2018年8月14日火曜日

【第57回】同僚たちが選ぶ誕生日プレゼント

私の職場ではメンバーの誰かが60才、70才など、切りの良い誕生日を迎えると、学科全員が集まって職場で誕生日会が開かれます。誕生日会はランチの時間に開かれることが多く、食事だけでなくお酒も出てきます。職場の就業時間中にお酒を飲む機会があるというのは日本人の感覚からすると変わった習慣なのですが、職場での飲酒については面白い話がいろいろあるのでまた別の機会に書くとして、今日は誕生日を迎える人に送る「プレゼント」について書いてみたいと思います。

誕生日会のときには、多くの人がプレゼントを持参します。ロシア人が用意するプレゼントとその渡し方は独特でとても興味深いです。例えば、よくあるプレゼントの一つに「本」があります。相手の好みもありますし、日本人はあまり贈答品に本を用いることはないと思いますが、ロシアでは非常にポピュラーな贈り物です。先日の職場の誕生日会でも、誕生日を迎えた人が「歴史好き」だったため、歴史の本をプレゼントしていた人がいました。他には、自分で書いた絵、ギターの弾き語りで歌のプレゼント、詩の朗読などといったものもよく見かけます。

本や絵などの物品をプレゼントする場合でも、なぜそのプレゼントを選んだのかその理由、プレゼントの品にまつわるエピソード等を手渡す前にじっくりと演説します。この「プレゼント贈呈」の順番が、なんというか、日本の「カラオケパーティ」で歌う順番が回ってくるような感覚で回ってくるのです。つまり、プレゼントの贈呈が、一種のパーティーの「出し物」になっている訳です。私も初めて誕生日会に参加したときは面食らってしまい何を話してよいのかわかりませんでしたが、2回目以降は事前に準備するように心がけてなんとか難を乗り切っています。

本をプレゼントする習慣は誕生日に限った話ではありません。例えば、以前、職場の同僚の友人が経営するレストランに招待されたことがあるのですが、この時同僚の友人に初対面の挨拶のときに頂いたギフトも本でした。ソ連時代には「あなたの趣味は何ですか?」と問うと、7-8割の人が「趣味は読書です」と答えていたという調査もあるそうで、その読書好き、本好きの体質は新生ロシアになった今でも残っているようです。

同僚の友人にもらった本
(2018年8月撮影)

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