2022年9月10日土曜日

【日記】「教師の日」と教員が厚遇される中国社会

2022年9月9日(金) 

明日から中国は「中秋節」の三連休に入る。さらに明日は「教師の日」でもある。中国で中秋節に贈答品として「月餅」を贈る習慣があることは比較的有名だと思うが、教師の日は中国以外ではあまり知られていないかもしれない。私も中国に来てから初めて「教師の日」というものの存在を知った。

教師の日の正確な由来は知らないのだけれど、この日になると、生徒や学生が日頃の教員の労をねぎらって感謝の気持ちを表すという習慣がある。実際には、ちょっとしたギフトをもらうことが多い。また、教え子が教師に感謝の気持ちを表す以外に、学校や大学も優秀な教員を表彰したり、教員全員にギフトを配ってくれたりする。

中国に移籍して最初の教師の日には、コロナ禍の関係もあって学生との接点がまだあまりなかったこともあり、大学が教員全員に一律に配ってくれるギフトだけをもらったのだけれど、中国での教員生活も丸三年になろうとしている今年の教師の日は、かなりギフトの数が増えてきた。

本来、教師の日は明日(9月10日)なのだけれど、本来の教師の日が週末や祝日にあたるときは、その前日にお祝いが行われる。たまたま今日は講義を行う日だったので、午前中に講義室に行ったら、教卓の上に、提出された宿題とともに花束が置かれていた。教室で花をもらうのは初めてだった。頑張って毎回準備して講義しているクラスでこういうことをしてもらうと、正直に言ってけっこう嬉しかったりする。

講義の後、オフィスに戻って仕事をしていたら、今度は研究グループの大学院生たちが訪ねてきて、巨大なフルーツバスケットをもらってしまった。あまりにも立派なギフトだったので驚いてしまい「へー!、これどうしたの?」と尋ねたところ、「みんなで割り勘して買いました。いつもありがとうございます!」という挨拶を(英語で)してくれた。

なんというか、以前にも日記に少し書いたことがあるが、中国の学生は教師の日に限らず、いろんな場面で教員に感謝の意を評してくれることが多い。教員におべっかを使っているという面もあるのかもしれないが、そればかりでもないような感じがする。とにかく、感謝されるたびに「私はそれにふさわしい何かを学生に与えられているのだろうか?」と自分の教育能力を考えて反省する気持ちになってしまう。もしかすると、教員にこのように思わせることが、教師に感謝する習慣が存在する意味なのかもしれない。

日本の教育現場では、どうも最近教員が軽んじられる傾向があり、教員の待遇も給料も社会的な地位も下がり続けている感じがするが、「おまえら教員はしっかりやれ、そうじゃないと給料も待遇ももっと下げるぞ」みたいな脅すような感じの対応をしている限り、教員の質が上がるとはとても思えない。中国にいると、それを強く感じるのだ。なんというか、教員が感謝されまくり厚遇されまくる環境にいると、「もっと努力しなければ」と日々思うように成るのだ。中国の大学が著しい発展を見せている影には、案外こういう教員が感謝され続けるという文化的習慣も関係しているのではないかと私は考えている。

教師の日と中秋節のお祝いでもらったギフト

中国語学習

単語と例文の暗記(5分程度)