2022年8月23日火曜日

【日記】見かけなくなった迷彩服、重力波検出プロジェクトの地下実験施設工事

 2022年8月22日(月) 

新学期が近づいてきたので、講義の日程を教務に確認した。時間割はまだ出来上がっていないそうで何曜日の何限目に担当講義が割り振られるのかは未定だが、講義開始日は担当講義の対象が大学院の新入生のため、新学期開始後2週目からとなるようだ。

中国の年度初めの風物詩というと「迷彩服」だ。入学直後の秋学期、学部の新入生に対して「軍事教練」が行われるのだが、そのとき新入生は全員迷彩服を着るのでキャンパス内が迷彩服だらけになる。うちの職場でも、私が赴任後の最初の二年は、秋に多くの迷彩服を見かけた。しかし昨年から、学部新入生向けの講義が広州キャンパスに移された関係で、珠海では迷彩服を見かけなくなった。

職場の裏山で、重力波検出実験プロジェクト(天琴プロジェクト)の地下実験施設の工事が進んでいるが、ここ数日の間に期間工用のプレハブ住宅の数が大幅に増えた。1年ほど前までは、穴を掘削するための発破の音が絶えず鳴り響いていたのだけど、ここしばらくは静かだったので、どうやら掘削の作業は終了し、工事が次のフェーズに移ったのだろう。

地下実験施設工事現場の入り口

天琴プロジェクトは、重力波検出実験プロジェクトだが、ノーベル賞の受賞対象となったLIGOやVIRGOといった地下実験とは異なり、最終目標は「スペース重力波望遠鏡の建設」である。宇宙に専用の衛星を打ち上げて、宇宙で重力波を検出しようという試みだ。そういう訳なので、素人的にはいきなり宇宙に出ていくような想像をしていたのだけど、やはり地上にも大規模な実験施設が必要なようだ(冷静に考えると、それはそうだろう)。

地下実験施設以外にも、天琴プロジェクトに関係したさまざまな実験室が珠海キャンパス内に設置されている。天琴プロジェクならではの実験施設としては「レーダー測距実験室」がある。これは既に完成して活動を開始している。重力波検出器というのは、単純に言うと、レーザー発射装置、鏡、検出器で構成されている。そして鍵となるのが、これらの構成要素間の距離の測定だ。

地上で重力波を検出する場合は、重力波検出装置の全ての構成要素が地上にあるため、比較的コントロールしやすい(といっても、非常に難易度は高いようだが)。これが、宇宙実験となると、それぞれの構成要素が衛星として宇宙空間に浮いているのだから、正確な距離測定が著しく困難となる。

そこで、距離測定の基礎技術である「レーダー測距」の研究が必用となる訳だ。天琴プロジェクトのレーダー測距実験室は一見すると小型の望遠鏡を備えた「天文台」のように見える。しかし、普通の天文台と異なるのは、望遠鏡に高出力の「レーザー発射装置」が搭載されているところだ。天気の良い日の夜に珠海に来ると、うちのキャンパスの裏山からレーザー光線が月や人工衛星に向かって照射されている現場を見ることができるかもしれない。


中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)

ピアノ練習

SimplyPiano、エリーゼのために