2022年9月30日金曜日

【日記】博士課程院生指導資格の専門分野変更、「Dual Degree Program」設置に関する意見交換

2022年9月30日(金) 

午前中に講義を行い、国慶節前の(時間が固定された)仕事は全て終了した。いつもは講義が終わったらすぐに次の講義の準備に取り掛かるのだけれど、明日から7連休ということで、講義の準備はちょっと置いておいて、溜まりに溜まった雑用を片付けるなどした。

事務から依頼されていたフォームやらアンケートやらを埋めながらWeChatを眺めていたら、また何やら事務からメッセージが入ってきた。私は物理学に関する「博导」(博士課程大学院生を指導する資格)を持っているのだけれど、うちの学科が最近「天文学一级学科博士点」になった関係で、物理学の博导以外に、天文学の博导を選択できるようになったらしい。それで、どちらかを選択してほしいという連絡だった。選択してほしいと唐突に言われても、ステータスを変更することで発生する変化が全く理解できていないのでちょっと待ってもらうことにした。

その後、WeChat上で行われた教員間の意見交換の様子を見ていると、やはり博导の指導分野を変更することで、さまざまな影響が出てくるらしい。一つには、天文学の博导につく学生は、物理学専攻の必修科目ではなく、天文学専攻の必修科目が適用される。これによって、講義履修の負担が減るらしい。これは、まぁ、メリットと言えそうだ。

うちの物理学専攻の必須科目はかなり多岐に渡っている上に、天文学分野では必ずしも必要のない科目も多く含まれている。「群論」なんかも必須科目の一つなのだけど、担当教員が厳しいらしく、天文系の学生には群論の履修は負担だと考える学生が少なくないようだ。まぁ、群論自体は勉強して損するとは思わないが、限られた年限の間に規定数の論文を出版しなくてはいけない大学院生にとって負担となることは理解できなくはない。

別の影響としては、「理論物理志望の学生」をとることができなくなるという問題があるようだ。これは何が問題かというと、まず、うちの大学院入学審査でトップクラスの成績をとるのはだいたい「理論物理志望の学生」ということだ。つまり、教員側からすると理論物理志望の学生に自分の研究グループに入ってきてほしいという願望がある。

今までは、理論物理志望として入学審査に合格した学生が天文学科の教員を指導教員として選ぶことが出来た。しかし、指導者資格が天文学に限定されてしまうと、理論物理志望の学生をリクルートできなくなってしまう。天文学科の教員の中には、理論よりの教員も多いため、この問題は深刻を考えている人がかなりいるようだ。これに関しては、今までと同じように理論物理の学生を天文で採用できるかどうか、大学当局との話し合いが行われるとのこと。まぁ、そんなこんなでまだハッキリしないことがあるので、私は当面様子を見る予定である。

夕方、再びWeChat上で、今度は外国の大学との「Dual Degree Program」設置に関する意見交換が始まった。Dual Degree Programというのは、要するに「博士号を2つの大学からもらえる」プログラムだ。詳細はこれから詰めていくことになるが、このプログラムで博士号をとる学生は、在学期間の半分を外国の大学で、もう半分をうちの大学で過ごし、博士論文を書いて両方の大学共同の審査委員会から審査を受け、合格すれば、両方の大学から博士号をもらえるということになる。

この種のプログラムは、既に北京の有名大学で始まっているそうだ。ただ、現状では「政治的なあれこれ」もあってプログラムの設立はそう簡単ではないだろう。しかし、実現すれば相当に優秀な学生がうちの大学院に集まるであろうことは想像に難くない。