に合わなさそうなので今日は休日出勤した。コロナ前は、長期連休に職場に行くとほとんど誰も人がいなかったものだけれど、コロナ禍勃発以降は、大学に居残る院生が一定数いるので休暇中の職場もそこそこ賑やかである。教員の方は流石に休んでいる人が多いが、それでも一部の教員は連休中もオフィスやら実験室にこもって仕事しているようだ。

四日間、フルにボーっとしていたので、なかなかやる気にスイッチが入らなかった。濃いお茶をすすり、しばらくSNSを眺め、休み前にどこまで仕事を進めていたかを徐々に思い出し、オフィスに来てから2時間後にようやく仕事に着手した。一度始めれば集中力が一気に高まるので、あとは一気呵成に作業を進めることができる。3時間ほど作業して一応今日の目標ラインまで作業を終えることが出来た。

今日講義スライドを準備していた単元は「天文学で使用する時間システム」に関するもので、その中で「1秒の定義」について触れる予定だ。国際単位系における「1秒」は、現在はセシウム原子を使った原子時計に基づいて定義されている。より具体的に言うと、セシウム133原子の基底状態にある超微細構造線の周波数が基準となっている。

このあたりの話は、天文学的な観点からもいろいろと話を派生させることができるので、天文学入門講義で扱うのにはとても良い教材だと思う。セシウム133の超微細構造線から派生して、天文観測で扱う超微細構造線の話をしてもよいし、原子時計の話から超長基線干渉計観測について話すこともできる。とにかく「1秒の定義の話」は天文学の教材としてなかなか便利なのだ。

今日のノルマを達成した後は、いろいろとスライドに書いたことの発展事項や裏付けをとるための調べごとをして過ごした。一つ面白かったのは「現在の最先端の原子時計はどの程度の精度を達成しているのか?」という疑問について調べた結果だ。この問題はなかなかに興味深くて、現在は「光格子時計」という技術を使って10のマイナス18乗秒という精度を達成しているようだ。

上述のセシウム133の超微細構造線を使った原子時計の精度は10のマイナス18乗秒程度と言われているので、それと比べて実に1000倍もの精度を達成しているわけだ。光格子時計もストロンチウム原子を用いた原子時計の一種なのだが、私のざっぱな理解では、光格子時計の中では、100万個程度の原子時計を一度に使って平均をとるようなことが行われている。平均をとることによって計測精度が上がるというわけだ。精度の凄さもさることながら、アイデアがとても面白い。この技術もきっと近い将来ノーベル賞をとることだろう。


光格子時計の概念
(上記リンク先より引用)

中国語学習

単語と例文の暗記(5分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、ジャズコードI

2022年10月5日水曜日

【日記】そろそろ始まる卒論シーズン、ノーベル賞受賞者グループ出身の同僚

2022年10月4日(火) 

連休四日目。当初は2日ほど休んだら仕事を再開する予定だったけれど、やる気が行方不明になっており、今日も無為無策な一日を過ごした。しかし、経験的に、ダラダラしてしまう時は休みが必要なときでもあることは良く分かっているので、そういうときは体の欲するままにダラダラすることにしている。学期後半の講義の準備をそろそろ始めなくてはいけないので、この連休中、フルにダラダラできるのも今日あたりが最後となるだろう。

某キュレーションメディアを眺めていたら、「AI Programmer」というWebサービスを紹介する記事が出ていた。どんなものかと実際に試してみたところ、コーディングして欲しい内容を日本語で指示すると、それを実現するコードが返ってくる。もちろん、そんなに複雑なコードは作ってくれないのだが、ちょっとど忘れした関数を調べる目的なんかにはかなり使えそうだと思った。まぁ、言ってみれば、非常に高機能な検索機能が付いたプログラミング言語のチートシートといったところか。

私が学生の頃にプログラミング言語の学習をしようと思ったら、まずは「紙の本」を買うところから始めていたし、しばらくプログラミングから離れて関数名なんかを忘れると、再び紙の本をひっくり返しながら、時間をかけて調べ直しながら作業しなくてはならなかった。あの時代と比べると、本当にあらゆることが便利になってきている。

数日ぶりに職場のメールを確認したところ、学部生の卒論テーマを考えるようにとの指示が教務から入っていた。昨年は卒論を学術論文として出版したいという意欲のある学生がいたので、それに合わせて高度なテーマを設定したが、今年はそういう学生がいないので、比較的短期間にできる簡単なテーマを設定する必要がある。さて、今年は何をやってもらおうか。

今日は、今年のノーベル物理学賞の受賞者発表の日だった。今年は量子情報分野の基礎研究が受賞対象となり、パリ・サクレー大学のアラン・アスペ教授、クラウザー研究所のジョン・クラウザー博士、そしてウィーン大学のアントン・ツァイリンガー教授の3人が受賞された。

WeChatモーメンツに流れてきたメッセージによると、うちの職場のフランス人同僚はアラン・アスペ教授のグループ出身だそうだ。うちの職場が採るべきところからきっちり人を採っていることを再認識した。件の同僚の話では、アスペ教授は実験が素晴らしいだけでなく、とても良い講義をする人らしい。そして、師匠の影響なのか、アスペ教授の弟子にも良い講義をする人が多いとのことだ。まぁ、そういうティーチングもしっかりやる人だからこそ影響力が大きくなるのだろう。ノーベルレクチャーが楽しみである。

今年のノーベル物理学賞受賞者

2022年10月4日火曜日

【日記】益川さんの「チャーミングさ」、防疫規制で変化する商店街の様子

2022年10月3日(月) 

連休が始まる前は「連休中に論文の執筆を進めよう」などと殊勝なことを少し考えていたが、こういう考えが実現したことは未だかつて一度もない。休みの日に研究が進むこともあるのだけれど、そいういう場合の研究は予め「TODOリスト」に入っているものではなく、休日のゆとりのある時間の中で、ふと思いついて始めた勉強や計算やらがきっかけだったりすることが多い。しかし、あまりにも忙しい期間が続くと、数日程度の連休では疲労を回復させることだけで精一杯となり、「ゆとりから始まる研究」まで行き着かないことが多い。

数日前に読んだ益川敏英さんの自伝で益川さんの「チャーミングさ」にハマってしまい、休みを利用してもう一冊似たようなエッセイを読んだ。今回読んだ本は「ノーベル物理学者が教える「自分力」の磨き方 Kindle版、益川 敏英 (著)」だ。


益川さんのキャラが良いなと思う理由は、言動から人生を楽しんでいるでいたであろうことが良く伝わってくるところだ。本書によると、益川さんは一時期クラシック音楽にハマって、自宅のオーディをが故障するまでの10年間ほどの間、物理学の論文をほとんど書かなかったらしい。

今の時代では考えられない話だが、しかし、そういう行動が許されるゆとりのある時代の空気と、物理学以外のことでも、興味のあることは何でもとことん楽しんでしまう益川さんのキャラが上手くマッチして、大きなイノベーションに結びついたのではないかという気がする。2つほど、目に止まった文章を引用しておこうと思う。
大切なのは、「憧れ」です。人生は一度きりですから、「憧れ」を追求して悪いことなどありません。「自分が何をしたいか」「何に興味があるのか」を曖昧にしたまま生きていくことは、とてももったいないことだと思います。

 今いちど、子どもの頃に抱いた「憧れ」を思い出してください。そこから才能を見極め、自分力を高めて創造性を発揮していってほしいのです。

夕方、近所の商店街まで、散歩がてら妻と歩いてでかけ、途中にある無料PCR検査上で検査を済ませてきた。国慶節ということで商店街には国旗が飾り付けられてはいたが、できるだけ外出しないようにとの勧告が地元行政当局から出ているため、人出はとても少なかった。

私は普段、滅多に実店舗で買い物しないので、商店街に行くのはおそらく数ヶ月ぶりだったと思う。久々に行くと閉店している飲食店がさらに増えていた。こう頻繁にコロナ感染による外出規制をかけられたのでは、飲食店が耐えられないのは理解できる。非常に厳しい防疫規制を行っている中国だが、店舗経営者に対するサポートは限定的だと聞く。ただ、飲食店が潰れる一方で、飲食以外の店が多数オープンしていて、まだ根本的なところで「ビジネスの火」みたいなものは消えていないという感じはした。

防疫規制の影響で人が少ない近所の商店街

2022年10月3日月曜日

【日記】在中日本人研究者に関する新聞記事、久々に眺めたロシアのローカルニュースサイト

2022年10月2日(日) 

また日本の新聞に「在中日本人研究者」に関するインタビュー記事が掲載されたらしく、今朝はSNSに多くのリンクが流れてきた。日本のメディアが在中日本人研究者を扱う時は「日本人研究者が中国で働くことが日本の国益にならないから、なんとかしなくてはいけない」といった論調になることがほとんどである。私はこの論調に全く同意しないので、「在中」を理由にした日本メディアからの取材依頼には一切応じないことにしている。しかし、相も変わらず、同じような記事が何度も出てくるものだ。

どうせ、こういう記事を書くのであれば、在中の日本人研究者だけさくっとインタビューするのではなく(もうそういう記事は既にたくさん出ているし)、中国の人材計画で招聘された様々な国籍の研究者をじっくりとインタビューして、さらに中国の大学の様子も現地に来てしっかりと時間をかけて取材して、中国の人材計画の全体像を浮き彫りにするような重厚な記事を書いてほしいものだ。

連休ということで時間があったので、久々にe1.ruの最近の記事をざっと眺めてみた。e1.ruというのは、ロシアのエカテリンブルクという都市の地元ニュースサイトだ。私がエカテリンブルクに住んでいた5年間の間、毎日眺めていたサイトである。

プーチンが部分動員を発表する以前に一度e1.ruを見たときには、戦争を意識させるような記事は少なめだったが、今日見てみたら様相が一変しており、「動員」に関連した記事が大量に掲載されていた。私はこのニュースサイトの「平常時のトーン」を知っているだけに今のロシアの混乱ぶりが非常に生々しく伝わってくる。

動員に関しては、対象外とされているはずの重篤な病気の人や高齢者、子供の多い家庭の男性等も無差別に招集されていることが記事から見て取れる。近隣の小さな村で「アル中患者以外、男性は全員招集された」といった記事も出ていた。他にも、男性社員の多くが招集されたため中小企業の経営が行き詰まっているといった記事や、持病持ちの人が徴兵された場合に薬は携行できるのか、何を持っていくと役に立つか、といった動員された人の心配事に関する記事も出ていた。

正直なところ、私はプーチン政権を支持しているロシア人に同情するつもりは全くない。私がロシアに住んでいるときにも、年配のロシア人に領土問題に関して絡まれたりもしたものだが、そういう連中については、これから衰退(そしておそらく崩壊)していくロシアの中で、じっくりと責任をとっていただきたい。ただ、反政権的なロシア人が多くいるのも事実で、そういう人たちが招集されて命の危険にさらされることは本当に不憫で仕方がない。まったく、不幸な状況になってしまったものだ。



中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年10月2日日曜日

【日記】移動が抑制されている連休の状況、出前の「北京ダック」が安くて旨い

2022年10月1日(土) 

国慶節の連休1日目。朝起きて、例によってWeChatを開け、最新の状況を確認したところ、なにやら管理会社から不穏なメッセージが舞い込んでいた。小区の出入り口が一箇所を除いて閉鎖されたらしい。「小区」というのは、中国独特の概念で説明が難しいが、「地域行政における最小単位」という説明がおそらく正解に近いだろう。

小区は塀で囲まれていることが多く、普段は幾つか塀に設置された門から自由に出入りできるが、コロナの感染者が見つかるなどすると、門が閉められて封鎖されてしまう。考えてみると、小区というシステムはコロナ前から中国に存在するわけで、中国という国は、常日頃から必要に応じて人々の移動を制限するための環境を整備していたということになる。

まぁ、それはさておき、マンション管理会社からの連絡によると、うちのマンションがある小区は一つの門を残して他の門を閉め、残った一つの門を通過する住民全員に対してPCR検査をおこなう意向だそうだ。さらに「急用がない限り外出するな」というお達しが回ってきた。

さらに、今度は職場からのメッセージが舞い込んできた。中国語を注意深く読んだところ、広東省の大型グラントに学科全員をメンバーとして応募するとかで「休み中にプロポーザルを分担して準備しましょう」という話らしい。原稿の〆切が連休最終日に設定されている。

平日ならグラント関連のメッセージが来ても何も不思議ではないが、連休の初日にこういう比較的大きな仕事を強制的に教員に割り振ってくるという状況には、どうも不自然なものを感じざるを得ない。SNSを見ていると、全国的に人の移動を抑制するような動きがあちこで見られる。広東省の大型グラントの急な公募も、もしかすると関係者を準備に専念させて移動させないことが真の目的なのかもしれない、などと勘ぐってしまう。

さて、とりあえず連休初日ということで、夕食はごちそうを誂えた。まぁ、ごちそうといっても、出前サービスの範囲内で美味しそうなものを選択しただけなのだけど、それでもやはりそこは中国のこと、近所にも美味しいものが豊富にある。

今夜選んだメニューは「北京ダック」と「お好み焼き」だった。どちらも、安くて旨い。特に北京ダックは、これだけ本格的なものを日本円にして僅か1200円程度(二人前)で食べられるのだから、嬉しくなってくる。お好み焼きも日本の店で通用するレベルの味で、しかも1枚800円程度と安い。アメリカやロシアに住んでいた時期を思い起こすと、今は食に関しては本当に天国のような環境である。

出前で誂えた北京ダック

ネギ、キュウリ、甜麺醤を添えて皮にくるんで食べる。
この皮がまた非常に旨い。

ピアノ練習

SimplyPiano、エリーゼのために

2022年9月30日金曜日

【日記】博士課程院生指導資格の専門分野変更、「Dual Degree Program」設置に関する意見交換

2022年9月30日(金) 

午前中に講義を行い、国慶節前の(時間が固定された)仕事は全て終了した。いつもは講義が終わったらすぐに次の講義の準備に取り掛かるのだけれど、明日から7連休ということで、講義の準備はちょっと置いておいて、溜まりに溜まった雑用を片付けるなどした。

事務から依頼されていたフォームやらアンケートやらを埋めながらWeChatを眺めていたら、また何やら事務からメッセージが入ってきた。私は物理学に関する「博导」(博士課程大学院生を指導する資格)を持っているのだけれど、うちの学科が最近「天文学一级学科博士点」になった関係で、物理学の博导以外に、天文学の博导を選択できるようになったらしい。それで、どちらかを選択してほしいという連絡だった。選択してほしいと唐突に言われても、ステータスを変更することで発生する変化が全く理解できていないのでちょっと待ってもらうことにした。

その後、WeChat上で行われた教員間の意見交換の様子を見ていると、やはり博导の指導分野を変更することで、さまざまな影響が出てくるらしい。一つには、天文学の博导につく学生は、物理学専攻の必修科目ではなく、天文学専攻の必修科目が適用される。これによって、講義履修の負担が減るらしい。これは、まぁ、メリットと言えそうだ。

うちの物理学専攻の必須科目はかなり多岐に渡っている上に、天文学分野では必ずしも必要のない科目も多く含まれている。「群論」なんかも必須科目の一つなのだけど、担当教員が厳しいらしく、天文系の学生には群論の履修は負担だと考える学生が少なくないようだ。まぁ、群論自体は勉強して損するとは思わないが、限られた年限の間に規定数の論文を出版しなくてはいけない大学院生にとって負担となることは理解できなくはない。

別の影響としては、「理論物理志望の学生」をとることができなくなるという問題があるようだ。これは何が問題かというと、まず、うちの大学院入学審査でトップクラスの成績をとるのはだいたい「理論物理志望の学生」ということだ。つまり、教員側からすると理論物理志望の学生に自分の研究グループに入ってきてほしいという願望がある。

今までは、理論物理志望として入学審査に合格した学生が天文学科の教員を指導教員として選ぶことが出来た。しかし、指導者資格が天文学に限定されてしまうと、理論物理志望の学生をリクルートできなくなってしまう。天文学科の教員の中には、理論よりの教員も多いため、この問題は深刻を考えている人がかなりいるようだ。これに関しては、今までと同じように理論物理の学生を天文で採用できるかどうか、大学当局との話し合いが行われるとのこと。まぁ、そんなこんなでまだハッキリしないことがあるので、私は当面様子を見る予定である。

夕方、再びWeChat上で、今度は外国の大学との「Dual Degree Program」設置に関する意見交換が始まった。Dual Degree Programというのは、要するに「博士号を2つの大学からもらえる」プログラムだ。詳細はこれから詰めていくことになるが、このプログラムで博士号をとる学生は、在学期間の半分を外国の大学で、もう半分をうちの大学で過ごし、博士論文を書いて両方の大学共同の審査委員会から審査を受け、合格すれば、両方の大学から博士号をもらえるということになる。

この種のプログラムは、既に北京の有名大学で始まっているそうだ。ただ、現状では「政治的なあれこれ」もあってプログラムの設立はそう簡単ではないだろう。しかし、実現すれば相当に優秀な学生がうちの大学院に集まるであろうことは想像に難くない。

【日記】行事に関する本音と建前、教員倫理教育試験

2022年9月29日(木) 

目下、国慶節前でなおかつ五年に一度の党大会が来月に控えているということで、職場ではいろいろと「愛国的」な行事予定が組まれている。赴任当初、この手の行事予定が入ると、わざわざ職場の党関係行事担当者に「外国人の参加は想定されているのか?」という質問をしていたのだけれど、何度か質問して分かったことは、彼らは公には「出席しなくても良い」とは言えないということだ。

一応ルールでは「教職員全員参加」ということになっており、外国人が参加しなくて良いというルールは設定されていない。なので、公式のチャンネルで担当者に出席するべきか質問した場合、「出席しなくて良い」という返事は絶対に返ってこないというわけだ。まぁ、それならばということで、かなり愛国的なテイストの強い行事に参加したりすると、「え、来たの!」みたいな反応が中国人同僚から返ってきたりすることも少なくない。

そんなわけで、「その類の行事」は、その内容によって出席するかどうかをその都度考えることにしている。今日は、まぁ、外国人視点から見ると「行き過ぎ」なイベントが組まれていたため、ちょうど都合よく重なったティーチング関係の仕事を理由に出席を断った。この別件の理由、おそらく中国人だと通らない類の理由なのだけど、特に文句を言われないところをみると、今回の判断も「正解」だったのだろう。

明日は大型連休前の最後の講義なので、ざっと予習と教材の見直しを行った。あまった時間を使って、さらに先の回の教材も準備をするつもりだったのだけれど、講義の後に一週間休みがあると思うと疲れがドッと溢れてきて、明日の準備を終えたところで手が止まってしまった。

仕方なしに、溜まっていた雑用に着手。数日前に「教員倫理教育試験」というものをオンラインで受験するように言われていたので、それをやっつけた。問題は2種類あって「党の方針は次の中から選べ。複数解答可」というやつで、これは選択肢に並んでいる答えは全て正解なので簡単である。

もうひとつは、「できの悪い学生は見捨ててしまうのが良い。Yes or No」みたいな、期待されている答えが明確に推測できる2択形式の問題だ。これが20問ほど並んでいる。ただ、内容が理解できれば簡単なのだが、問題が中国語なので外国人にはちょっと厄介だ。機械翻訳やら辞書やらを駆使してなんとか問題を「解読」し解答した。去年に引き続き今年も100点だったので問題ないだろうと思われる。

とりあえず、明日の講義が終われば、ティーチングで多忙を極めた9月も終わり。10月は少し、研究にも時間を割きたいところだ。

中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年9月29日木曜日

【日記】愛国系イベントに関する雑感、「僕はこうして科学者になった」を一読

2022年9月28日(水) 

国慶節前になると多くの会議やイベントが設定されるのは毎年のことだが、今年は五年に一度の党大会が控えているせいか、職場の行事予定の中にいろいろと「愛国系」のイベントが並んでいる。正直なところ、この手のイベントに関して、外国人スタッフとしては対応に苦慮する場面が少なくない。個々のイベントについて、あまり具体的なことは立場的に今は書くことができないが、いつか時期が来たときには、どこかで書くなり話すなりしてみたいとは思っている。

一般論として「その場に居れば良いだけ」のイベントであれば、私は特に拒否はせず適当に受け流すことにしている。しかし、なんらかの具体的な行動を要求される場合は、付き合いきれない場合がどうしても出てくる。こういうときには、当たり障りのない適当な理由を見つけて失礼することにしている。まぁ、こういうのはどこの国であっても、外国人として働いている限りは、程度の大小はあれ、経験することではある。あまり気にしてもしかたがない。

日本に入国する際に、ワクチンを三回接種済みであれば渡航前PCR検査と隔離が免除されるようにしばらく前に防疫規制が緩和されていたが、例によって中国製のワクチンは対象外だった。しかし、最近の報道によると、どうやら中国製のワクチンが規制緩和の対象となったようだ。これは在中邦人にとっては朗報だろう。少なくとも、日本に戻るときのハードルはかなり低くなる。問題は中国に戻ってくるときだ。こちらの規制は相変わらずで、集中隔離が終わる気配がない。

僕はこうして科学者になった 益川敏英自伝 (文春e-book) Kindle版、益川敏英 (著)」を一読。この本から伝わってくる益川さんは本当にチャーミングな人だ。生前に直接お目にかかれる機会がなかったのが本当に残念。益川さんの英語嫌いは有名だが、背景には以下のような事情があったようだ。
先生に当てられた私はマネー( money)を「も ーねい」と読んだ。するとクラス中に大爆笑が起きた。先生まで「も ーねいか。確かにお金はすぐになくなるよなあ」と笑う。その出来事があってから英語は性に合わないということで捨ててしまった。
英語嫌い、数学嫌い、理科嫌い等々、学校で習う科目が嫌いという話はしばしば聞くが、学校教員に責任がある場合も少なくないのではないかと思う。益川さんの英語嫌いは、その典型的なケースだろう。大学や大学院における学生指導でも、不要な先入観や苦手意識を学生に与えていないか、常に自分の態度を顧みながら指導に当たる必要があると、あらためて思った。


本書の随所に出てくる益川さんの「好奇心の幅広さ」には感心する。益川さんは本書で次のように述べている。
日本人はわりと専門を決めつけたがる。ほかの分野に手を出すことは本業を妨げると思いがちだ。だが、外から問題を眺めてみることは、本命の仕事や研究にもいい影響を与えるはずだ。
ある分野を深く真剣に学ぶ。これは大切なことだ。だが、性質のちがう別の分野に首を突っ込むのも同じぐらい大事だ。自分の幅が広がるからだ。
こういう考え方は、リチャード・ファインマンにも共通したものを感じる。益川さんやファインマンのような偉大な科学者でも、無から何かを突然生み出しているわけではない。人類が気づいてきた「知の体系」の上に乗って新しい発見をしているのだ。

では、大きな成果を出していく人が何が違うかというと、私の理解では、普通の人よりも興味の範囲が広いことだと思っている。興味の範囲が広いことによって、思考の材料が増える。それが大発見につながるのだと思う。今の成果主義の世の中では時間的にゆとりがなく、なかなか興味の範囲を自由に広げていくことは難しい。しかし、できる範囲で益川さんやファインマンの境地に近づきたいものだとは思う。


中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年9月28日水曜日

【日記】会議が連続する連休前の職場、真面目にセミナーに取り組む新人さんたち

2022年9月27日(火) 

今週の土曜日から中国は国慶節の大型連休に入る。うちの大学も来週はお休みである。しかし、長期休暇や大型連休の直前になると、やたらと会議やら締切が増えるのが中国の職場の常である。今週も、学科の教授会、学院(日本の学部に相当)の全職員会議等、出席義務のついた会議が予定されている。今学期は通常でもかなり危ない忙しさなのに、出席義務つきの会議が入り込むことで、さらに限界ギリギリの状態まで忙しくなってきている。

赴任当初は会議の内容が目新しいこともあり、割りと真面目に会議に参加して、話も聞いてきたのだけれど、全体会議というのは、基本的に「上意下達」の場であり、内容の多くがいつも共通していることが徐々に分かってきた。あらかじめそういうことを知っている中国人の同僚たちは、最初から会議に真面目に参加する意思はなく、ノートパソコンを持ち込んでせっせと内職に励んでいる人が多い。私もそろそろ内職用に軽量のノートパソコンを購入するべき時期なのかもしれない。

さて、今日は研究グループの新入院生さんたちと「初心者セミナー」を行う日だった。ことの経緯は以前の日記にも書いたが、うちの大学には天文学未経験の院生が割りと多く入ってくるため、年度初めには「初心者対応」が必要となるのだ。今年は、中国語で書かれた学部向けの天文学の教科書を予め予習してもらって、その内容を英語で発表するというゼミを行っている。

先週、初めて発表してもらったのだけど、若干準備不足の感が否めなかった。そこで、教科書を勉強した後、英語の説明の練習を十分行うように言っておいたのだけれど、中国の学生さんたちはまじめで、今週はしっかりと練習してきており、割りとスムーズに英語で説明できていた。

うちの大学院に入ってくるぐらいの人たちなので、基本的な能力はみな悪くないものを持っている。ただ、天文学について英語で説明しようとすると、今までに使ったことのない単語が大量に必要となってくるので、必要なボキャブラリーを補う必要はあるのだ。この問題を補うためには、中国語の教科書を英語で説明するという方法は割りと良い方法だと私は考えている。


中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年9月27日火曜日

【日記】活気のあった90年代の大教大学天文グループ、振替平日は木金相当

2022年9月26日(月) 

朝、メールを開けたら大阪教育大学名誉教授の横尾武夫先生の訃報が入っていた。横尾先生は私の直接の指導教官ではなかったが、私が四半世紀前に大阪教育大学の修士課程に属していたときに在籍されていた天文学グループの3人の教員のうちの一人で、さまざまな形でお世話になった。

訃報を見て、活気があった90年代後半の大教大天文グループの様子をいろいろと思い出した。あのときはまだ教育大の修士課程からでも研究者志望の人が出てくる時代だった。教育大学の大学院には基本的に修士課程までしか設置されていないので、博士課程に進学して研究者を目指すためには他大学の博士課程に進学する必要があるが、それでも大阪教育大学の私の前後の学年には博士号取得者がごろごろいる。

大阪教育大学だけではなく、他の教育大学の理科教育から他大学の大学院に進んで博士号を取得する人は1990年代にはかなり多くいた。当時の日本の大学は、今のような極端な選択と集中が進んでおらず、教育大学のような、本来は研究者を要請することが目的ではない大学からでも研究者を目指すことができた。こういう「ゆとり」が、実は科学技術立国日本をささえていたのではないかと思う。今となっては昔の話である。

さて、国慶節後の振替平日が「何曜日相当」になるか戦々恐々としていたのだが、うちの大学では振替平日の土曜日と日曜日が、それぞれ木曜日と金曜日相当になるそうだ。というわけで、私は今学期金曜日の講義を担当しているので、日曜日に講義することになってしまった。とりあえず、振替平日が「2日連続講義日」にならなかったのは不幸中の幸いである。

中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年9月26日月曜日

【日記】イージーゴーイングな同僚に助けられる日々、整備され続ける検査ステーション

2022年9月25日(日) 

今年の秋学期は、昨年の秋学期に担当したのと同じ科目を受け持っている。本来ならば2年目となる科目なので、かなり準備が楽なはずだが、よせばよいのに新たに単元を加えたり、教える順番を変更したり、カリキュラムをあちこち大改造しているので1年目と同じくらい準備に時間がかかっている。

どうも私はティーチングに関して「凝り症」過ぎるのかもしれない。こんなことをやっていては研究の時間が捻出できなってしまう。研究にもノルマがあることを考えると、ティーチングに時間を使いすぎるのはあまり良いこととは思えない。親しい中国人同僚に何気なく相談してみたところ、「講義の質が良くなるんだから別にいいじゃない」との返事が返ってきた。まぁ、中国人のこういう「イージーゴーイング」なところには大いに助けられている感じがする。

昨日は、どうにもこうにもやる気が出ず、自宅で仕事した時間が僅かに1時間程度だったので、今日は日曜ではあるけれども、遅れを挽回するために午前から夕方までびっちりと仕事をした。なんとかかんとか来週1回目分の教材の準備までは終えることが出来たが、2回目の講義についてはまだほとんど着手できていない。

しかし、あと一回乗り切れば、国慶節の連休で少しゆとりができる。私のキャリアは、長い時間スケールから短い時間スケールまで、あらゆる場面でフラクタル的に「いつもギリギリ」で凌いでいる感じがする。

夕方、月曜日からの出勤に備え、陰性証明を取得すためにPCR検査に行ってきた。近所の無料検査ステーションのテントが新しいものに取り替えられていた。今までテントの高さが低くすぎて頭をぶつけそうになっていたのだけど、高いテントに交換されて背の高い人も天井を気にしなくてよくなった。

検査ステーションの設備を毎日のように見ていると、細かなところが徐々にアップデートされていることに気がつく。ここ数ヶ月の間にも、検査官の入る冷房ボックスが設置されたり、受付官用の扇風機が設置されたりと新しい設備が次々に導入されている。こういう状況からは、現行の検査体制はまだかなり長い期間に渡って維持し続けようという政府の意思が感じられなくもない。

中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、ジャズコードI

2022年9月25日日曜日

【日記】第20回党大会が生活に及ぼす影響、在外研究者にとっても有用なJETROのホームページ

2022年9月24日(土) 

ここのところ感染状況が急に変化しているわけでもないのに一般市民のマスク着用率が上がったり、VPNが不安定になってりという微妙な変化が生活の中で見られる。この変化について、どうもSNS上に流れている噂を見ていると「中国共産党第20回党大会」と関連があると言っている人が多いようだ。

中国共産党の党大会は五年に一度開催される会議で、実質的な中国の憲法と言っても良い「党規約」の改定が行われる場だ。中国では、大きな政治イベントの前後には通信規制が強化され、VPNの接続が不安定になることが多い。Twitter上に流れている情報によると、私が利用しているVPN会社は、大手の中では、中国南部で唯一安定な接続を提供している会社のようで、どうりで私はVPNの不安定さに気づかなかった訳だ。

先日の日記にも書いたが、中国に住んでいる外国人にとってVPNは最早必須インフラの一つだと言っても過言ではない。安定したVPN接続が確保できなくなると、在中生活はかなり厳しいものになるだろう。

第20回党大会で注目される議題として、ネットで検索すると真っ先に上がってくるのが「習近平政権が3期目に入るための党規約改正」だ。これまで68才以上の党トップは交代しなくてはいけないとしていたルールを改定するという話だ。しかし、これはもう既に既定路線であり、改定されることは確実のようだ。

それ以外の議題で、在中外国人に直接関係しそうなものは「通信制限」に対する党の方針だろう。どうやら、報道を見ていると、現政権は中国の「中から外」への情報流出について制限を強化しようとする意思を持っているようだ。

通信制限に関する規約改定が行われるとして、在中外国人の生活に具体的にどのような影響がでてくるのか、その辺は気になるところである。おそらく、これまでの経緯から考えて、外国人人材が一気に中国から離れていくような大きな制度変更は行われることはないと予想はしているが、さてどうなるだろうか。

さて、外国に住んでいると、現地の詳しい情報を日本語で得ることは難しくなる。まぁ、これは考えてみれば当然の話で、現地の詳しい動向を知るためには現地語の学習・習得は必須である。しかし、そうは言っても日本語の情報源は欲しいものである。ロシアに住んでいた頃から私がしばしばお世話になっているのがJETRO(日本貿易振興機構)のホームページだ。

JETROは基本的には外国でビジネスを展開する日本人をサポートするための独立行政法人だが、ホームページで提供されている情報は、現地の法律関係の情報、生活関係、政治動向の情報なども含まれており、ビジネスマンに限らず在外研究者にとっても大変有用な情報源である。

JETROがホームページで提供している情報は、無料で見られる上に、報道機関が流す情報よりもはるかに詳しく、生活や仕事の場面で実際に参考になるものが多い。上述の中国共産党第20回党大会についても、詳細を解説したシリーズ記事の掲載が始まっている。



JETROのトップページ

2022年9月24日土曜日

【日記】講義の準備は3ステップ、微弱電流で睡眠導入?

2022年9月23日(金) 

私は、講義の準備を3段階に分けて考えている。1段階目は情報インプットだ。これはある科目を教えるとしたら、それに関する教科書や資料を可能な限り集めて全て通読する。料理でいうと材料の仕入れに相当する部分だ。2段階目は、通読したさまざまな資料の中から、自分の講義を受講する学生のレベルや講義の達成目的等に応じて内容を取捨選択し、講義で話すストーリーを自分なりに再構築する作業だ。この段階で、講義で使うスライドや、板書用のノートの「原案」を作る。料理でいうと下ごしらえに相当する作業だ。

最後の3段階目として直前の準備を行う。2段階目で作ったスライドやノートの原案を見直しながら、最終的に講義室で使える形にティーチング資料をまとめ上げる。料理で言うと、最終的な調理と盛り付けに相当する部分だ。2段階目までは、事前に済ませておくことができるが、3段階目は必ず講義の直前に行う必要がある。これをあまり早くやってしまうと、講義室でのパフォーマンスが下がってしまう。料理でいうと「温かい料理が覚めてしまう、もしくは冷たい料理が温まってしまう」みたいな状態になるのだ。

私はどうも講義準備が遅いようで、3段階目にかなり多くの時間を使ってしまう。それでも、最近は半日で一回分の講義の第3段階を済ませられるようになってきてはいる。しかし、同僚を見ていると、もっと手早く準備を済ませている人が多いようだ。まぁ、私の周りの同僚たちは、呆れるほど優秀な人ばかりなので、自分を比べることが間違っているといえば間違ってはいるのだけれど。

以前、日中に「発話量」が多いとその夜寝付きが悪くなるということを日記(もしくはTwitter)に書いた。現在は学期中なので、週2回の講義と週2回のセミナー、さらに学生指導が割り込んでくるので日中の発話量は相当なものである。したがって、例によって寝付きの悪い夜を多く迎えることになってしまっている。

そんなこんなで、通販サイトで何か良い睡眠サポートグッズがないものかと物色していたところ「微弱電流」なるもので睡眠をサポートすることを謳ったガジェットを発見した。割引料金で88元と値段も安かったので、あまり期待せずに試してみたところ、これがどうしてどうして、アップルウォッチの睡眠記録では確かに睡眠が深くなるのだ。

この手のグッズが睡眠を促進する原理をネットで探して読んでみたところ、微弱電流に副交感神経を優勢にさせる効果があるとのことだった。ただ情報源がメーカーのホームページなので、学問的に確立されたものなのかは定かではない。まぁ、とにかく数回試した時点では、アップルウォッチで得たデータ的にも体験的にも効果があるようなので、もう少し使ってみようと思っている。

通販サイトで見つけた睡眠サポートグッズ

2022年9月23日金曜日

【日記】新しいパターンの健康強行確認、学生セミナーは貴重な情報源

2022年9月22日(木) 

この9月は講義が立て込んでいるので、木曜日は集中的に講義準備を進める日にしている。しかし、少しでも余計な用事が割り込んでくると、たちまち準備が間に合わなくなりそうなギリギリの状態である。国慶節をすぎれば若干の余裕ができるのだが、それまであと講義3回。なんとか乗り切りたいところである。

昨日の研究グループ会議で学生さんたちがとても面白い論文を報告していたので、グループチャットに原論文を回覧してくれるように依頼した。講義のない期間には自分でも新刊論文をチェックするのだけれど、講義が始まると研究に関する新しい情報のインプットが研究グループのセミナーだけになってしまう。

研究グループのセミナーは大学院生の教育の場でもあるのだけど、それだけでなく貴重な情報収集の場でもある。1年目の大学院生の発表だと、なかなか有益な情報を得ることは難しいが、上級生になってくると一人前の研究者のレベルにかなり近づいているので、セミナーを聞いていても十分に勉強になる。

夕方、PCR検査を受けに行く途中、マスク無しで海辺の道を歩いていたら、制服を来た人が近づいてきて「マスクをしないで歩いている人の健康吗と行程卡を確認しています」と言われて一通りチェックされた。いろんな場所で健康吗と行程卡をチェックされることはあるのだが、これは初めてのパターンだ。

感染者数が増えているのかと思ってネットで情報を確認したが、とくにどこかで重大な事態が発生している訳でもなさそうだ(感染者数は相変わらずの横ばい)。こういうときは何か政治的な意味があるのだろうけれど、学期中で最近あまりニュースを丹念に追っていないので状況が分からない。

中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年9月22日木曜日

【日記】研究グループ会議で使用する言語、中国はスパコン大国

2022年9月21日(水) 

人種的な共通性もあるのだろうけれど、身の回りの中国人を見ていると日本の有名人に似ている人をちょくちょく見かける。昨日も、職場に「里見香奈女流五冠」と「一青窈」のそっくりさんがいることに気がついた。

まぁ、それはさておき、今日は今学期2回目のグループ会議の日だった。前回は初回ということでメンバーそれぞれが自己紹介して終わりだったが、今週は通常通りに当番制の論文紹介を行った。うちのグループでは、大学院生とポスドクが毎週二人づつ論文紹介を行うことになっている。

二人のうちの一人は複数の論文の要旨をかいつまんで報告する「速報」を、もう一人は一本の論文を選んで詳しく報告する「詳報」を行う。残りの時間は自由討論として、各自の研究で出てきた新しい結果を検討したり、行き詰まっている問題をみんなで考えたりする。

発表で使用する言語は「英語を推奨、ただし強制はしない」ということになっている。しかし、中国語で発表しても私が理解できるまで何度も英語で質問するので、結局英語を全く話さないで済ますということはできない。中国語で発表すると、結局英語で同じことを説明することになる。手間を考えると、最初から英語での発表を準備しておいた方が楽である。そういう状況なので、多くの学生は一年くらいたつと、だいたい英語で発表するようになる。

昨年、結局最後まで英語で発表しなかった学生は一人だけだった。今回は新年度初回のグループ会議だったので、「今の発言、英語で要点をもう一度言ってくれる?」というセリフを10回以上は言ったような気がする。まぁ、しかしこれを言うのも外国人教員の勤めである。学科としては大学院教育のために研究グループでの英語使用を推奨しているが、中国人教員のみのグループだと、なかなかグループ会議の英語化は難しいだろうと思う。

今日の詳報で紹介された論文は、中国の研究グループが行った星団の重力多体シミュレーションの論文だった。非常に重厚仕事で、単に星の運動をシミュレーションしただけでなく、星団に属する一つ一つの星の進化や、連星が形成される過程、連星になってからの進化過程までを計算に取り込んでおり、そうとうな計算機資源が必要な研究だと推測された。

最近の中国は「計算機大国」となってきている。スパコンの計算速度ランキングではまだ米日の方が勝っているものの、「国内に存在するそこそこ速いスパコンの数」ではおそらくダントツの一位なのではなかろうかと思うくらいあちこちにスパコンが存在する。そんな状況なので、今日の詳報で出たような研究も中国から量産されているわけだ。

今日の詳報論文は、明らかに中国宇宙望遠鏡を使った観測的なフォローアップを意識している内容だった。今の中国は、スパコンによるシミュレーションから、宇宙望遠鏡によるシミュレーション結果の確認までを全て国内リソースで行うことができる状況になりつつある。こういうなかで非常に優秀な研究者がしのぎを削って研究しているのだから、これから面白い結果が出てくるであろうことは私の目からは必然だと思われる。

中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年9月21日水曜日

【日記】調子がくるった一日、天文学初心者セミナー1回目

2022年9月20日(火) 

今日は講義の日だったが、最近寝不足気味の日々が続いたせいか、朝からどうも調子が悪かった。講義は午前にあるので、近所の無料検査書でPCR検査を受け、そこから直接講義室に行こうと思っていたのだけど、PCR検査場に行く途中に、講義スライドの保存でミスをしていたような気がして慌てて自宅に戻り確認した。結局、勘違いでミスはしていなかったので時間の無駄だった。

それから、大慌てで職場に向かったのだけど、途中で自転車のカゴに入れていた荷物を落としたことに気がついて後戻りして拾いに行くことになり、結局講義室についたのは講義開始の直前になってしまった。講義が始まってからも、スライドの記述にミスがあるわ、説明が右往左往するわ、質問には上手く答えられないわで、今日の講義は今ひとつできが良くなかった。やはり一学期の間ずっとイーブンペースでは仕事はできないものだ。ときには睡眠不足になったり、疲労気味になったり、いろいろである。まぁ、人間なので仕方がない。

今日から天文学未経験の修士課程1年生を対象とした研究グループの初心者セミナーを開始した。対象となる学生は3人なんだけれど、博士課程の学生2人がアシスタントとして参加してくれている。うちの学科では、上級生が下級生の面倒を熱心に見る文化が根づいているのだけど、これは教員としては助かる面が多い。まったく知識ゼロの人を初めから全部一人で教育することを毎年やるのは非常に大変だ。着任直後にはどうしても自分で直接何もかもやらなくてはいけなかったのだけれど、3年目くらいになるとだいぶ上級生が育ってきていて、頼れる存在となりつつある。

セミナーの方は、英語で話せるように準備しておく約束だったけれど、当番の学生二人のうち一人は準備不足で自分で作った英語台本を見ながら発表した。もうひとりは自分で作った台本をしっかり暗記してきており、しっかりと台本を見ずに発表してくれた。まだ、最初なので質問に対してアドリブで答えることは難しいようだ。しかし、自分も経験があるが、英語の台本を作って発表するということを毎週くらいのペースでやっていると1年後くらいには頭の中に多くの英文や単語が定着し、見違えるように上手く発表できるようになる。新入生の1年後が楽しみだ。

中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年9月20日火曜日

【日記】手書きノートをスライドに作り直す作業、明日から初心者セミナー開始

2022年9月19日(月) 

今日もひたすら講義の準備をすすめた。明日の分の準備は既に終了しているのだけれど、今日はさらにその先の金曜日の講義の準備を半分ほど済ませた。金曜日の講義内容は、夏休み中に構想していたときには「黒板」を使って説明するつもりだったのだけど、講義室の黒板が使いにくいことが分かったことと、学生の復習の利便性を考えてスライドにまとめることにした。

手書きのノートをスライドに作り直す作業は案外時間がかかる。構想時に黒板で説明を行おうと思った主な理由は、この単元の説明で「数式を多用する」ことにある。パワーポイントスライドに数式を書き込んでいく作業はかなり時間がかかるのだ。2年ほど前からMathpixという画像形式の数式をLaTeX形式に変換するツールを使いだし、以前に比べるとスライドへの数式の書き込み作業をかなり効率化することはできたが、それでも未だに時間がかかる作業であることは間違いない。

Mathpixツールの画面

明日は、「天文学初心者セミナー」の第1回目を行う予定だ。私が所属する研究グループに入ってきた天文学未経験の大学院新入生に研究に必要な基礎知識と英語力を身につけてもらおうというのがこのセミナーの目的だ。今年は天文学未経験の大学院新入生が3人おり、この中には英語も苦手そうな人が一人含まれている。この人達に、来学期からグループミーティングで英語で発表できて、さらに研究活動も始められるように準備してもらわなくてはいけない。夕方、明日発表の当番にあたっている学生から英語で書いたレジュメが送られてきた。さて、彼らにとって初めて英語で行う初めての天文学のセミナーはどんな感じになるだろうか。

中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

2022年9月19日月曜日

【日記】VPNはライフライン、良いことがあった人が奢るルール

2022年9月18日(日) 

朝起きて真っ先に行うことといえば、パソコンとVPNクライアントソフトの起動だ。今日は、どういうわけか常用しているVPNサービスのクライアントソフトが立ち上がらずちょっと焦った。しかたなくバックアップ用の、速度の遅いVPNサービスを使って朝のルーティン作業に着手した。そうこうしているうちに常用しているVPNサービスが動き出したので、途中でクライアントを切り替えた。問題が「自然治癒」したところをみると、サーバー側に原因があったのかもしれない。

「ライフライン」と言うと、電気、ガス、水道等をまず思い浮かべることが多いだろう。水道、電気が止まったら確かに困る。しかし、その次に何が重要かと考えてみると、例えば、ガスとVPNだったら、私の現在の生活ではVPNの方がより重要だと思わえる。そういう意味では、私の中国生活においてVPNは完全に「ライフライン」の一つとなっている。

日曜日といえども学期中は忙しいので完全に一日中ボーっとすることはできない。今日は夜は会食の予定が入っているので、午前と午後、語学学習の約1時間を除いて、ずっと講義の準備をすすめていた。来週の2回の講義の1回目の準備はなんとか終了し、2回目についてもなんとか少し着手することができた。今の職場は突発的な仕事が舞い込んでくる可能性が常にあるので、これでもまだ安心ではない。時間の許す限り準備を進めておくのが正解なのである。

晩は近所の中華料理屋で、大型グラントを獲得した同僚が主催する「学科の教員全員に晩飯をおごる会」に参加した。中国全体でどうなっているのかはよく知らないが、うちの職場を見ている限り、良いことがあった方が周りの人に奢って、みんなにありがとうと言う文化が根付いている。職場の人間関係を円滑にするという観点からは、この文化はけっこう悪くないと個人的には思っている。

このように個人の資金で食事会を催す場合についても、店の予約やら出席確認やらを学科秘書にやってもらって構わないルールになっているので、奢る方も余計な時間をとられることなくスムーズにごちそうすることができる。いろいろ上手く出来ている。

現在の中国の職場を3年ほど経験してみて気づいたことが一つある。それは、職場内で上位の管理職についたり、大型グラントのPIになるような人に「気遣いの人」が多いことだ。私が経験してきた「西側の研究機関」では、研究グループ間の人間関係や、管理職と管理される側がギクシャクしていることが少なくなかった。

うちの職場が特別良い環境なのか、中国全体に広く言えることなのかは不明だが、職階が上位になった側や、選考で成功した人等が押し並べて低姿勢で、周りへの気遣いを忘れない人が多いのだ。この辺、どういう原理で斯様な状況になっているのか、まだ良く理解はしていないのだが、このような職場環境で働いている人間としては悪くない空気感ではあると思う。


中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、エリーゼのために