2022年7月31日日曜日

【日記】2022年7月30日(土) 、エチレンガスが熟成の鍵、「バッタを倒しにアフリカへ」を一読

昨日お裾分けでもらったマンゴーについて、同僚が「しばらくリンゴやバナナと一緒に保存しろ」というようなことを言っていた。マンゴー農家がそのように言っていたそうで、何か理由がありそうだけれど瞬間的にはよくわからなかった。少し調べてみたところ、どうやら「エチレンガス」を放出する果物と一緒に保存すると、エチレンバスの作用で熟成の度合いと速度が増すということらしい。天体みたいな単純なものを研究対象としている科学者からすると、植物みたいなものは複雑すぎて全く理解できない。

しばらく前にブームになっていた「バッタを倒しにアフリカへ」(前野 ウルド 浩太郎 著)という本を遅ればせながら一読した。前野さんという若手の昆虫学者が、自身の研究の様子をエッセイ風に綴った本である。研究の話が題材にはなっているが、研究活動を通して触れ合った人々との関わりや、モーリタニアの現地の雰囲気、研究にかかわる様々なトラブル等々について、小気味の良い文体でテンポよく語ってくれている。

話には2つの軸があって、一つはサバクトビバッタという種類のアフリカで時々大量発生して大問題を引き起こすバッタの研究で、もう一つ軸は、まだ定職を得ていない得ていない若手の研究者(ポスドク)が職を得ようと必死に奮闘する「研究者サバイバル物語」である。2つの軸といったが、もしかすると後者の方がメインテーマといえるかもしれない。

本を読ませるための脚色もあるのかもしれないが、本書の中では、前野さんはかなり自分の能力や業績について自虐的な書き方をされている。しかし、実際は海外学振を獲得してモーリタニアにわたり、その後も京大白眉研究員を経て国立の研究所でテニュアトラックの職を得られているので、若手研究者の中ではトップクラスであることは間違いない。

そのような人であっても、研究者が職を得るのが大変であることがこの本を読むとひしひしと伝わってくる。小中学生くらいの年齢の読者がこの本を読むとどのような感想を持つのだろう、といったことを読後にふと考えていた。あまりにも研究者をとりまく環境が過酷なので、やはり研究者を目指すのは諦めようと思うのか、それとも前野さんのように就職が大変でも大好きな研究をやってみたいと思うようになるのか。

ひとつ気になったのは「研究で有名になりたいのではなく、研究するために(就職するために)有名になりたい」というようなことを前野さんが書かれていたことである。前野さんに限らず、最近はまずメディアを利用して知名度を上げて、それを利用して研究資金を調達するといった研究戦略を立てる個人や研究グループが多いように思う。ただ、こういう状況が良いかと言われると、決して手放しで良い状況とは言えないようにも思う。

紙袋に入れて熟成中のマンゴー

中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、エリーゼのために