2022年6月15日水曜日

【日記】2022年6月14日(火) 、働き盛りの研究者の過労死、中国で研究者の過労死が発生する原因(私見)

中国に来て中国語の報道を注目するようになってから、40代くらいの働き盛りの研究者の訃報をしばしば報道で目にするようになった。今日もまた訃報が出ていた。過去の訃報を見ていると、例外なく亡くなられて方の研究業績は凄まじい。今日亡くなられた方の業績もご多分に漏れず大変なもので、論文のメトリックスを見ていると、私なんかは一生かかっても到底追いつくことができない数字だ。

正確な統計データを調べた訳ではないので明確なことは言えないが、報道から受ける印象としては、働き盛りの中国の研究者が突然死する割合は、他の西側先進国に比べて高いのではないかという印象は持っている。状況から考えて、突然死の原因は「過労死」と考えるのが自然だろうと思う。

西側先進国の研究者の労働環境が近年悪化していることは以前から指摘されており、その一方で研究環境が相対的に優れていると言われている中国でなぜ研究者の過労死が多いのかと客観的には思われるかもしれないが、自分の職場を見ている限り、一部の人が過労死する可能性が高くなるのは分からなくはない。

あくまで、うちの職場のシステムからの類推ではあるが、中国の研究システムは、それほど凄まじく働かなくても職は維持していけるようになっているとは思う。契約書に書いた通りのティーチングと研究のノルマをこなすだけなら、それほど大変ではない。仮にノルマを達成できなかったとしてもテニュアをとるところまで到達していれば、それほど簡単にクビにもならないはずだ。

では、何が過労をドライブしているのかというと、私の意見では中国には「インセンティブ」が豊富に揃っていることだと思う。国レベルから省や学内レベルまで、業績に応じて実にさまざまなインセンティブが揃っている。向上心が強い中国の若手研究者は、昇給、昇格、高額グラント等々のインセンティブをちらつかせると実によく働く。

向上心が強くても、自分の仕事量の限界をわきまえて、上手くスケジュールをコントロールできる人であれば問題ないのだろうけれど、中には明らかにコントロールに失敗しており早朝から深夜まで土日も関係なく働いているような研究者も相当数存在する。このような状態だと、少なくない人が過労死ラインを超えてしまうのも自然の成り行きではあると思う。

現状、西側諸国では働いても働いても研究者の待遇は良くならない。こういう状況だと、むしろ過労死ラインを超える人の割合は少なくなるのかもしれないが、科学研究が衰退の方向に向かっているのもまた事実である。時々に出てくる中国の研究者の過労死のニュースがショッキングであることは確かだが、しかし、西側と中国、どちらの方が幸福を感じている研究者の割合が多いかというと、私は今のところ中国ではないかと思う。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、リードシートIII