2022年8月2日火曜日

【日記】2022年8月1日(月) 、夏休みも大学に居残る学生さんたち、「死の壁」を一読

通常なら今の時期は多くの学生が帰省してキャンパスはひっそりと静まり返っている時期なのだけど、今年は夏休み期間と思えないくらいキャンパスで学生を頻繁にみかける。私のグループの院生もずっと残っているので帰省しないのか聞いたところ、やはりコロナ規制の影響で新学期に戻ってこられないことを心配しているようで、今年は基本的にはキャンパスに居残るつもりのようだ。

「じゃあ、どうせ大学にいるんだったら学期中と同じように議論を続けましょうか」ということで、いつも通り週一回のミーティングを続けている。コロナで大変な面もあるだろうけれど、一方でコロナのせいで飛躍できたなんていうことも人によってはありえるかもしれない、などということをミーティングの後にふと考えていた。

日本も夏休み期間ということで、各出版社や電子書籍プラットフォームが日本語電子書籍の「夏の割引セール」を行っている。割引セールがあるとついついまとめ買いをしてしまい「積読フォルダ」の容量が増え気味になるのだけど、少しでも積読量を減らそうと思ってせっせと毎日読書に勤しんでいる。今日は「死の壁」(養老孟司著)を一読した。

養老さんというと「バカの壁」で有名だが、この本はその続編に当たるようだ。バカの壁を読んだことがないので、いきなり続編から読んで意味がわかるのかという気もしたが、分からなかったらまぁそれはそれということで読み始めたところ存外おもしろく、最後まで一気に読み通してしまった。

この本のメインテーマは養老さんの「死生観」である。養老さんは解剖学者ということで、普通の人に比べると死(や死体)を身近に感じてきた人だ。それだけに、その死生観には興味深いものがある。あまりにも毎日死体に接していると、死に対して鈍感になるのかと思っていたが、養老さんの死に対する感覚は、むしろ一般の人間よりも鋭敏ですらあり、その言葉の一つ一つは、日常の中で一般人が無視してしまっている「死」という概念の輪郭を明確に浮かび上がらせるような作用があるようだ。

死生観とは直接関係ない部分であるが、一つ興味深かったのが「交通事故を起こしやすい性格」についての記述である。精神科医が行う「自由連想」で引っかかる言葉がある人は、交通事故を起こしやすいのだそうだ。自由連想というのは、ある言葉を最初に思い浮かべ、それから連想される言葉を次々に挙げていくという作業で、精神科の診断で行われる手法らしい。例えば、バナナ、果物、りんご、赤い、太陽、といった感じで言葉を続けていくようなことが自由連想である。

この自由連想をやっていると、ある特定の言葉がくると連想が止まる(できなくなる)人がいるそうだ。そういう場合、その言葉に関連した事柄にトラウマがある場合が多いのだそうだ。養老さんは「挨拶」という言葉で自由連想がとまるそうだ。私も自由連想を行うと、止まってしまう言葉が幾つかあり、それらは非常にネガティブな記憶と連動しているように思う。そして、確かに私は交通事故を起こしやすいことを自覚している。養老さんは50代くらいで「ある事柄」に関する心の整理が付き、徐々にトラウマにとらわれることがなくなっていったらしい。私の場合は今後どうなるだろうか。

中国語学習

単語と例文の暗記(10分程度)、ラジオの聞き流し(20分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、リードシートIII