2022年9月3日土曜日

【日記】学生の反応が楽しみな秋学期の講義、「しゃれにならん」設定の映画

2022年9月2日(金) 

昨日は講義開始前の貴重な一日を役所仕事で潰してしまったため、今日は全力で一回目の講義の準備を行った。事前に講義資料は用意しているので、準備と言っても基本的には「内容を思い出す」作業が中心となる。しかし、とはいっても、私はどうも凝り性のようで講義スライを直前に鳴って大幅に手直しすることも珍しくなく、仕上げの作業にはいつも丸一日くらいは必要である。

あと、一回目の講義はちょっと特別で、事務的な連絡事項等もあるので、追加のスライドをいくつか作る必要があり、仕上げ作業に少し余計に時間がかかる。居留証関係の役所仕事が長引いて、いつ講義の仕上げができるか心配だったのだけど、昨日手続きを完了したので、やっと講義準備に集中できる環境がととのった。やれやれである。

秋学期に担当する講義は「近代天体物理」という科目名なのだけれど、この科目には目的が3つある。一つは、大学院博士課程から天文学の研究を始める人向けに天文学の基礎知識を解説すること、二つ目は、学生に英語でのプレゼンや議論になれてもらうこと、三つ目は最新の研究動向を知ってもらうことである。まぁ、言ってみれば新入生の「基礎トレーニング」科目で、必須科目となっている。講義時間も全72学時(90分✕36回)とかなりのボリュームである。上記の目的を達成するために、教員に寄る講義、宿題での演習、学生セミナー、学期末の筆記試験等を組み合わせて、総合的な教育を行うという目論見である。

昨年、講義部分に関しては学部の教科書の内容を踏襲したのだけど、大学院生向きとしてはあまり適切な内容ではなかった。学部の1-2年生の段階では、まだ物理の基礎科目を未修の学生が多い関係で、学部向けの天文学の教科書には、物理的に突っ込んだ解説はほとんど掲載されていない。そのため、これから本格的な研究をすぐに始めようという人たちに教えるべき基礎知識としては、学部の天文学の教科書の内容は、どうもしっくりしないのだ。

また、学部の教科書の内容は、物理的な議論が少ないせいで、どうしても歴史的な記述とか単なる知識の羅列が多くなってしまう。大学院生の場合は、天文学の基礎知識がないとしても物理は既に勉強してきているので、昨年講義しながら、もっと別の上手いアプローチがありそうだとずっと考えていた。今年は、昨年の経験をもとに、講義の内容を大幅に作り直すことにした。学生がどのような反応をしてくれるか、今から少し楽しみである。

金曜日ということで、夜は例によって、一杯やりながら映画を観るなどした。日本の無料映画配信はやたらとCM動画が途中に割り込んでくるので、最近は中国の動画サイトで日本の映画を見ることが多くなってきた。中国の動画サイトの映画は、途中でCMが挟まらないので視聴者の立場としてはとても快適である。

今夜観た映画は、2006年に公開された草薙剛主演の「日本沈没」という作品だった。ある日、日本列島があと1年足らずで沈没してしまうことが発覚する。当然日本は大パニックになるが、例のごとく政府の対応がグダグダで、多くの人が日本列島とともに海に沈んでしまう状況に陥ってしまう。科学者の意見では、唯一の沈没回避方法は、有人潜水艇で深海底まで潜って、海底に掘削船で開けた穴に強力な爆弾を投入し岩盤を破壊することだ。しかし、この方法を選択した場合、爆弾を設置するために海に潜った潜水艇の操縦士は生きて返ってくることはできない。しかし、他に方法はない、そして、最後は決死の覚悟で…、まぁ、そういう話である。

国家存亡の危機に際して日本政府がグダグダするといった設定の小説、映画、ドラマ等々は古くからいろいろとあるわけだけど、最近では、この手の設定の作品をエンタメとして楽しみ難くなってきている感じがしないでもない。この日本沈没という映画が公開された2006年は東日本大震災の前だったので、社会の空気感として、まだ「国家存亡の危機」という設定を荒唐無稽なものとして映画を楽しむゆとりがあったように思う。しかし、東日本大震災やコロナ禍、そしてそれに関連して日本政府のリアルなグダグダ具合をリアルに目の当たりにした今となっては、この映画はもう「しゃれにならん」といった感じである。


中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)