2022年9月29日木曜日

【日記】愛国系イベントに関する雑感、「僕はこうして科学者になった」を一読

2022年9月28日(水) 

国慶節前になると多くの会議やイベントが設定されるのは毎年のことだが、今年は五年に一度の党大会が控えているせいか、職場の行事予定の中にいろいろと「愛国系」のイベントが並んでいる。正直なところ、この手のイベントに関して、外国人スタッフとしては対応に苦慮する場面が少なくない。個々のイベントについて、あまり具体的なことは立場的に今は書くことができないが、いつか時期が来たときには、どこかで書くなり話すなりしてみたいとは思っている。

一般論として「その場に居れば良いだけ」のイベントであれば、私は特に拒否はせず適当に受け流すことにしている。しかし、なんらかの具体的な行動を要求される場合は、付き合いきれない場合がどうしても出てくる。こういうときには、当たり障りのない適当な理由を見つけて失礼することにしている。まぁ、こういうのはどこの国であっても、外国人として働いている限りは、程度の大小はあれ、経験することではある。あまり気にしてもしかたがない。

日本に入国する際に、ワクチンを三回接種済みであれば渡航前PCR検査と隔離が免除されるようにしばらく前に防疫規制が緩和されていたが、例によって中国製のワクチンは対象外だった。しかし、最近の報道によると、どうやら中国製のワクチンが規制緩和の対象となったようだ。これは在中邦人にとっては朗報だろう。少なくとも、日本に戻るときのハードルはかなり低くなる。問題は中国に戻ってくるときだ。こちらの規制は相変わらずで、集中隔離が終わる気配がない。

僕はこうして科学者になった 益川敏英自伝 (文春e-book) Kindle版、益川敏英 (著)」を一読。この本から伝わってくる益川さんは本当にチャーミングな人だ。生前に直接お目にかかれる機会がなかったのが本当に残念。益川さんの英語嫌いは有名だが、背景には以下のような事情があったようだ。
先生に当てられた私はマネー( money)を「も ーねい」と読んだ。するとクラス中に大爆笑が起きた。先生まで「も ーねいか。確かにお金はすぐになくなるよなあ」と笑う。その出来事があってから英語は性に合わないということで捨ててしまった。
英語嫌い、数学嫌い、理科嫌い等々、学校で習う科目が嫌いという話はしばしば聞くが、学校教員に責任がある場合も少なくないのではないかと思う。益川さんの英語嫌いは、その典型的なケースだろう。大学や大学院における学生指導でも、不要な先入観や苦手意識を学生に与えていないか、常に自分の態度を顧みながら指導に当たる必要があると、あらためて思った。


本書の随所に出てくる益川さんの「好奇心の幅広さ」には感心する。益川さんは本書で次のように述べている。
日本人はわりと専門を決めつけたがる。ほかの分野に手を出すことは本業を妨げると思いがちだ。だが、外から問題を眺めてみることは、本命の仕事や研究にもいい影響を与えるはずだ。
ある分野を深く真剣に学ぶ。これは大切なことだ。だが、性質のちがう別の分野に首を突っ込むのも同じぐらい大事だ。自分の幅が広がるからだ。
こういう考え方は、リチャード・ファインマンにも共通したものを感じる。益川さんやファインマンのような偉大な科学者でも、無から何かを突然生み出しているわけではない。人類が気づいてきた「知の体系」の上に乗って新しい発見をしているのだ。

では、大きな成果を出していく人が何が違うかというと、私の理解では、普通の人よりも興味の範囲が広いことだと思っている。興味の範囲が広いことによって、思考の材料が増える。それが大発見につながるのだと思う。今の成果主義の世の中では時間的にゆとりがなく、なかなか興味の範囲を自由に広げていくことは難しい。しかし、できる範囲で益川さんやファインマンの境地に近づきたいものだとは思う。


中国語学習

単語と例文の暗記(20分程度)